一華院(いっかいん)は、京都市東山区にある臨済宗東福寺派のお寺です。
ここは京都有数の禅寺であり、京都五山の第四位に列する東福寺(とうふくじ)の塔頭の一つ。
毎年秋の特別拝観期間のみ公開される境内には、四神相応(しじんそうおう)の地である京都へ帰依した風情豊かな庭園が広がります。
そんな一華院の見どころは、「依稀松庭(いきまつのにわ)にある、見事な枝ぶりの松」。
南方を守護する伝説の神獣・朱雀(すざく)の羽ばたきを表現した見事な松の木は、一見の価値ありです!
今回は、そんな一華院を訪れてみました。
一華院の歴史
では、まずはじめに一華院の歴史と覚えておきたいポイントを一緒に見て行きましょう!
この一華院(いっかいん)は、東福寺に25ある塔頭寺院の一つ。
室町時代の1382年に、東福寺の第六十七世であった東漸建易(とうげんけんえき)によって創建されました。
その後江戸時代の1821年に、同じ東福寺塔頭の一つである霊雲院(れいうんいん)の僧・天瑞(てんずい)により再興され今に至ります。
お寺の名前である「一華(いっか)」。
とても綺麗な響きのあるこの言葉は、実は禅の修行である「禅問答(ぜんもんどう)」に由来するんだとか。
この言葉は、禅宗の祖である菩提達磨(ぼだいだるま)が遺した禅の教え「伝法偈(でんぽうげ)」の一節から来ています。
「一華開五葉 結果自然成」
素人の私が勝手に意訳すると…、
「煩悩を断ち切って純真無垢な心に立ちかえり、5つの心の花びらを悟り開きましょう!」
「そうすれば、後は自然と結果と言う綺麗な花が咲きますよ。」
というもの。
もう少し詳しく紐解いて見ると、
「私たちの心の中には、五枚の花びらを咲かせる一つのお花のつぼみがあります。」
「このお花は開花すると、それはそれは綺麗な花が咲くんだそうです。」
「そんなお花のつぼみがどんな状況で、どんな綺麗なお花が咲くのか?」
「これは自分自身の心の中にあるもので、他人が見たりすることはできないんです。」
「それを悟るために、禅の修行をしましょうね。」
というような感じでしょうか。
「他人が分かるような完璧な答えがあるわけではなく、答えは修行をした先の自分自身が実感するものである!」というのが、禅っぽいですよね。
ちなみに、5つの花びらはそれぞれ私たちの「ありのままを受け入れる心」「純粋な心」「分け隔てない心」「人を想う心」「全てに感謝する心」を指しているんだそうです。
またこのお寺にはもう一つ関係する禅問答の一説があり、これが一華院の庭園の名前に関係しています。
一華院の南庭にある見事な枝ぶりの松の木がある庭園は「依稀松(いきまつ)の庭」と呼ばれ、この「依稀(いき)」には「明らかでは無い様子」という意味があるんだそうです。
また、北庭にあるこの七五三の石組みを持つ庭園は「彷彿石庭(ほうふつせきてい)」と呼ばれ、この「彷彿(ほうふつ)」には「よく似ている様子」という意味があります。
これらの言葉も、実は以下の禅問答の一節から来ているんだとか。
「依稀(いき)たり松の屈曲(くっきょく) 彷彿(ほうふつ)たり石の爛班(はんらん)」
この意味を紐解いて見ると、
「この素晴らしい松の枝ぶりは、まるで龍や鳳凰、朱雀のように勇ましい姿だな!」
「ん?でも良く見たらやっぱり単なる松の木だわ。」
「この素晴らしい庭の石組みは、まるで虎のように恰好いい姿だな!」
「ん?でも良く見たらやっぱり単なる石だわ。」
このやり取りに見出す意味合いとしては…、
「格好つけた外観だけにとらわれることなく、そのあるがままの姿を見ましょうね!」
このように禅問答や禅の教えを調べていると、
「色々くよくよ考えても、答えはあなたの心の中にしか無いんだから精進しようね!」
って言われているような気がします。
教訓「禅問答を調べていると、だんだん禅の修業をしたくなる気分になる!」
おしまい。
東福寺の歴史も一緒に知っておこう!
塔頭である一華院だけではなく、大本山である「東福寺(とうふくじ)」にも興味がある人はぜひ上記の記事も見てくださいね!
一華院について
一華院は通常非公開であり、不定期に開催される特別拝観期間のみ拝観が可能です。
下記の情報は、2016年秋の特別拝観時のものを参考にしています。
お寺の詳細
住所:〒605-0981 京都府京都市東山区本町15-800
連絡先:075-561-7274
創建:1382年
開基:東漸建易(とうげんけんえき)
宗派:臨済宗東福寺派
ご本尊:白衣観音(びゃくえかんのん)
拝観時間
10:00~16:00
拝観料
高校生以上 | 400円 |
小中学生 | 300円 |
お抹茶付き拝観 | 1,200円 |
一華院のWebサイト
その他注意点
・写真/動画撮影可能な場所や、一脚/三脚の利用可否は必ず係員に確認しましょう。
・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてくださいね。
では次に、一華院の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!
一華院の見どころ
*のついている見どころは有料エリアです。
表門
お寺の入り口にある表門(おもてもん)は、特別拝観時にのみ開門されます。
では早速境内にお邪魔したいと思います!
表門を抜けると、風情ある石畳が続きます。
境内から表門を眺めてみました。
小さいながらも、良く手入れの行き届いた素敵な境内ですね。
では次に、拝観の受付に向かいましょう!
方丈/書院*
拝観の受付は、この方丈(ほうじょう)で行います。
方丈の前にある松の木は、四神相応の東を守護する神獣「青龍(せいりゅう)」に見立てているんだとか。
方丈の入り口には朱傘が飾られており、秋の風情を感じさせてくれる素敵な空間になっていました。
拝観料を支払い方丈の中を進んでいくと、お庭と方丈から続く書院が見えてきました。
方丈内部には本堂の間があり、ご本尊の白衣観音(びゃくえかんのん)が祀られています。
観音様の三十三の姿のうちの一つ、白衣をまとった観音様で「阿弥陀如来の妻」や「観音菩薩の母」ともされるため女性的な柔和な顔立ちが特徴的ですね。
書院の畳張りの広間からは、このお寺の見どころである「依稀松庭」を一望できます。
東福寺の界隈は、紅葉の時期には非常に混雑しますが、この一華院はそんな喧騒とは無縁の静寂が広がっていました!
依稀松庭
境内の南側に広がる苔張りの枯山水庭園が、南庭「依稀松庭(いきまつのにわ)」です。
庭園の中央にある依稀松(いきまつ)の枝ぶりを様々な形に見たてながら、禅の境地を悟りましょう!
板張りの縁側から依稀松(いきまつ)を眺めてみました。
因みに、この松の枝ぶりは四神相応の南を守護する神獣「朱雀(すざく)」にも見立てられるんだとか。
彷彿石庭 (北庭)*
境内の北側に広がる白砂の波紋が美しい枯山水庭園が、北庭「彷彿石庭(ほうふつせきてい)」です。
こちらは昭和の名作庭家・重森三玲(しげもりみれい)の孫である重森千靑(しげもりちさを)さんによる作庭です。
古来から縁起の良い「陽の数(奇数)」とされる「七五三の石組み」がされた特徴的な枯山水庭園ですね。
また、手前の三つの石組みは四神相応の北を守護する神獣「玄武(げんぶ)」にも見立てられるんだとか。
私が伺った際、庭園の西側はまだ更地でしたが、現在は「虎靠山(ここうざん)の庭」という苔と石組みの枯山水庭園が出来ており、四神相応の西を守護する神獣「白虎(びゃっこ)」に見立てられるんだとか。
これで、一華院の主な見どころは見て回りました!
秋の特別公開時、この一華院のある東福寺周辺はかなり混雑しますが、この一華院は比較的空いているためとてもおすすめですよ!
是非行ってみてくださいね。
一華院の写真
一華院の御朱印
一華院には「白衣観音」、「一華開五葉」、「朱雀」の3種類の御朱印があります。
今回私はお寺の名前の由来となった禅の言葉である「一華開五葉」の御朱印を頂戴しました。
一華院への行き方/アクセス方法
最寄り駅はJR/京阪東福寺駅です。
東福寺駅からは徒歩約15分(700m)です。
京都駅、京都河原町駅、 祇園四条駅からバスで行くことも出来ますが、電車で行くことをおすすめします。
大阪駅から東福寺駅へのルート例(電車)
①JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、JR奈良線に乗り換え。
②JR奈良線で「京都駅」から「東福寺駅」へ。
なんば駅から東福寺駅へのルート例(電車)
①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「梅田駅」へ行き、JR京都線に乗り換え。
2JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、JR奈良線に乗り換え。
3JR奈良線で「京都駅」から「東福寺駅」へ。
京都駅から東福寺駅へのルート例(電車)
①近鉄奈良線で「京都駅」から「東福寺駅」へ。
東福寺駅からの徒歩ルート例
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徒歩約15分(700 m)です。
京都駅からバスに乗る場合
「京都駅前[乗り場D2]」バス停から京都市バス「208系統」に乗車、「東福寺」バス停で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:208系統[泉涌寺・東福寺行き]
乗車バス停:京都駅前[乗り場D2]
降車バス停:東福寺
運賃:230円
所要時間:約16分
「京都駅前[乗り場C4]」バス停から京都市バス「南5系統」に乗車、「東福寺道」バス停で下車。
*このバスは本数が少ないです。
バス会社:京都市バス
行先・系統:南5系統[稲荷大社・竹田駅東口行き]
乗車バス停:京都駅前[乗り場C4]
降車バス停:東福寺道
運賃:230円
所要時間:約11分
京都河原町駅からバスに乗る場合
「四条河原町[乗り場E東行き]」バス停から京都市バス「207系統」に乗車、「東福寺」バス停で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:207系統[清水寺・東福寺行き]
乗車バス停:四条河原町[乗り場E東行き]
降車バス停:東福寺
運賃:230円
所要時間:約20分
祇園四条駅からバスに乗る場合
「四条京阪前[乗り場2東行き]」バス停から京都市バス「207系統」に乗車、「東福寺」バス停で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:207系統[清水寺・東福寺行き]
乗車バス停:四条京阪前[乗り場2東行き]
降車バス停:東福寺
運賃:230円
所要時間:約18分
タクシーで行く場合
京都駅から:約1,500円(10分)
祇園四条駅から:約1,700円(約10分)
・タクシー運転手に行き先を告げたい場合
・タクシーを呼びたい場合
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いかがでしたか?
それでは楽しい旅を!