高桐院(こうとういん)は京都市北区にある、臨済宗大徳寺派の寺院です。

大本山である大徳寺(だいとくじ)は京都でも有数の規模と大きさを誇る禅寺であり、24の塔頭(たっちゅう)があります。

その中で常時拝観可能な塔頭寺院は「龍源院」「大仙院」「高桐院」「瑞峯院」の4箇所。

今回はそんな塔頭の1つである高桐院に行って来ました。

この高桐院は肥後細川家の菩提寺であり、戦国時代の名将細川忠興(ほそかわただおき)と妻である細川ガラシャが眠る場所でもあります。

細川ガラシャの父親と言えば、その生涯を時代の波に翻弄された明智光秀(あけちみつひで)

ガラシャもまた、キリスト教への改宗や時代の波に翻弄されつつ自分の信念に殉じた女性として、戯曲「強き女」のモデルとされたほどの女性です。

「強き女性が安らかに眠る場所。」

今回はそんな高桐院を訪れてみました。



高桐院の歴史

では、まずはじめに高桐院の歴史と覚えておきたいポイントを一緒に見て行きましょう!


この高桐院(こうとういん)は、戦国時代きっての完璧超人・細川藤考(ほそかわふじたか)を弔うために、長男の細川忠興(ほそかわただおき)が1601年に建立しました。

このお寺で覚えておきたいキーワードは、その細川忠興(ほそかわただおき)とその妻ガラシャ

戦国時代において数奇な運命をたどった夫婦なので、ご存知の方も多いかと思います。


細川忠興は一貫して時の有力者を支えた、非常に有能な武将でした。

その仕官先はざっと挙げるだけで足利義昭織田信長豊臣秀吉徳川家康と、まさにその時代の権力者ばかり。

そんな忠興は1578年に、明智光秀の三女・明智珠(あけちたま)を正室に迎えます。

(この明智玉がのちの細川ガラシャです。)

実は夫の忠興はその時、織田信長(おだのぶなが)に仕えていました。

明智光秀は天下を取るため織田信長を本能寺の変(ほんのうじのへん)で討ちますが、実はこの際に娘の嫁ぎ先であった忠興には味方になるように説得していました。

だがしかし!

忠興は信長への忠誠を貫き、光秀からの申し出を拒否!

(妻の明智珠は、明智家の血縁であったため山の奥深くに幽閉されたと言います。)

光秀としては、まさか娘の嫁ぎ先に拒否されるとは!って感じでしょうね。

その後、明智光秀が山崎の戦い豊臣秀吉(とよとみひでよし)に敗れた一番の理由はこの忠興を味方にできなかったことだとも言われています。


その後、忠興と珠の間には子供が生まれますが、とても病弱であったと言います。

そんな子供の無事を祈るために、珠はキリスト教の洗礼を受け「ガラシャ」の名を受けます。

しかし、そんなガラシャの夫が仕える秀吉はキリスト教や南蛮貿易を禁じるバテレン追放令を出すほどの南蛮嫌い。

そのため、ガラシャは夫の忠興にはキリスト教への改宗を正式に伝えられなかったといいます。

愛する子供のために信じたキリスト教と、愛する夫が仕える豊臣秀吉。

この板ばさみの立場はさぞかし大変だったでしょうね。


そんな中起こったのが、1600年の関ヶ原の戦い

忠興は東軍である徳川家康(とくがわいえやす)につき上杉家の征伐のために会津征伐に向かいますが、その際に忠興の留守宅が西軍の石田光成(いしだみつなり)により攻め込まれます。

家を守っていたガラシャは人質となることを拒み、夫である忠興と細川家の名誉のために死を選びました。

(この時代留守を守る妻が人質にとられた場合、死を選ぶことが武士の妻の誉れと思われていました。)

ただ、「自死」という行動、実はキリスト教では絶対にやってはいけないこと(禁忌)とされています。

そのためガラシャは介錯人(かいしゃくにん)を立てることで、「夫」と「キリスト教」の両方を立てる形でこの世を去ったとされています。

人生の最後まで「キリスト教徒である自分」と「名門細川家の正室」としての立場を両立したんですね。

まさに「強き女」を体現するエピソードです。


会津征伐から戻った忠興は、ガラシャがキリシタン墓地に埋葬されていたことで初めて妻がキリスト教であったことを知ったと言われています。

忠興はガラシャの死を痛く悲しみ、キリスト教形式での教会葬を依頼するなど、その後ガラシャの信じたキリスト教に対して最大限の配慮をしたと言われています。

ガラシャにとっては、この時ようやく「愛する夫」と「子供のために信じたキリスト教」の両立が認められた瞬間だったのかも知れませんね。

そんな数奇な運命をたどった細川ガラシャ、今はこの高桐院にあるお墓で夫の忠興と共に仲睦まじく安らかに眠っています。

おしまい。

拝観の注意点

お寺の詳細

住所:〒603-8231 京都府京都市北区紫野大徳寺73-1
連絡先:075-492-0068
創建:1601年
開基:細川忠興
宗派:臨済宗大徳寺派
ご本尊:釈迦如来

拝観時間

9:00~16:30

拝観料

大人 400円
中学生 300円
子供 200円

その他注意点

・写真/動画撮影可能な場所や一脚/三脚の利用可否は、必ず係員に確認しましょう。

・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてくださいね。


では次に、高桐院の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!


高桐院の見どころ

*のついている見どころは有料エリアです。

参道

高桐院へと続く参道(さんどう)

周りを竹林と苔の緑が覆う美しい光景が、絶好の写真撮影スポットとして人気です。


初夏は緑の青もみじ、秋は深紅の紅葉が参道を彩ります。

どの季節に行っても美しい景色が出迎えてくれますよ。

庫裏*

こちらが庫裏(くり)です。

この入口で、拝観の受付を行います。

本堂*

こちらが本堂(ほんどう)です。

明治時代の廃仏毀釈で一度取り壊され、その後再建されました。



本堂の縁側は常時解放されていて、庭園を見ながらゆっくりと過ごすことができます。

蓬莱(茶室)*

本堂に連なる建物には、茶室のしつらえがあります。

この茶室は蓬莱(ほうらい)と呼ばれており、裏千家十三代にあたる円能斎(えんのうさい)好みと伝えられます。

庭園「楓の庭」*

本堂の南側の庭園は、楓(かえで)の庭と呼ばれています。


楓と苔の緑が一体となる光景は、本当に見る者の心を落ち着かせてくれます。

意北軒(書院)*

境内の西側に面して建つ書院(しょいん)は、意北軒(いほくけん)と呼ばれており、茶の巨匠である千利休の邸宅を移築したものと伝えられています。


「意北」には「心寂しく簡素である」という意味があるそうです。

その名の通り、内部は千利休好みの「わび・さび」を体現した造りになっていますね。

松向軒(茶室)*

境内にある茶室の松向軒(しょうこうけん)は、豊臣秀吉が開いた有名なお茶会である北野大茶会(きたのだいさのえ)の際に作られた松向庵(しょうこうあん)という建物を移築したものだそうです。

細川忠興/ガラシャの墓所*

庭園の西側の奥には、細川忠興/ガラシャの墓所がありますので忘れずにお参りしましょう。


墓標である石灯籠は笠の後方が欠けているため、欠灯籠(かけどうろう)とも呼ばれています。


細川家の菩提寺らしく、墓所の奥には細川家歴代の墓がずらりと並べられていました。


これで高桐院の境内にある見どころを全て見て回りました。

訪れた感想としては、有料拝観場所だけでなく境内に通じる通路がとても綺麗で、「人気のフォトジェニックスポット」というのも頷けるなー、というものでした。

大徳寺を訪れる際は、ぜひこの高桐院も併せて訪れてみてくださいね!

高桐院の写真

高桐院:Koto-in temple (20161007)


高桐院の御朱印

御朱印の墨書きは寺名である高桐院(こうとういん)です。

高桐院への行き方/アクセス方法

高桐院は大徳寺の境内にあります。

最寄り駅は京都市営地下鉄烏丸線 北大路駅です。

京都駅からバスで行くことも出来ます。


大阪駅からのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、京都市営地下鉄烏丸線に乗り換え。

②京都市営地下鉄烏丸線で「京都駅」から「北大路駅」へ。


なんば駅からのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「梅田駅」へ行き、JR京都線に乗り換え。

②JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、京都市営地下鉄烏丸線に乗り換え。

③京都市営地下鉄烏丸線で「京都駅」から「北大路駅」へ。


京都駅からのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①京都市営地下鉄烏丸線で「京都駅」から「北大路駅」へ。


北大路駅からの徒歩ルート例

徒歩約25分(約1.3km)です。


北大路駅からバスで行く場合

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バス乗換え案内

「北大路バスターミナル乗り場G」から京都市バス「204/206系統」に乗車、「大徳寺前」で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:204系統[金閣寺・円町行き]
乗車バス停:北大路バスターミナル[乗り場G]
降車バス停:大徳寺前
運賃:230円
所要時間:約5分

バス会社:京都市バス
行先・系統:206系統[京都駅行き]
乗車バス停:北大路バスターミナル[乗り場G]
降車バス停:大徳寺前
運賃:230円
所要時間:約5分


京都駅からバスで行く場合

バス乗換え案内

「京都駅前乗り場A3」から京都市バス「206系統」に乗車、「大徳寺前」で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:206系統[大徳寺・北大路バスターミナル行き]
乗車バス停:京都駅前[乗り場A3]
降車バス停:大徳寺前
運賃:230円
所要時間:約35分


タクシーで行く場合

京都駅から:約3,300 (20)

祇園四条駅から:約3,000円(20分)

・タクシー運転手に行き先を告げたい場合

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・タクシーを呼びたい場合

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[タクシー配車連絡先: 京都駅周辺]


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いかがでしたか?

それでは楽しい旅を!