大雄院(だいおういん)は、京都市右京区にある臨済宗妙心寺派のお寺です。
日本最大の禅寺である妙心寺。
日本にある約6,000の臨済宗の寺院のうち、なんと半数以上が妙心寺に属する寺院なんです。
この大雄院は、そんな妙心寺に属する塔頭寺院の一つ。
塔頭のうち、退蔵院、桂春院、大心院の三寺院が常に一般公開されており、この大雄院は不定期に開催の特別拝観の期間にのみその境内が公開されます。
そんな大雄院の見どころは、「近世の天才芸術家と評される柴田是真(しばたぜしん)による襖絵」!
ウィーン万国博覧会での評価など、日本に留まらず世界的に評価された是真の芸術作品。
そんな是真の代表作でもある七十二面にのぼる襖絵の大作が、この大雄院には残されています。
「海外でもその評価が高い芸術家が遺した襖絵を見たければ大雄院へ!」
今回は、そんな大雄院を訪れてみました。
大雄院の歴史
では、まずはじめに大雄院の歴史と覚えておきたいポイントを一緒に見て行きましょう!
この大雄院(だいおういん)は、日本最大の禅寺である妙心寺塔頭の一つ。
江戸時代の1603年に、尾張藩(おわりはん)の武将であった石川光忠(いしかわ みつただ)が、妙心寺の住職であった慧南玄譲(えなんげんじょう)を招き創建されました。
石川光忠とはあまり聞きなれない名前ですが、どんな武将だったんでしょうか?
今回は、このお寺の開基であるこの「石川光忠(いしかわみつただ)」について見て行きましょう!
そもそも光忠の属する「美濃石川家」は尾張藩の所属であり、長く豊臣秀吉に仕えた名家。
光忠の父・石川光元(いしかわみつもと)は、秀吉の死後に勃発した関ヶ原の戦いで西軍に所属し敗北、徳川家康にその領地を没収されてしまい、失意の中でその生涯を閉じます。
一人残された跡取り息子の光忠は、不遇な父親を弔うために京都にお寺を建立することになりました。
そのお寺がこの大雄院(だいおういん)で、お寺の創建当時の光忠はなんとわずか「9歳」!
あの世の光元「幼いわが子を遺して死ぬとは・・・、我が人生に一遍の悔いありまくりやー!」
光忠「父上、安心してください!立派に家を継ぎます!子供だけど!」
光忠「父上の魂を弔うために立派なお寺も建てました!子供だけど!」
あの世の光元<「うぅっ、何てえぇ子に育ったんや・・・。パパ感激!」
てことで、光忠は今の小学生ほどの年齢で名家の家督相続とお寺の創建という重責を果たしたのでした。
昔の日本で長男に生まれるとホント大変だったんですよね、現代に生まれてきてよかった…。
ただし、どれだけしっかりしていても子供は子供。
本人の資質や家柄だけで、全てが上手くいくほどその時代は甘くありませんよね。
しかーし!
彼はラッキーだったことに、母親がその後超大物に出世した人物だったんです。
そんな彼の母親の名前はお亀の方(おかめのかた)。
そうです、母親は光忠を生んですぐ徳川家康に見初められ22歳で側室に抜擢、家康がベタ惚れで迎えたそうです。
その当時、家康との年の差はなんと30歳も離れていたんだとか!
エロたぬきじじいめ・・・。ウラヤマシイ。
そのお亀の方が側室に入る条件の一つとして家康に出したのが、自身の子であった光忠を守ること。
お亀の方「ちょっと家康はん、うちの子とってもええ子やさかい後の面倒を見たってくれはります?」
徳川家康「おぉ、可愛いお前の言う事やったら何でも聞いたるで!尾張藩で面倒見たるわ!がはは!」
ということで、光忠は母親の取りなしにより徳川家が治める尾張藩(おわりはん)に召し抱えられることとなり、見事返り咲くことが出来ましたとさ!
この大雄院は、そんな波乱万丈の子供時代を過ごした光忠が興したお寺です。
教訓「子供が最後に頼れるのは、いつの時代も母の愛なんですね!」
おしまい。
妙心寺の歴史についても知っておこう!
塔頭であるこの大雄院だけではなく、大本山である「妙心寺(みょうしんじ)」にも興味がある人はぜひ上記の記事も見てくださいね!
大雄院について
大雄院は通常非公開であり、不定期に開催される特別拝観期間のみ拝観が可能です。
下記の情報は、2017年冬の特別拝観時のものを参考にしています。
お寺の詳細
住所:〒616-8035 京都府京都市右京区花園妙心寺町52
連絡先:075-463-6538
創建:1603年
開基:石川光忠(いしかわ みつただ)
宗派:臨済宗妙心寺派
ご本尊:釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)
拝観時間
10:00~16:00
拝観料
中学生以上 | 600円 |
小学生 | 300円 |
*座禅会へ参加の場合は「無料」です。
お寺のWebサイト
その他注意点
・毎月第一、第三土曜日に座禅会を開催されています。
・写真/動画撮影可能な場所や、一脚/三脚の利用可否は必ず係員に確認しましょう。
・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてくださいね。
では次に、大雄院の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!
大雄院の見どころ
*のついている見どころは有料エリアです。
表門
大雄院は妙心寺(みょうしんじ)境内の北東に位置し、北総門からは約3分、南総門からは約4分ほど境内を歩くと到着します。
妙心寺の境内を進んでいくと、大雄院の表門(おもてもん)が見えてきました!
こちらの門は江戸時代初期の1603年の創建当時から唯一残されている建築で、京都府指定登録文化財です。
では、さっそく境内にお邪魔してみたいと思います!
庫裏*
境内を進むと立派な庫裏(くり)が出迎えてくれました。
江戸時代末期に改築されたもので、京都指定登録文化財です。
こちらで拝観の受付や御朱印の依頼をさせて頂きました。
客殿/書院*
拝観尾受付を済ませて境内を進むと、客殿や書院へと続く玄関がありました。
こちらで靴を脱いで建物内に入ります。
客殿(きゃくでん)及び書院(しょいん)は渡り廊下で繋がる建築で、元々はお亀の方が徳川家康から贈られた伏見の屋敷を移築したものだそうです。
現在の建築は江戸時代の1726年に再建され、いずれも京都指定登録文化財に指定されています。
玄関から入って手前が客殿、奥が書院になっています。
客殿や書院の内部は、襖絵を含めて写真撮影禁止でした。
客殿では、江戸時代から明治初期にかけての天才芸術家として名高い柴田是真(しばたぜしん)による全七十二面の圧巻の襖絵を拝むことが出来ました!
この是真の繊細かつおしゃれな作品は、日本国内よりむしろ海外で評価が高く、是真の作品を日本で見られるのはとても貴重なんだそうです。
奥の書院では、江戸時代後期の画家・土岐済美(ときざいみ)によって描かれたダイナミックな構図の「山水図襖絵」を拝見させて頂きました。
庭園*
客殿の南側には簡素ながらも美しい苔の枯山水庭園が広がっており、縁側にゆっくり座って庭園の景色を楽しめました。
私が訪れたのは冬だったので苔が色あせていますが、苔の綺麗な時期には2種類の色の異なる苔のコントラストが楽しめる庭園です。
また、庭園をよく観察すると傘の形がそれぞれ異なる三種類の燈籠が置かれているのも面白いポイントですね。
庭園の後方には小さいながらもしっかりと池や橋が配され、ぐっと凝縮された庭園美を楽しむことが出来ました。
これで、大雄院の主な見どころは見て回りました!
やはり柴田是真(しばたぜしん)の襖絵が一番の見どころだと思います。
また、昨今は「襖絵プロジェクト」と題して是真が遺した図面をもとに新たな襖絵デザインを行っておられるなど、芸術保存を意識した取り組みもなされていますので、次回訪れる際にはまた違った風景を拝めることになりそうです。
是非行ってみてくださいね。
大雄院の写真
大雄院の御朱印
この大雄院では、ご本尊である「釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)」の御朱印を頂きました。
御朱印は入口の受付で頂く事が出来ます。(300円)
大雄院への行き方/アクセス方法
大雄院は、妙心寺の境内にあります。
最寄り駅はJR花園駅または嵐電北野線 妙心寺駅です。
京都駅、京都河原町駅、祇園四条駅からバスで行くことも出来ます。
大阪駅から花園駅へのルート例(電車)
①JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、JR嵯峨野丸線に乗り換え。
②JR嵯峨野線で「京都駅」から「花園駅」へ。
なんば駅から花園駅へのルート例(電車)
①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「梅田駅」へ行き、JR京都線に乗り換え。
②JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、JR嵯峨野丸線に乗り換え。
③JR嵯峨野線で「京都駅」から「花園駅」へ。
京都駅から花園駅へのルート例(電車)
①JR嵯峨野線で「京都駅」から「花園駅」へ。
花園駅からの徒歩ルート例
徒歩約6分(400 m)です。
妙心寺駅からの徒歩ルート例
徒歩約5分(300 m)です。
京都駅からバスに乗る場合
「京都駅前 乗り場D3」から京都市バス「26系統」に乗車、「妙心寺北門前」で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:26系統[北野白梅町 御室仁和寺・山越行き]
乗車バス停:京都駅前[乗り場D3]
降車バス停:妙心寺北門前
運賃:230円
所要時間:約42分
京都河原町駅からバスに乗る場合
「四条河原町 乗り場A(南行き)」から京都市バス「10系統」に乗車、「妙心寺北門前」で下車
バス会社:京都市バス
行先・系統:10系統[北野天満宮 御室仁和寺・山越行き]
乗車バス停:四条河原町[乗り場A 南行き]
降車バス停:妙心寺北門前
運賃:230円
所要時間:約43分
祇園四条駅からバスに乗る場合
「四条京阪前 乗り場C」から京都市バス「10系統」に乗車、「妙心寺北門前」で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:10系統[北野天満宮 御室仁和寺・山越行き]
乗車バス停:四条京阪前[乗り場C]
降車バス停:妙心寺北門前
運賃:230円
所要時間:約40分
タクシーで行く場合
京都駅から:約3,000円(約20分)
京阪 祇園四条駅から:約2,800円(約15分)
・タクシー運転手に行き先を告げたい場合
・タクシーを呼びたい場合
タクシー配車連絡先(京都駅周辺)
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いかがでしたか?
それでは楽しい旅を!