円満院門跡/圓満院門跡(えんまんいんもんぜき)は、滋賀県大津市にある門跡寺院です。

門跡寺院とは主に皇族の出身者が代々の住職を務める寺院の事であり、この円満院も三井三門跡の一つに数えられる名跡です。

元々は三井寺(みいでら)を総本山とする天台寺門宗に属していましたが、現在は独立した天台宗系の単立寺院です。

また、ここは桜や紅葉の名所として有名な三井寺(みいでら)のお隣ですが、驚くほど観光客が少ない穴場

そんな円満院の見どころは、国指定の名勝である「三井の名庭(みいのめいてい)」!

三井寺の喧騒に疲れたら、池泉式の優美な名庭を眺めつつ一休みすることをおすすめします!

今回はそんな円満院門跡/圓満院門跡を訪れてみました。


円満院門跡の歴史

では、まずはじめに円満院門跡/圓満院門跡の歴史と覚えておきたいポイントを一緒に見て行きましょう!


お寺の歴史は古く、平安時代の987年に村上天皇の第三皇子であった致平親王(むねひらしんのう)による建立です。

このお寺で覚えておきたいキーワードは門跡(もんぜき)

この言葉は、元々は「日本仏教の開祖の血統を有する正式な後継者」という意味合いの「門葉門流(もんようもんりゅう)」という言葉と同じ意味合いを持っていました。

しかし、日本仏教の正式な後継者が一人だと色々まずいということもあり、鎌倉時代以降は「皇室と関り深い寺格が特に高い寺院」を指すようになりました。

それゆえこの円満院も、先に書いた通り致平親王が開いた皇室ゆかりの寺院であるため「円満院門跡」という名で呼ばれています。


閑話休題。

このお寺は創建当初「三井平等院(みいびょうどういん)」とも称されていました。

「三井」とはこの寺院が創建当初に属していた「三井寺(みいでら)」の名称なので良いとして…、

「平等院(びょうどういん)」!?

あれ?

平等院って、確か京都の宇治にある世界遺産の「平等院(びょうどういん)」のことなんじゃないの?

実はこの円満院門跡、できたてほやほやの当初は先ほど書いた通り「三井平等院」という名前だったんです。

その後、藤原通長(ふじわらのみちなが)が京都の宇治に自分の別荘である「宇治殿(うじどの)」を建立。

この宇治殿をお寺に改修する際、円満院の住職であった明尊(みょうそん)が開基を務めました。

そんな縁もあり、宇治殿の名前をお寺っぽくしよう!という際に、元々滋賀で住職を務めていた「三井平等院」という名を宇治殿に付け替えることになり、めでたく「宇治平等院」という名前が世に生まれたんだとか。

ということでこの円満院門跡は、世界遺産である宇治の平等院の名付け親!でもあるんですね。


その後、近年まで円満院門跡は天台宗の寺院としての歴史を紡いできました。

が、近年になると財政難に陥ってしまい、2009年に重要文化財の建築物や庭園などがまるごと競売にかけられました!

その結果、滋賀県にある宗教法人大岡寺(だいこうじ)さんが落札し、その維持管理を引き継ぐことになりました。

由緒ある門跡寺院が競売にかけられ落札されたことは前代未聞の出来事だったので、当時かなりのニュースになりましたが、現在でも境内や庭園は昔と変わらず管理され拝観も出来るので一安心です。

教訓「重要文化財の建物を持っていても、財政難になると国は助けてくれません。」

おしまい。

円満院門跡について

お寺のWebサイト

お寺の詳細

住所:〒520-0036 滋賀県大津市園城寺町33
連絡先:077-522-3690
創建:987年
開基:致平親王(むねひらしんのう)
宗派:天台宗系単立
ご本尊:金色不動明王

拝観時間

9:00~

拝観料

大人 500円
高校生 300円

*中学生以下は無料です。

*上記の拝観料には「大津絵美術館」の入館料がセットになっています。

その他注意点

・写真/動画撮影可能な場所や、一脚/三脚の利用可否は必ず係員に確認しましょう。

・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてくださいね。


では次に、円満院門跡の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!


円満院門跡の見どころ

*のついている見どころは有料エリアです。

勅使門

こちらがこのお寺の入口の役割がある、勅使門(ちょくしもん)です。

ちなみに勅使門の裏側には、境内の湧き水である「三井の名水」を使った「開運そば」という美味しいお蕎麦屋さんがあります。

御常御殿

境内を進むとひときわ大きな建物である御常御殿(おつねごてん)が見えてきます。

こちらで拝観の受付を行います。

湧き水「三井の名水」

御常御殿のそばには、「三井の名水」と呼ばれる湧き水が湧き出しています。

無料でくみ上げることができるので、空のペットボトルを持参しましょう

宸殿 (重要文化財)*

こちらが1647年江戸時代禁裏より移築された宸殿(しんでん)です。


この建物は明正天皇(めいしょうてんのう)より下賜されたもので、重要文化財に指定されています。


建物の内部には、狩野派によって描かれた襖絵のレプリカが飾られています。

また、建物の縁側から眺める庭園の風景がとても美しいことで知られます。

三井の名庭 (名勝・史跡)*

宸殿の南側の庭園は「三井の名庭(みいのめいてい)」と称される池泉式の落ち着いた雰囲気の庭園です。


国の名勝/史跡に指定されており、室町時代の有名な芸術家・相阿弥(そうあみ)の作庭。

不老長寿を願う鶴島・亀島を配した「鶴亀の蓬莱庭」になっています。


築山には桜の古木が配置されており、特に春の景色が美しい庭園です。

本堂*

庭園の奥にある一段高い場所に建てられている本堂(ほんどう)には、歴代天皇の位牌が祀られています。

大津絵美術館*

この円満院門跡の境内には、仏教の信仰の象徴を表現しそのコミカルなデザインで人気の「大津絵(おおつえ)」の美術館があります。(写真は入場チケットより引用。)

日本で唯一の大津絵専門の美術館であり、ここでしか見られない貴重な大津絵が沢山展示されていました!

不動尊「三心殿」

境内入口の手前にある三心殿(さんしんでん)には、ご本尊の「金色不動明王」が祀られています。

円満院門跡の動画


円満院門跡の写真

圓満院門跡:Enman-in Monzeki (20170413)

円満院門跡の御朱印

円満院門跡の御朱印の墨書きは、お寺のご本尊である金色不動明王です。

受付で頂くことができます(300円)。


円満院門跡への行き方/アクセス方法

円満院門跡の最寄り駅は、京阪石山坂本線 三井寺駅です。

JR大津駅からバスで行くことも出来ます。


大阪駅からのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①JR京都線/湖西線で「大阪駅」から「山科駅」へ行き、京阪京津線に乗り換え。

②京阪京津線で「京阪山科駅」から「浜大津駅」へ行き、京阪石山坂本線に乗り換え。

③京阪石山坂本線で「浜大津駅」から「三井寺駅」へ。

miidera-02-jp


なんば駅からのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「梅田駅」へ行き、JR京都線に乗り換え。

②JR京都線/湖西線で「大阪駅」から「山科駅」へ行き、京阪京津線に乗り換え。

③京阪京津線で「京阪山科駅」から「浜大津駅」へ行き、京阪石山坂本線に乗り換え。

④京阪石山坂本線で「浜大津駅」から「三井寺駅」へ。

miidera-03-jp


京都駅からのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①JR琵琶湖線で「京都駅」から「膳所駅」へ行き、京阪石山坂本線に乗り換え。

②京阪石山坂本線で「京阪膳所駅」から「三井寺駅」へ。

miidera-04-jp


三井寺駅からの徒歩ルート例

徒歩約10分(600 m)です。


JR大津駅からバスに乗車する場合

バス乗換え案内

「大津駅乗り場3」から京阪バス「26/66/66A系統」に乗車、「三井寺」で下車。

バス会社:京阪バス
行先・系統:
・26系統[大津京駅行き]
・66/66A系統[比叡平行き]
乗車バス停:大津駅[乗り場3]
降車バス停:三井寺
運賃:210円
所要時間:約10分


タクシーで行く場合

京都駅から:約5,500円(25分)

京阪 祇園四条駅から:約5,000円(約20分)

JR大津駅から:約1,000円 ~ (10分)

・タクシー運転手に行き先を告げたい場合

enmanin-18

・タクシーを呼びたい場合

taxi-call

タクシー配車連絡先(京都駅周辺)

タクシー配車連絡先(大津駅周辺)

円満院門跡周辺のホテル検索/予約

日時を選択してクリックすれば、周辺ホテルの「最安値プラン」を自動的に検索します。


いかがでしたか?

それでは楽しい旅を!