桂春院(けいしゅんいん)は、京都市右京区にある臨済宗妙心寺派のお寺です。

日本最大の禅寺である妙心寺。

日本にある約6,000の臨済宗の寺院のうち、なんとその半数以上が妙心寺に属する寺院なんです。

この桂春院は、そんな妙心寺に属する塔頭寺院の一つ。

塔頭のうち、この桂春院、退蔵院大心院の三つの寺院が常に一般公開されています。

そんな桂春院の見どころは、「国の史跡・名勝に指定される四つの異なる日本庭園」!

江戸時代に作庭されたこれらの日本庭園は、各々違った風情を醸し出す素晴らしい庭園です。

「趣の異なる日本庭園を沢山楽しみたければ桂春院へ!」

今回は、そんな桂春院を訪れてみました。


桂春院の歴史

では、まずはじめに桂春院の歴史と覚えておきたいポイントを一緒に見て行きましょう!


この桂春院(けいしゅんいん)は、日本最大の禅寺である妙心寺塔頭の一つ。

安土桃山時代の1598年に、美濃国(みののくに)の武将・織田秀則(おだひでのり)が、妙心寺の住職であった水庵宗掬(すいあんそうきく)を招き創建されました。

創建当時は見性院(けんしょういん)という名でしたが、秀則の死後に寺の管理を継いだ石川貞政(いしかわさだまさ)により、その父母を弔うため江戸時代の1632年にお寺を改名することに。

その際、貞政の父と母の法名「天仙守大禅定門」「裳陰妙大姉」から一文字づつを取り、現在の名である「桂春院(けいしゅんいん)」に改められた歴史を持ちます。

お寺の建物も、そのほとんどがこの改名された際に建立されたものが現在まで残ります。


閑話休題。

今回は、このお寺の開基であった織田秀則(おだひでのり)についてちょっと勉強してみました。

あまり聞きなれない名前ですが、この人はどんな武将だったんでしょうか?

織田家と言えば、言わずと知れた織田信長(おだのぶなが)が真っ先に思い浮かびますよね!

はい、実はこの織田秀則はこの信長の孫にあたる人物なんです。

彼の父・織田信忠(おだのぶただ)は、信長から正式な後継者と指名された人物でしたが本能寺の変に巻き込まれて自害した人物。

彼の兄・織田秀信(おだひでのぶ)は、信長の死後に開かれた清須会議(きよすかいぎ)で豊臣秀吉の庇護を受けて正式に信長の家督を継いだ人物。

そんな織田信長から続く織田家の中核を担う血族の一人だった織田秀則は、とても聡明かつ熱心な宗教家に育ったと言われています。


それが証拠に、彼は仏教を信ずる傍らでキリスト教の洗礼も受けていました。

キリスト教の洗礼名は「パウロ」。

まさにハイブリッドな宗教観を持つ人物だったんですね。

かの有名なキリスト教の宣教師・ルイスフロイスは、彼をこんな風に評価していたらしいです。

「素性を知らずに彼と話したら、その品格によりドイツの貴族かと思っちゃったYo!」

おぉ、めっちゃ評価高い!さぞかし品格高い教養溢れた人物だったんでしょうね。

まぁ当時のドイツ貴族の品格がどのようなモノだったのかは分かりかねますが…。(笑)

その後は、このお寺を守るために京都でその余生を過ごしたと言われています。

この桂春院は、そんな織田信長の孫でありハイブリッドかつ品性あふれた宗教家でもあった織田秀則が守ってきたお寺です。

おしまい。

妙心寺の歴史についても知ろう!

塔頭であるこの桂春院だけではなく、大本山である「妙心寺(みょうしんじ)」にも興味がある人はぜひ上記の記事も見てくださいね!


桂春院について

お寺の詳細

住所:〒616-8036 京都府京都市右京区花園寺ノ中町11
連絡先:075-463-6578
創建:1598年
開基:織田秀則(おだ ひでのり)
宗派:臨済宗妙心寺派
ご本尊:薬師如来(やくしにょらい)

拝観時間

9:00~17:00

拝観料

500円

その他注意点

・写真/動画撮影可能な場所や、一脚/三脚の利用可否は必ず係員に確認しましょう。

・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてくださいね。


では次に、桂春院の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!

桂春院の見どころ

*のついている見どころは有料エリアです。

表門

桂春院は妙心寺(みょうしんじ)境内の北東に位置し、北総門からは約2分、南総門からは約5分ほど境内を歩くと到着しますので、北総門から向かうことをおすすめします。


妙心寺の境内を進んでいくと、桂春院の表門(おもてもん)が見えてきました!

江戸時代の建築で、京都府指定有形文化財に登録されています。


境内の庭園が国の史跡・名勝に指定されていることを指し示す石碑が、期待度を増してくれますね!

では早速境内にお邪魔したいと思います!

庫裏

表門をくぐり、境内を進むと庫裏(くり)が見えてきました。

こちらも京都府指定有形文化財に登録されており、入り口で拝観の受付を行います。

書院/既白庵*

まずは建物から見て行くことにします!

桂春院の本堂や書院、茶室といった各建物は全て渡り廊下で繋がっている構造になっていました。


庫裏の廊下をまっすぐに進むと、書院(しょいん)が見えてきました。

江戸時代の建築で、京都府指定有形文化財に登録されています。

また、この書院の裏手には江戸時代の1631年に長浜城(ながはまじょう)から移築された、茶室の既白庵(きはくあん)がありました。

こちらは庸軒流茶道の開祖・藤村庸軒(ふじむらようけん)好みの茶室なんだとか。

妙心寺は修行が厳しい禅寺だったので、昔から茶道詩歌などは修行の邪魔!とされてきました。

しかし、やっぱりたまにはお茶を楽しみたいよね!ということで、このようにこっそり建物の裏手に茶室を建ててお茶を楽しんだそうです。(笑)

方丈(本堂)*

庫裏の廊下を右手に曲がって進んでいくと見えてくるのが、方丈(ほうじょう)です。

江戸時代の1631年の建立で、京都府指定有形文化財に登録されています。


方丈は本堂(ほんどう)の役割を兼ねており、ご本尊の薬師如来(やくしにょらい)が祀られています。


桂春院のパンフレットより

この方丈には、狩野山楽(かのうさんらく)の弟子・狩野山雪(かのうさんせつ)によって描かれた金色に輝く見事な松の襖絵が飾られていました。

写真撮影は禁止でしたので、ぜひ実際に行ってみてください。


また、方丈の縁側から境内の回遊式庭園の露地に下りることもできました。


マイナスイオンたっぷりの路地を散策するだけでも、とても心地よい気分になれましたよ。

では、ここからは入り口に戻って趣の異なる四つの庭園を詳しく見て行きたいと思います!

清浄の庭 (史跡・名勝)*

庫裏の入り口に戻ってきました。

この庫裏と本堂の中庭のようなお庭が、国の史跡名勝に指定されている清浄の庭(しょうじょうのにわ)です。


清浄(しょうじょう)という言葉には、「少しもけがれがなく清らかなこと」という意味があります。

そのためでしょうか、枯山水の小さな坪庭のスペースには井戸が配されていました。

配されている岩は紀州(和歌山)からわざわざ運ばれてきたものだそうで、枯滝の良い風情を醸し出していますね。

侘の庭 (史跡・名勝)*

お次は先ほど紹介した書院に足を運んでみます。

その書院と奥の茶室である既白庵に通じる路地庭として整備されているのが、国の史跡名勝に指定されている詫の庭(わびのにわ)です。


苔むした蹲や樹木のみという最低限の構成が、その名の通り詫びしい雰囲気を醸し出す素敵な庭園ですね。

奥にある思惟の庭(しいのにわ)とは、梅軒門で分かたれています。

書院の客間には赤じゅうたんが敷かれており、縁側を含めてゆっくりと座りながらお庭を楽しむことが出来ました。

思惟の庭 (史跡・名勝)*

詫びの庭の先、方丈の東側に位置する庭園が史跡名勝に指定されている思惟の庭(しいのにわ)です。

思惟(しい)という言葉には「物事の本質を心で深く考えること」という意味があるそうで、奥の築山にある石は十六羅漢(じゅうろくらかん)に見立てられています。


この思惟の庭は方丈の縁側通路の真下にあり、見下ろす形になるため結構見逃してしまう方が多いんだそうです。

是非忘れずに拝見しましょうね!

真如の庭 (史跡・名勝)*

ラストを飾る庭園は、方丈の南側に広がっています。

この方丈南庭園が、史跡名勝に指定されている真如の庭(しんにょのにわ)です。

方丈の前には椅子が用意されており、座りながらゆっくりと庭園を楽しめる配慮がなされていました。


こちらの庭園は良く見ると手前から小石が「7」、「5」、「3」の数で配置されています。

古くから日本ではこうした奇数は「陽の数字」で縁起の良い数字とされており、こちらの庭園ではさらに足し算した「15」の数字で「十五夜の満月」を偲ばせる意図があるんだとか。

真如(しんにょ)とは「真実のあるがままの姿」のこと、また「真如の月」と言えば月明かりが煩悩を晴らしてくれることなので、庭園の石の数にはこうした意図があるのかも知れませんね。


これで、桂春院の主な見どころを見て回りました!

訪問の感想としては、やはり趣の異なるお庭を四つも楽しめることが素晴らしかったです!

また、通常公開されているためそれほど観光客も多くなく特に「詫びの庭」や「真如の庭」は座りながらゆっくりと楽しむことができましたので、日本庭園が好きな方は特に満足できると思います。

皆さんも是非行ってみてくださいね!


桂春院の写真

桂春院の御朱印

この桂春院では、このお寺ご本尊である薬師如来(やくしにょらい)の御朱印を頂きました。

御朱印は入口の受付で頂く事が出来ます。(300円)


桂春院への行き方/アクセス方法

桂春院は、妙心寺の境内にあります。

最寄り駅はJR花園駅または嵐電北野線 妙心寺駅です。

京都駅、京都河原町駅、祇園四条駅からバスで行くことも出来ます。


大阪駅から花園駅へのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、JR嵯峨野丸線に乗り換え。

②JR嵯峨野線で「京都駅」から「花園駅」へ。


なんば駅から花園駅へのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「梅田駅」へ行き、JR京都線に乗り換え。

②JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、JR嵯峨野丸線に乗り換え。

③JR嵯峨野線で「京都駅」から「花園駅」へ。


京都駅から花園駅へのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①JR嵯峨野線で「京都駅」から「花園駅」へ。


花園駅からの徒歩ルート例

徒歩約6分(400 m)です。

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妙心寺駅からの徒歩ルート例

徒歩約5分(300 m)です。

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京都駅からバスに乗る場合

乗換え案内(バス)

「京都駅前 乗り場D3」から京都市バス「26系統」に乗車、「妙心寺北門前」で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:26系統[北野白梅町 御室仁和寺・山越行き]
乗車バス停:京都駅前[乗り場D3]
降車バス停:妙心寺北門前
運賃:230円
所要時間:約42分


京都河原町駅からバスに乗る場合

乗換え案内(バス)

「四条河原町 乗り場A(南行き)」から京都市バス「10系統」に乗車、「妙心寺北門前」で下車

バス会社:京都市バス
行先・系統:10系統[北野天満宮 御室仁和寺・山越行き]
乗車バス停:四条河原町[乗り場A 南行き]
降車バス停:妙心寺北門前
運賃:230円
所要時間:約43分


祇園四条駅からバスに乗る場合

乗換え案内(バス)

「四条京阪前 乗り場C」から京都市バス「10系統」に乗車、「妙心寺北門前」で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:10系統[北野天満宮 御室仁和寺・山越行き]
乗車バス停:四条京阪前[乗り場C]
降車バス停:妙心寺北門前
運賃:230円
所要時間:約40分


タクシーで行く場合

京都駅から:約3,000円(約20分)

京阪 祇園四条駅から:約2,800円(約15分)

・タクシー運転手に行き先を告げたい場合

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・タクシーを呼びたい場合

taxi-call

タクシー配車連絡先(京都駅周辺)

桂春院周辺のホテル検索/予約

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いかがでしたか?

それでは楽しい旅を!