慈照院(じしょういん)は、京都市上京区にある臨済宗相国寺派の寺院です。

室町時代の応永年間(1405年頃)に、相国寺の第十三世・在中中淹(ざいちゅうちゅうえん)により創建されました。

親寺である相国寺は、京都の禅寺が誇る「京都五山(きょうとござん)」の第二位に位置する名刹であり、十六の塔頭寺院を有します。

この慈照院は、そんな相国寺の塔頭寺院の一つ。

足利八代将軍・足利義政(あしかがよしまさ)及び世襲親王家の四家の一つ「桂宮(かつらのみや)」の菩提所であり、塔頭寺院の中でも非常に高い格式を有しています。

このお寺の見どころは「桂宮家ゆかりの学問所と、宗旦狐の伝説で知られる茶室」。

境内には江戸初期の皇室ゆかりの建築物が数多く残されています。

今回は、そんな慈照院を訪れてみました。


慈照院の歴史

では、まずはじめに慈照院の歴史を一緒に見て行きましょう!


慈照院は、京都の禅寺が誇る「京都五山(きょうとござん)」の第二位に位置する相国寺(しょうこくじ)の塔頭寺院の一つ。

かの有名な金閣寺銀閣寺も、相国寺の境外塔頭の一つなんですよ!


慈照院は室町時代の応永年間(1405年頃)、相国寺の第十三世・在中中淹(ざいちゅうちゅうえん)により創建されました。

創建当初は「大徳院(だいとくいん)」という名前だったそうです。

その後、1490年に足利八代将軍・足利義政(あしかがよしまさ)が亡くなった際に、本寺が義政の菩提所となりました。

その際、義政につけられた法号が「慈照院殿喜山道慶大禪定門」

この法号に習い、お寺の名前が現在の「慈照院」となったそうです。

足利義政はご存知の方も多いと思いますが、かの有名な銀閣寺(ぎんかくじ)を建てた人物です。

実は銀閣寺の正式名称も、このお寺とほぼ同じ「慈照寺(じしょうじ)」

義政がお寺の歴史に深く関係しているため、同じ「慈照」という名前がつけられているんですね。


また、お寺の第七世住職・昕叔顕啅(きんしゅくけんたく)が、桂離宮(かつらりきゅう)の建立者としても有名な桂宮智仁親王(かつらのみやともひとしんのう)と特に親しい間柄でした。

そのため、慈照院は桂宮家の菩提寺にもなり、皇室とも縁の深い寺院となりました。


その後、桂宮家は1629年に御学問所を境内に建築され、その建物をお寺に下賜(かし:寄付のこと)します。

その建物が現在「棲碧軒(せいへきけん)」と呼ばれる、このお寺の書院なんです。


また、住職は江戸初期の名茶人・千宗旦(せんのそうたん)とも親交が深かったそうで、宗旦好みの茶室を境内にしつらえたと言います。

これが、現在も境内に残る茶室「頤神室(いしんしつ)」の原型となりました。

この茶室は相国寺の発展に欠かせない古事、「宗旦狐(そうたんぎつね)」の伝説とも深い縁があるため、室内には「宗旦狐」の掛軸が飾られています。

親寺の相国寺には宗旦狐を祀る社があります。

伝説については「相国寺」の紹介記事で詳しく書いていますのでご覧下さい。


また、日本が鎖国政策をとっていた江戸時代、実は密接な友好関係にあった朝鮮国(今の韓国)との使節団の交流がありました。

この朝鮮国からの使節団を、「朝鮮通信史(ちょうせんつうしんし)」と言います。

日本からの使節団には高い漢文や仏教の素養が必要だったため、相国寺を含む京都五山の僧が勤めていたそうで、この慈照院の僧からも幾人かが赴任したそうです。

そのため、この使節団のやり取りを記した書状のうち特に歴史的価値が高いとされる「韓客詞章(かんきゃくししょう)」という書がこのお寺に遺されています。

京都五山に代表される禅寺の僧達は、鎖国時代において貴重な外国との友好の架け橋を担っていたんですね!

その後、このお寺は足利将軍及び桂宮家の菩提寺として、長く庇護されてきたと言います。

おしまい。

慈照院について

慈照院は通常非公開であり、「特別拝観期間」にのみ一般公開される場合があります。

京都の特別拝観情報

以下は「2019年冬の特別拝観」の情報です。


お寺の詳細

住所:〒602-0898 京都府京都市上京区今出川通烏丸東入ル相国寺門前町703
連絡先:075-441-6060
創建:1405年頃
開基:在中中淹(ざいちゅうちゅうえん)
宗派:臨済宗(りんざいしゅう)
本尊:十一面観世音菩薩(じゅういちめんかんぜおんぼさつ)

拝観時間

10:00~16:00

拝観料

大人 600円
子供 300円

その他注意点

・写真/動画撮影可能な場所や一脚/三脚の利用可否は、必ず係員に確認しましょう。

・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてくださいね。


では次に、慈照院の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!


慈照院の見どころ

*のついている見どころは有料エリアです。

山門

お寺の入口である山門(さんもん)です。

客殿*

写真右手が庫裏(くり)、左に連なる建物が客殿(きゃくでん)です。


客殿は江戸時代初期の1671年に建立、1736年に増築され現在の姿になったと言われています。


室内には、狩野派により描かれた「帝鑑図屏風(ていかんずびょうぶ)」等が展示されています。(画像はパンフレットより。)

客殿前庭*

客殿前庭(きゃくでんまえにわ)は、苔が配された枯山水庭園になっています。


船の形をしている樹齢300年を超える陸船松を中心とした、苔地の海原、枯滝の石組みの配置が素晴らしい庭園です。

棲碧軒*

お寺の書院は、棲碧軒(せいへきけん)と呼ばれる江戸時代初期の建築物です。

建築様式や建材は、桂離宮の古書院と同一だそうです。

当初は文学を研究する桂宮家の御学問所でしたが、寛永九年(1632年)に下賜されました。


室内には、朝鮮通信使が僧に贈った韓客詞章(かんきゃくししょう)や書画類が展示されています。(画像はパンフレットより。)

頤神室*

茶室の頤神室(いしんしつ)は、江戸初期の名茶人・千宗旦(せんのそうたん)により草庵がつくられたとされる建物です。

「頤神(いしん)」には、「精神を養う」という意味がこめられているそうです。

境内*

山門から客殿への通路脇、見事な白砂の枯山水。


客殿入口の花灯窓より望む客殿庭園。


客殿から望む陸船松。


客殿と書院の間にある中庭。


棲碧軒から望む中庭。

桂宮家墓地

境内南側に位置する桂宮家の墓所。(入ることはできません。)

慈照院の動画


慈照院の写真

Jisho-in Temple (Kaimgyo Ward, Kyoto) [慈照院:京都市上京区]

慈照院の御朱印

慈照院の御朱印は、桂宮家の菩提所を表す「桂宮御牌所」の朱印に、本尊を拝する言葉「南無十一面観世音」の文字です。

客殿で頂けます。(300円)


慈照院への行き方/アクセス方法

最寄り駅は京都市営地下鉄 烏丸線 鞍馬口駅です。

河原町駅や祇園四条駅からバスで行くことも出来ますが、地下鉄で行くことををおススメします。


大阪駅からのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、京都市営地下鉄烏丸線に乗り換え。

②京都市営地下鉄烏丸線で「京都駅」から「鞍馬口駅」へ。

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なんば駅からのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「梅田駅」へ行き、JR京都線に乗り換え。

②JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、京都市営地下鉄烏丸線に乗り換え。

③京都市営地下鉄烏丸線で「京都駅」から「鞍馬口駅」へ。

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京都駅からのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①京都市営地下鉄烏丸線で「京都駅」から「鞍馬口駅」へ。

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鞍馬口駅からの徒歩ルート例

徒歩約7分(400m)です。


河原町駅からバスで行く場合

乗換え案内(バス)

「四条河原町 乗り場A(南行き)」から「京都市バス15、51、59系統」に乗車、「同志社前」で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:15 or 51 or 59系統[立命館大学行き、金閣寺・竜安寺・山越行き]
乗車バス停:四条河原町[乗り場A(南行き)]
降車バス停:同志社前
運賃:230円
所要時間:約20分

[時刻表]15系統

[時刻表]51系統

[時刻表]59系統

「四条河原町 乗り場E(南行き)」から「京都市バス201系統」に乗車、「同志社前」で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:201系統[祇園・百万遍行き]
乗車バス停:四条河原町[乗り場E(東行き)]
降車バス停:同志社前
運賃:230円
所要時間:約20分

[時刻表]201系統


祇園四条駅からバスで行く場合

乗換え案内(バス)

「四条京阪前 乗り場C」から「京都市バス15、51、59系統」に乗車、「同志社前」で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:15 or 51 or 59系統[立命館大学行き、金閣寺・竜安寺・山越行き]
乗車バス停:四条京阪前[乗り場C]
降車バス停:同志社前
運賃:230円
所要時間:約20分

[時刻表]15系統

[時刻表]51系統

[時刻表]59系統

「四条河原町 乗り場A」から「京都市バス201系統」に乗車、「同志社前」で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:201系統[祇園・百万遍行き]
乗車バス停:四条京阪前[乗り場A]
降車バス停:同志社前
運賃:230円
所要時間:約20分

[時刻表]201系統


タクシーで行く場合

京都駅から:約2,700円(約15分)

京阪 祇園四条駅から:約1,900円(約10分)

・タクシー運転手に行き先を告げたい場合

jishoin-htg-11

・タクシーを呼びたい場合

taxi-call

[タクシー配車連絡先: 京都駅周辺]

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いかがでしたか?

それでは楽しい旅を!