麟祥院(りんしょういん)は、京都市右京区にある臨済宗妙心寺派の寺院です。
日本で最大規模の禅寺である妙心寺(みょうしんじ)には48もの塔頭があり、この麟祥院もそのうちの1つ。
1634年に江戸幕府3代将軍・徳川家光(とくがわいえみつ)が乳母であった春日局(かすがのつぼね)の菩提寺として建立したことが起こりです。
このお寺の見どころは、「春日局にゆかりのある数々の書画」!
寺内には、徳川幕府・江戸城の大奥(おおおく)を取り仕切ったと言われている春日局にゆかりのある、多くの書画が展示されています。
特に「雲龍図(うんりゅうず)」は、江戸時代の絵師・海北友雪(かいほうゆうせつ)の代表作として受け継がれています。
また、境内には一面に苔を配した枯山水庭園がありとても落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
「大奥の基礎を築いた、春日局のゆかりの品をみたければ麟祥院へ!」
今回は、そんな麟祥院を訪れてみました。
麟祥院の歴史
では、まずはじめに麟祥院のお寺の歴史を一緒に見て行きましょう!
麟祥院は、日本でも最大規模を誇る禅寺の一つである妙心寺(みょうしんじ)の塔頭寺院です。
麟祥院は江戸時代の1634年、江戸幕府3代将軍・徳川家光(とくがわいえみつ)によって乳母であった春日局(かすがのつぼね)の菩提寺として建立されました。
お寺の開基は春日局(かすがのつぼね)、開山は碧翁愚完(へきおうぐかん)という臨済宗の僧です。
「麟祥(りんしょう)」という名前の由来は、春日局の法号である「麟祥院殿仁淵了義尼大姉」から来ています。
そのため、お寺の山門の脇には春日局の菩提寺を示す石碑が建てられています。
春日局は江戸幕府3代将軍・徳川家光(とくがわいえみつ)の乳母であり、江戸城の大奥を取り仕切った重要人物。
その力は強大で、時の老中(ろうじゅう)(現在の大臣のようなもの)よりも大きな権力を持っていたとか。
その力により、2代将軍・徳川秀忠(とくがわひでただ)の世継ぎ騒動を収めた話は有名ですよね。
知らない方のために、話を要約するとこんな感じです。
むかーしむかし、時は江戸時代初期のお話。
徳川2代将軍・徳川秀忠とその継室であるお江の次男であった「家光」は、親元を離れて春日局を乳母として育ちました。
その後に生まれた三男の忠長(ただなが)は親元で育ったため、秀忠とお江はこの忠長を溺愛し跡継ぎにしようとしました。
しかーし!
家光の乳母であった春日局は、本来の後継者である次男の家光が世継ぎにならないのはおかしい!として、初代将軍(家光からみたらおじいちゃん)であった徳川家康(とくがわいえやす)に直談判。
秀忠の長男だった長丸(ちょうまる)は1歳の若さで既に夭逝していたため、本来は次男の家光に家督相続権があったんですね。
春日局「ちょっと家康はん!あんたの息子が家督相続のしきたりを無視して次男ではなく三男を世継ぎにしようとしてはりますぇ!」
それを聞いた家康さん、江戸城に鷹狩りと称したお忍びの視察をしてから一言。
家康「相続の乱れはお家の乱れや!てことで次の将軍は相続どおり「家光」に継がせろや!わかったな!」
秀忠&お江「ぐぬぬぬ。正論過ぎて反論できない。しゃーない・・・。」
といういきさつがあり、徳川家のプチ世継ぎ騒動は終わったのでした。
この騒動が長引くと、もしかすると徳川幕府は3代目で終わっていたかもしれないんですね・・・。
「お江」と「春日局」は永遠のライバルで仲が悪い!とよく言われますが、これは上記の話が高じて後世に伝わったものと思われます。
でもまぁ結局は上手く収まった話であり、仲が本当に悪かったかどうかは謎ですが・・・。
こうして大奥の管理だけでなく、政治の世界でも手腕を発揮した春日局を弔うために作られたのがこの麟祥院。
このお寺の御霊屋(みたまや)と呼ばれる建物には、春日局の木像が安置され、今日も柔和な笑みをたたえています。
おしまい。
麟祥院について
麟祥院は通常非公開であり、「特別拝観期間」にのみ一般公開される場合があります。
京都の特別拝観情報
以下は「2019年冬の特別拝観」の情報です。
お寺の詳細
住所:〒616-8035 京都府京都市右京区花園妙心寺町49
連絡先:075-463-6563
創建:1634年(諸説あり)
開基:春日局(かすがのつぼね)
宗派:臨済宗(りんざいしゅう)
本尊:釈迦如来(しゃかにょらい)
拝観時間
10:00~16:00
拝観料
大人 | 600円 |
子供 | 300円 |
その他注意点
・写真/動画撮影可能な場所や一脚/三脚の利用可否は、必ず係員に確認しましょう。
・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてくださいね。
では次に、麟祥院の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!
麟祥院の見どころ
*のついている見どころは有料エリアです。
山門
お寺の入口である山門(さんもん)です。
境内
山門から方丈へ続く境内通路には、一面に苔が配されています。
境内の瓦のデザインは、「隅切角に三(すみきりかくにさん)」の家紋がかたどられています。
これは春日局が家光の乳母になる前の嫁ぎ先であった、稲葉正成(いなばまさしげ)の家紋に由来します。
方丈
こちらが方丈(ほうじょう)への入口玄関です。
方丈入口の火灯窓(かとうまど)より庭園を望む。
方丈の全景。
建物は、明治時代の1910年に現在の場所に移築されたものです。
方丈内部の襖絵には、江戸時代の絵師・海北友雪(かいほうゆうせつ)の代表作である雲龍図(うんりゅうず)が描かれています。
友雪の父親である、絵師の海北友松(かいほうゆうしょう)と春日局は旧知の仲であり、その息子である友雪の芸術活動を支援したと言われています。
方丈内部には、徳川家光より拝された百椿図屏風(ひゃくつばきずびょうぶ)も展示されていました。
江戸時代にあった全ての椿の種類が描かれているんだとか!
ここで言う「百」は「数字の100」ではなく「大変多いこと」を指すため、絵柄が「100個」無くても良いんだそうです。
方丈庭園*
方丈庭園(ほうじょうていえん)は、麟祥院の十三世住職であった土屋琢道による作庭です。
全面に苔の海、左方に枯滝組、左上から右下に川が流れて海に繋がる庭組、中央の二つの長石にて船を表現した趣の枯山水庭園。
庭園の右奥には、その昔京都の淀地区に築城され、春日局ともつながりの深い稲葉氏が治めていた淀城のしゃちほこが配されています。
御霊屋*
御霊屋(みたまや)は、後水尾天皇(ごみずのおてんのう)より拝された釣り殿を移築したものです。
外観は小堀遠州(こぼりえんしゅう)、内装は狩野貞信(かのうさだのぶ)という共に江戸時代を代表する巨匠により作られた建物です。
建物内部には、小堀遠州(こぼりえんしゅう)作と伝えられる春日局木像が祀られています。
庫裏*
山門を入った左手にある建物が庫裏(くり)です。(入場はできません。)
春日稲荷*
入口の受付の裏に、春日稲荷(かすがいなり)がひっそりと佇んでいます。
春日局は江戸幕府において大変な出世をしたことから、「出世稲荷」ともされているんですね。
麟祥院の動画
麟祥院の写真
麟祥院の御朱印
御朱印は春日局の家紋である「隅切角に三(すみきりかくにさん)」に春日局の幼少の名前である「御福(おふく)」の文字です。
御朱印は受付で頂くことができます。(300円)
麟祥院への行き方/アクセス方法
麟祥院は、妙心寺の境内にあります。
最寄り駅はJR花園駅または嵐電北野線 妙心寺駅です。
「京都駅」、「河原町駅」、「祇園四条駅」からバスで行くことも出来ます。
大阪駅からのルート例(電車)
①JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、JR嵯峨野丸線に乗り換え。
②JR嵯峨野線で「京都駅」から「花園駅」へ。
なんば駅からのルート例(電車)
①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「梅田駅」へ行き、JR京都線に乗り換え。
②JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、JR嵯峨野丸線に乗り換え。
③JR嵯峨野線で「京都駅」から「花園駅」へ。
京都駅からのルート例(電車)
①JR嵯峨野線で「京都駅」から「花園駅」へ。
花園駅からの徒歩ルート例
徒歩約6分(400 m)です。
妙心寺駅からの徒歩ルート例
徒歩約5分(300 m)です。
京都駅からバスで行く場合
「京都駅前 乗り場D3」から京都市バス「26系統」に乗車、「妙心寺北門前」で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:26系統[北野白梅町 御室仁和寺・山越行き]
乗車バス停:京都駅前[乗り場D3]
降車バス停:妙心寺北門前
運賃:230円
所要時間:約42分
河原町駅からバスで行く場合
「四条河原町 乗り場A(南行き)」から京都市バス「10系統」に乗車、「妙心寺北門前」で下車
バス会社:京都市バス
行先・系統:10系統[北野天満宮 御室仁和寺・山越行き]
乗車バス停:四条河原町[乗り場A 南行き]
降車バス停:妙心寺北門前
運賃:230円
所要時間:約43分
祇園四条駅からバスで行く場合
「四条京阪前 乗り場C」から京都市バス「10系統」に乗車、「妙心寺北門前」で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:10系統[北野天満宮 御室仁和寺・山越行き]
乗車バス停:四条京阪前[乗り場C]
降車バス停:妙心寺北門前
運賃:230円
所要時間:約40分
タクシーで行く場合
京都駅から:約3,000円(約20分)
京阪 祇園四条駅から:約2,800円(約15分)
・タクシー運転手に行き先を告げたい場合
・タクシーを呼びたい場合
[タクシー配車連絡先: 京都駅周辺]
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いかがでしたか?
それでは楽しい旅を!