天授庵(てんじゅあん)は、京都市左京区にある臨済宗南禅寺派の寺院です。

天授庵の大本山・南禅寺(なんぜんじ)は臨済宗の寺格・五山制度(ござんせいど)において最高位に位置する「別格扱い」の寺院です。

天授庵は、そんな日本一の禅寺である南禅寺の塔頭の一つ。

南禅寺の創始者・無関普門(むかんふもん)のお墓がある「開山塔(かいざんとう)」でもあります。

そんな天授庵の見どころは、「幾何学的にデザインされた石畳が印象的な枯山水庭園」!

本堂の枯山水庭園の繊細な石畳のデザインには、誰もが心奪われること間違いなしです。

また、境内は京都の紅葉の名所としても知られています。

今回はそんな天授庵を訪れてみました。


天授庵の歴史

では、まずはじめに天授庵の歴史訪問する際に知っておきたいポイントを一緒に見て行きましょう!


天授庵の通用門の表札
天授庵の通用門の表札

天授庵(てんじゅあん)の創建は南北朝時代の1337年ごろ。

南禅寺(なんぜんじ)の創始者・無関普門(むかんふもん)のお墓(開山塔)として建てられました。

当初、南禅寺にはこの無関普門さんのお墓が無い状態だったんです。

お寺を作った人のお墓が無いって、かなり変じゃないですか?

実は、南禅寺の発展は初代よりも第二代の規庵祖円(きあんそえん)さんの時代に顕著だったため、初代のことが綺麗さっぱり忘れ去られていた、という悲しい状況だったんだそう。

「いやいやそれじゃあかんやろ!」

と声を上げたのが南禅寺第十五世の虎関師錬(こかんしれん)さん。

時の光厳天皇(こうごんてんのう)に無関普門さんの功績を説明し、見事そのお墓を建てる許可を得ます!

光厳天皇「お墓作ってもええですよ。」

光厳天皇「そうですな、名前は天から授かるっちゅう天授(てんじゅ)にしなさいな。」

といった経緯があり、この「天授庵」が作られることになったんですね。


天授庵-大明国師(無関普門)のお墓を示す石碑
天授庵-大明国師(無関普門)のお墓を示す石碑

その後、室町時代の1467年に勃発した応仁の乱により焼失、お寺は荒廃してしまいます。

このお寺のピンチを救ったのが、細川幽斎/藤孝(ほそかわゆうさい/ふじたか)

安土桃山時代の1602年、この幽斎さんが多額の寄付を行うことでお寺は復興します。

現在ある正門や本堂は、このときに建てられたものなんです。

そのため、以降は細川氏(ほそかわし)の菩提寺としての役割を担うようにもなりました!

ちなみにこの幽斎さん、「戦国から江戸時代きっての完璧超人!」として有名な人物。

剣や弓、馬術の免許皆伝だけではなく和歌や茶道、連歌や蹴鞠、果ては料理の腕前まで超一流。

その万能ぶりから「足利家/織田家/豊臣家/徳川家」に仕え、その全ての名家で信頼を勝ち取った凄い人。

ここは、そんな完璧超人・細川幽斎(ほそかわゆうさい)が眠る場所でもあるんです

教訓「京都のお寺は、その規模に関係なくすごい人が眠っていることが多い!いやまじで。」

おしまい。

参拝の注意点

お寺の詳細

住所:〒606-8435 京都府京都市左京区南禅寺福地町86−8
連絡先:075-771-0744
創建:1337年(南北朝時代)
開基:虎関師錬(こかんしれん)
宗派:臨済宗南禅寺派
本尊:無関普門(むかんふもん)

■拝観時間

9:00~17:00

*冬季は閉門時間が早まることがあります。

■拝観料

大人 500円
高校生 400円
小中学生 300円

■その他注意点

・写真/動画撮影可能な場所や一脚/三脚の利用可否は、必ず係員に確認しましょう。

・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてください。


天授庵のパンフレット

では次に、天授庵の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!


天授庵の見どころ

「*」のついている見どころは有料エリアです。

表門

天授庵の表門

表門(おもてもん)は、安土桃山時代の1602年ごろの建立です。

南禅寺初代・大明国師(無関普門)の塔所であることを示す石碑が掲げられています。

細川幽斎(ほそかわゆうさい)がこの天授庵を再興した当時から残る建造物として、京都市指定有形文化財に指定されています。

ちなみに現在は「開かずの門」であり、境内の入り口は次に紹介する山門になります。

山門

天授庵の山門

こちらが天授庵の山門(さんもん)

境内への入り口であり、拝観受付はこの山門で行います。

では拝観料を支払い、中に入ってみましょう!

庫裏*

天授庵の庫裏

境内に入るとまず見えてくるのが、立派な庫裏(くり)

江戸時代の1853年に再建されたものです。


天授庵の本堂01

庫裏の中には入れませんので、庫裏の左手にある小さな通路を抜けて本堂に向かいます。

本堂*

天授庵の本堂02

通路を進んでいくと、右手に本堂(ほんどう)が見えてきました!

本堂へ続く道、規則正しく整然と並べられた石畳がとても素敵ですね。


天授庵の本堂03

天授庵の本堂は、表門と同じく安土桃山時代の1602年ごろの建立。

こちらも細川幽斎(ほそかわゆうさい)がこの天授庵を再興した当時から残る建造物として、京都市指定有形文化財に指定されています。


天授庵-本堂に掲げられている扁額

「天授庵」の文字をかすかに読み取れる扁額が、時代を偲ばせてくれますね。


天授庵-本堂にある長谷川等伯の襖絵
天授庵-本堂にある長谷川等伯の襖絵(パンフレットより)

内部には、細川家の位牌や長谷川等伯(はせがわとうはく)により描かれた三十二面に及ぶ壮大な襖絵が!

この襖絵はその全面が重要文化財に指定されています。

本堂は基本的に非公開ですが、過去に何度か特別公開されたことがありました。

今後また公開されることがあれば、ぜひ覗いてみてくださいね!

本堂前庭*

天授庵の本堂前庭01

こちらが個人的には天授庵の一番の見どころといえる本堂前庭(ほんどうまえにわ)です。

簡素ながらも、杉苔と白砂が非常に美しい枯山水庭園です。

本堂の縁側は上がることができるので、縁側からゆっくりと贅沢に庭園を眺めることができます!

また、庭園の先には細川幽斎(ほそかわゆうさい)のお墓があるとのことでしたが、私が訪問した際は残念ながら立ち入り禁止でした。


天授庵の本堂前庭02


天授庵の本堂前庭03

庭園には多数の紅葉が植えられており、初夏は青紅葉と杉苔の「緑の光景」、秋は紅葉の「深紅の光景」と、季節によって全く異なる顔を見せてくれます!


天授庵の本堂前庭04

正門より本堂に伸びる苔を添えた幾何学的なデザインの石畳も、素晴らしい風情を醸し出していました。


天授庵の境内通路01

本堂前庭を堪能したところで、境内の奥に進んでみましょう!

南禅寺一帯は山のふもとにあるため、苔の生育が素晴らしいですね。

茶室「松関の席」*

天授庵の茶室「松関の席」

境内の通路を進んでいくと、「松関の席」と呼ばれる茶室が見えてきました。

こちらは明治時代の1899年に移築された茶室で、国宝の茶室である待庵(たいあん)を参考に作られたものなんだそうです。

書院*(Sho-in hall*)

天授庵の書院

茶室を抜けてさらに進むと、書院(しょいん)が見えてきました。

この書院は、江戸時代の嘉永年間(1848-1854)に再建されたものです。

本堂と同じく基本的に非公開ですが、過去に何度か特別公開されたことがありました。

書院南庭*

天授庵の書院南庭01

書院の南側には、大小二つの池を取り囲む書院南庭(しょいんみなみにわ)があります。

池の水面を睡蓮が取り囲む、とても幻想的な光景を見せてくれます。


天授庵の書院南庭02

南庭の敷地は、およそ1000坪もあるんだとか!

池泉回遊式になっており、池の周りをぐるっと周遊できるのが嬉しいですね。


天授庵の書院南庭04

南庭の奥には苔むした巨大な蹲(つくばい)が!

緑と水が豊かなこの南禅寺近辺は、どこを訪ねても本当に苔が美しいですね。


天授庵の書院南庭03

もちろんこちらの庭園も、秋になると見事な紅葉の風景を拝むことができますよ!

普門殿*

天授庵の普門殿01

書院南庭の最奥にある普門殿(ふもんでん)は、寺宝などを収蔵するための収蔵庫です。

残念ながら中の様子を見ることはできません。

天授庵の紅葉

天授庵は、京都の紅葉の名所の一つです。

紅葉の見ごろは毎年11月下旬から12月上旬です。

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天授庵で撮影した動画

天授庵で撮影した写真

Tenju-an Temple (Sakyo Ward, Kyoto):天授庵(京都市左京区)


天授庵の御朱印

天授庵には御朱印はありません。

天授庵への行き方/アクセス方法

天授庵の最寄り駅は、京都市営地下鉄東西線 蹴上駅です。

駅からは徒歩10分(500m)程度です。

京都駅や阪急河原町駅からバスでも行けますが、渋滞や混雑を考えると電車で行くことをおすすめします。


大阪駅からのルート例(電車)

乗換え案内(電車)

①JR京都線(琵琶湖線直通)で「大阪駅」から「山科駅」へ行き、京都市営地下鉄東西線に乗り換え。

②京都市営地下鉄東西線で「山科駅」から「蹴上駅」へ。

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なんば駅からのルート例(電車)

乗換え案内(電車)

①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「新大阪駅」へ行き、JR京都線(琵琶湖線直通)に乗り換え。

②JR京都線(琵琶湖線直通)で「新大阪駅」から「山科駅」へ行き、京都市営地下鉄東西線に乗り換え。

③京都市営地下鉄東西線で「山科駅」から「蹴上駅」へ。

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京都駅からのルート例(電車)

乗換え案内(電車)

①京都市営地下鉄烏丸線で「京都駅」から「烏丸御池駅」へ行き、京都市営地下鉄東西線に乗り換え。

①京都市営地下鉄東西線で「烏丸御池駅」から「蹴上駅」へ。

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「蹴上駅」からの徒歩ルート例


京都駅からバスで行く場合

乗換え案内(バス)

「京都駅前 乗り場A1」から「京都市バス5系統」に乗車、「南禅寺・永観堂道」で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:5系統[銀閣寺・岩倉行き] 
乗車バス停:京都駅前[乗り場A1]
降車バス停:南禅寺・永観堂道
運賃:230円
所要時間:約36分

■5系統[銀閣寺・岩倉行き] の時刻表


河原町駅からバスで行く場合

乗換え案内(バス)

「四条河原町 乗り場H」から「京都市バス5系統」に乗車、「南禅寺・永観堂道」で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:5系統[銀閣寺・岩倉行き] 
乗車バス停:四条河原町[乗り場H]
降車バス停:南禅寺・永観堂道
運賃:230円
所要時間:約36分

■5系統[銀閣寺・岩倉行き] の時刻表


タクシーを使う場合

京都駅から:約2100 (約20分)

河原町駅/祇園四条駅から:約1100円(約10分)

・タクシー運転手に行き先を告げたい場合

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・タクシーを呼びたい場合

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・タクシー配車連絡先(京都駅周辺)


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いかがでしたか?

それでは楽しい旅を!( *´艸`)