宝厳院(ほうごんいん)は、京都市右京区にある臨済宗天龍寺派の寺院です。
普段は非公開で、春と秋の特別拝観期間のみ寺内が公開されます。
お寺の大本山である天龍寺は京都五山の第一位であり、言わずと知れた世界遺産の寺院。
天龍寺の境内には現在10か所の塔頭(たっちゅう)があり、この宝厳院はその中でも最大の広さを誇ります。
そんな宝厳院の見どころは、「新緑と紅葉が美しい獅子吼(ししく)の庭」!
境内の大部分を占めるこの庭園は、新緑や紅葉の名所として広く知られています。
今回はそんな宝厳院を訪れてみました。
宝厳院の歴史
では、まずはじめに宝厳院の歴史を一緒に見て行きましょう!
宝厳院は室町時代の1461年(寛正二年)、室町幕府の管領(かんれい)・細川頼之(ほそかわよりゆき)の寄進により創建されました。
ご本尊は、脇に三十三体の観音菩薩を従えた「十一面観音菩薩(じゅういちめんかんのんぼさつ)」。
創建時は現在の上京区、京都御所の近辺にあったそうです。
しかしこのお寺、創建時期がいかんせん悪すぎました。
そうです、創建からたった6年後の1467年に「応仁の乱」が勃発!
せっかく建てたお寺はすべて焼け落ちちゃったんです。なんと残念な。
お寺が復興を果たすのは、安土桃山時代の天正年間(1573年 ~ 1591年)。
天下人・豊臣秀吉(とよとみひでよし)の援助により、無事再建を果たすこととなります。
その後明治時代に入ると、京都中心部の区画整理により立ち退きを余儀なくされます。
明治政府「あー、宝厳院さん、治水工事の邪魔やさかい移動しておくれやす。」
宝厳院「ま、まじっすか・・・。どうすりゃええねん。」
困った宝厳院は、次の寺領が見つかるまでは天龍寺境内にある弘源寺(こうげんじ)に一時的に引っ越すことにしました。
弘源寺「困ったときはお互いさまや!うちに来たらええねん!」
宝厳院「ありがてぇ、ありがてぇ。」
こうした縁があるので、この宝厳院と弘源寺はいつも同時期に特別拝観を行い「共通割引券」などを発行しているんでしょうね。
そして平成に入った1994年、宝厳院はようやく現在の土地に移転が決まり落ち着くこととなりました。
めでたしめでたし!
こうして見ると、このお寺がいかに時代の流れに翻弄されてきたのかが良く分かりますね。
しかし、数々の不遇がありつつも歴史を絶やすことなく存続できているのは、ひとえにお寺の信仰とご縁の賜物なんでしょう!
教訓:「大変なことが何度あっても、諦めなきゃ人生何とかなる!多分!」
おしまい。
宝厳院について
宝厳院は、通常非公開です!
京都の各季節に開催される「特別拝観期間」にのみ、一般公開される場合があります。
■京都の特別拝観情報
以下は、「2019年春の特別拝観」の際の情報です。
■お寺の詳細
住所:〒616-8385 京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町36
連絡先:075-861-0091
創建:1461年(室町時代:寛正二年)
開基:細川頼之(ほそかわよりゆき)
宗派:臨済宗天龍寺派
本尊:十一面観音菩薩
■拝観時間
9:00~17:00
■拝観料
大人 | 小中学生 | |
庭園拝観 | 500円 | 300円 |
本堂襖絵拝観 | +500円 | |
宝厳院・弘源寺割引共通券 | 900円 |
「本堂襖絵」のみの拝観はできません。(共通券の購入が必要。)
割引共通券は別々に購入するより「100円お得」です。
特別拝観以外にも、毎月第3日曜日(8月、11月を除く)に「座禅会」が催されます。
■その他注意点
・建物内部の写真撮影は禁止です。
・一脚や三脚などの利用は禁止です。
・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてください。
では次に、宝厳院の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!
宝厳院の見どころ
*のついている見どころは有料エリアです。
山門
宝厳院の入り口にある山門は、茅葺き屋根が良い風情を醸し出しています。
公開時はこの山門から入場します。
獅子吼の庭*
山門を抜けた境内には、大きな庭園が広がっています。
宝厳院の広い境内の中心は、この「獅子吼(ししく)の庭」。
春から初夏にかけては新緑や苔、秋は紅葉で有名なスポットなんですよ。
室町時代の禅僧・策彦周良(さくげんしゅうりょう)により原型が作庭された、嵐山を借景とする回遊式の庭園。
庭園内を散策し、鳥の声、風の音を聴く事によって、人生の心理や正道を肌で感じることができる庭園なんだとか。
庭園中央に鎮座する大岩は、「獅子が咆哮する様」に似ていることから「獅子岩」と呼ばれます。
庭園の名前の由来である「獅子吼(ししく)」という言葉には、「仏様が教えを説く」という意味があるそうです。
獅子岩の裏手にしつらえてある「豊丸垣(ほうがんがき)」。
獅子吼の庭は、細い竹をつるした垣根が周辺を取り囲みます。
この垣根の構造は宝厳院特有のもので、先ほどの「豊丸垣」とあわせて「宝厳院垣(ほうごんいんがき)」と呼ばれているんだとか。
庭園西側に広がる風景。
「仏様の教え(獅子吼)に諭されたものたちが、困難を排してお釈迦様の説教を聞きに行く。」
そのため、無数の石が「苦しみ」を、その先にある三尊石が「釈迦如来(三尊)」を表しています。
また、左側にある岩組みが「登龍門」、悟りを開くための努力は惜しんではならない戒めを表しています。
本堂*
庭園奥にある本堂は、2008年(平成20年)に建てられた真新しい建物。
本尊の「十一面観音菩薩(じゅういちめんかんのんぼさつ)」を祀ります。
書院*
本堂の横には、書院が連なります。
大正時代に良く見られた数寄屋造り(すきやづくり)の建築様式で、1919年(大正8年)に建てられました。
無礙光堂*
本堂の左横にある、本寺の永代供養を行う「無礙光堂(むげこうどう)」。
「無礙光(むげこう)」とは、阿弥陀如来が放つ「十二光」の一つ「なにものにもさえぎられることのない光」を指す言葉です。
茶室 「青嶂軒」*
庭園南側にある茶室「青嶂軒(せいしょうけん)」は、書院と同じく大正時代の建築。2003年に修復されています。
「青嶂(せいしょう)」には「樹木が青々と生い茂る高くけわしい峰」という意味があるそうです。
茶室 「無畏庵」*
庭園西側にしつらえてある、茶室「無畏庵(むいあん)」では実際にお抹茶を頂くことができますよ。(500円・茶菓子付き)
「無畏(むい)」には、「仏が教えを説く際の、何ものをも畏(おそ)れないさま」という意味があります。
嵐山羅漢
羅漢(らかん)とは、釈迦の教えを広めるお弟子さんたちのこと。
宝厳院の周辺や境内には、日本各地の企業や個人から奉納された羅漢像が祀られ、神秘的な雰囲気を醸し出しています。
ちなみに、今でも羅漢像の奉納は受付されているそうですよ!興味がある方はぜひ!
宝厳院の新緑
宝厳院の紅葉
宝厳院の動画
宝厳院の写真
宝厳院の御朱印
宝厳院の御朱印は、「念彼観音力(ねんぴかんのんりき)」の墨文字。
観音経(かんのんきょう)にある「観音様の力を念じる」という意味の言葉です。
宝厳院への行き方/アクセス方法
宝厳院の最寄り駅は「阪急嵐山駅」、「嵐電嵐山駅」、「JR 嵯峨嵐山駅」です。
大阪駅やなんば駅から行く場合は、「阪急嵐山駅」が便利です。
京都駅からバスで行くことも出来ます。
梅田(大阪)駅からのルート例(電車)
①阪急京都線で「梅田駅」から「桂駅」へ行き、阪急嵐山線に乗り換え。
②阪急嵐山線で「桂駅」から「嵐山駅」へ。
なんば駅からのルート例(電車)
①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「梅田駅」へ行き、阪急京都線に乗り換え。
②阪急京都線で「梅田駅」から「桂駅」へ行き、阪急嵐山線に乗り換え。
③阪急嵐山線で「桂駅」から「嵐山駅」へ。
京都駅からのルート例(電車)
①JR嵯峨野線で「京都駅」から「嵯峨嵐山駅」へ。
「嵐山駅」からの徒歩ルート例
「阪急嵐山駅」からは、徒歩約15分、「嵐電嵐山駅」からは、徒歩約5分です。
京都駅からバスで行く場合
「京都駅前バス停C6乗り場」から京都市バス「28系統」に乗車、「嵐山天龍寺前」で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:28系統[嵐山・大覚寺行き]
乗車バス停:京都駅前[乗り場C6]
降車バス停:嵐山天龍寺前(嵐電嵐山駅)
運賃:230円
所要時間:約44分
[時刻表]28系統[嵐山・大覚寺行き]
「京都駅前バス停C6乗り場」から京都バス「73系統」に乗車、「嵐山天龍寺前」で下車。
バス会社:京都バス
行先・系統:73系統[嵐山・苔寺・すず虫寺行き]
乗車バス停:京都駅前[乗り場C6]
降車バス停:嵐山天龍寺前(嵐電嵐山駅)
運賃:230円
所要時間:約40分
[時刻表]73系統[嵐山・苔寺・すず虫寺行き]
タクシーで行く場合
京都駅から:約4000円 (約30分)
祇園四条駅から:約4000円(約30分)
・タクシー運転手に行き先を告げたい場合
・タクシーを呼びたい場合
[タクシー配車連絡先: 京都駅周辺]
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