瑞峯院(ずいほういん)は京都市北区にある、臨済宗大徳寺派の寺院です。

大本山である大徳寺(だいとくじ)は京都でも有数の規模と大きさを誇る禅寺であり、24の塔頭(たっちゅう)があります。

その中で常時拝観可能な塔頭寺院は「龍源院」「大仙院」「高桐院」「瑞峯院」の4箇所です。

今回はそんな塔頭の1つである瑞峯院に行って来ました。

キリシタン大名として名を馳せた大友宗麟(おおともそうりん)により建立されたこのお寺には、庭園の中にキリスト教のシンボルである十字架がデザインされているという斬新な庭園を持ちます。

禅宗の寺院の日本庭園にキリスト教のシンボルである十字架。

まさに和洋折衷(わようせっちゅう)の不思議な世界観がここには存在します。

今回はそんな瑞峯院を訪れてみました。


瑞峯院の歴史

では、まずはじめに瑞峯院の歴史を一緒に見て行きましょう!


この瑞峯院は、1533年ごろの建立です。

このお寺で覚えたいキーワードはお寺の開基である大友宗麟(おおともそうりん)

大友家はもともと豊前国及び豊後国(現在の大分県)を治める名家。

そんな大友家に属する彼はもともと「大友義鎮(おおともよししげ)」という名前で、禅宗を信仰する人物でした。

が、そんな彼に「お家騒動」が襲いかかります。

1550年に父である大友義鑑(おおともよしあき)が家督相続にあたり、正室の子である義鎮ではなく側室の子を跡継ぎにしようと画策したんですね。

その後、大友家内部で大規模な争いが勃発し、この騒動により父の義鑑側が敗北。

これが世に言う二階崩れの変(にかいくずれのへん)です。

このお家騒動を経て、義鎮(宗麟)は正式に大友氏の当主となったんですね。


お家騒動で疲れ果てた大友家ですが、騒動の翌年に運命を変える出会いがありました。

それがキリスト教を普及させるために派遣されていたイエズス会の宣教師、フランシスコザビエルとの出会い。

義重(宗麟)はお家騒動で弱くなったお家の力を取り戻すため、イエズス会の布教を許す代わりに海外との貿易に力を入れることにしました。


これらの理由から、宗麟は有力なキリシタン大名の一人として認識されることとなりました。

その後1562年に出家、自分の名前を「義鎮」から「宗麟」と改めました。

その際につけられた法名が「瑞峯院殿瑞峯宗麟居士」。

はい、このお寺の名前はこの宗麟の法名から来ているんです。


1578年には、島津家との抗争「耳川の戦い(みみかわのたたかい)」にて宗麟は敗北。

この敗北を受け、宗麟は神に救いを求めるため正式にキリスト教の洗礼を受けました。

しかし、お家のトップが仏教からキリスト教になったんだからさぁ大変!

大友家はキリスト教を認めない派閥との内部抗争などで衰退の一途をたどることとなり、宗麟は失意の中1587年に死去したんだとか。

そんな宗麟のお葬式は、「キリスト教式」「仏式」の両方で行われたそうです。

数々のお家騒動と宗教に翻弄された人生、さぞかし大変だったんでしょうね。

この瑞峯院は、そんな波乱万丈の人生を生きた大友宗麟が眠るお寺です。

おしまい。

瑞峯院について

お寺の詳細

住所:〒603-8231 京都府京都市北区紫野大徳寺81
連絡先:075-491-1454
創建:1533年頃
開基:大友義重(宗麟)
宗派:臨済宗大徳寺派
ご本尊:徹岫宗九(
大満国師)

拝観時間

9:00~17:00

拝観料

高校生以上 400円
中学生以下 300円

その他注意点

・写真/動画撮影可能な場所や一脚/三脚の利用可否は、必ず係員に確認しましょう。

・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてくださいね。


では次に、瑞峯院の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!


瑞峯院の見どころ

*のついている見どころは有料エリアです。

表門(重要文化財)

重要文化財の表門(おもてもん)は、室町時代の1535年ごろ、お寺の創建時に建てられたものです。

唐門(重要文化財)

重要文化財の唐門(からもん)は、表門と同じく室町時代の1535年ごろ、お寺の創建時に建てられたものです。

庫裏*

こちらが庫裏(くり)、拝観の受付を行います。

方丈(重要文化財)*

重要文化財の方丈(ほうじょう)室町時代の1535年ごろ、お寺の創建時に建てられたものです。

掲げられている扁額は後奈良天皇(ごならてんのう)による宸筆です。

方丈南庭「独座庭」*

独座庭(どくざてい)は白砂を敷き詰めた蓬莱山式の枯山水庭園です。

名前の由来は中国の高名な禅僧である百丈懐海(ひゃくじょうえかい)の遺した「独坐大雄峰」という禅語に由来します。


蓬莱山に見たてた巨石に打ち寄せる白波が、白砂でダイナミックに表現されている雄大な庭園です。

方丈北庭「閑眠庭」*

こちらが閑眠庭(かんみんてい)、白砂を敷きつめた枯山水庭園になっています。

名前の由来は「閑眠高臥對青山」という禅語から。

現代的に意訳すると「ゆっくりと横たわって青々とした山を愛でて人生を過ごそうか!」といったところでしょうか。


この庭園はキリシタン大名であった大友宗麟に敬意を払い、その石組みがキリスト教の十字架(クロス)の形をしています。


「どこが十字架の形なんだ?」って突っ込みが来そうなので、ちょっと図解してみました。

写真がへたくそですいません。

ぜひ、実際に現地に行って堪能してください!

方丈中庭「茶庭」*

こちらが方丈の中庭、通称「茶庭(ちゃてい)」です。

中央にはキリシタン灯籠がしつらえてあります。

この灯籠はわざと下の部分が埋まっており、埋められた部分に「聖母マリア像」が隠れています。

キリスト教が弾圧されていた時代、隠れキリシタンの人たちはこのようにしながら信仰を続けていたんですね。

餘慶庵(茶室)*

こちらが方丈の西側に位置する茶室の餘慶庵(よけいあん)です。

安勝軒(茶室)*

安勝軒(あんしょうけん)は、閑眠庭の奥に位置する茶室です。

この安勝軒の奥に、千利休が好んだとされるの妙喜庵待庵写しの茶室である「平成待庵(へいせいたいあん)」があります。


これで瑞峯院の境内の見どころを全て見て回りました。

訪れた感想としては、やはりキリシタン大名の菩提寺だけあって日本庭園に十字架のデザインが隠されているなど、他のお寺では味わえない楽しさがありました!

ぜひ訪れてみてくださいね!

瑞峯院の動画


瑞峯院の写真

瑞峯院:Zuiho-in Temple(20161007)

瑞峯院の御朱印

瑞峯院の御朱印の墨書きは、庭園の名前の由来でもある独坐大雄峰(どくざだいゆうほう)という禅の言葉です。

意味としては「一番ありがたいのは、いまここに座っているただそれだけだ。」という感じだそうです。


瑞峯院への行き方/アクセス方法

瑞峯院は大徳寺の境内にあります。

最寄り駅は京都市営地下鉄烏丸線 北大路駅です。

京都駅からバスで行くことも出来ます。


大阪駅からのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、京都市営地下鉄烏丸線に乗り換え。

②京都市営地下鉄烏丸線で「京都駅」から「北大路駅」へ。

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なんば駅からのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「梅田駅」へ行き、JR京都線に乗り換え。

②JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、京都市営地下鉄烏丸線に乗り換え。

③京都市営地下鉄烏丸線で「京都駅」から「北大路駅」へ。

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京都駅からのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①京都市営地下鉄烏丸線で「京都駅」から「北大路駅」へ。

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北大路駅からの徒歩ルート例

徒歩約25分(約1.3km)です。


北大路駅からバスで行く場合

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バス乗換え案内

「北大路バスターミナル乗り場G」から京都市バス「204/206系統」に乗車、「大徳寺前」で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:204系統[金閣寺・円町行き]
乗車バス停:北大路バスターミナル[乗り場G]
降車バス停:大徳寺前
運賃:230円
所要時間:約5分

バス会社:京都市バス
行先・系統:206系統[京都駅行き]
乗車バス停:北大路バスターミナル[乗り場G]
降車バス停:大徳寺前
運賃:230円
所要時間:約5分


京都駅からバスで行く場合

バス乗換え案内

「京都駅前乗り場A3」から京都市バス「206系統」に乗車、「大徳寺前」で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:206系統[大徳寺・北大路バスターミナル行き]
乗車バス停:京都駅前[乗り場A3]
降車バス停:大徳寺前
運賃:230円
所要時間:約35分


タクシーで行く場合

京都駅から:約3,300 (20)

祇園四条駅から:約3,000円(20分)

・タクシー運転手に行き先を告げたい場合

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・タクシーを呼びたい場合

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[タクシー配車連絡先: 京都駅周辺]

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いかがでしたか?

それでは楽しい旅を!