真正極楽寺(しんしょうごくらくじ)は京都市左京区にある、比叡山延暦寺を総本山とする天台宗の寺院です。
お寺の本堂の名称である「真如堂(しんにょどう)」という通称で親しまれています。
本堂には「うなずきの弥陀」として有名なご本尊・阿弥陀如来や、稀代の陰陽師・安倍晴明(あべのせいめい)の念持仏とされる不動明王などを祀ります。
そのため、浄土宗の開祖・法然(ほうねん)や浄土真宗の開祖・親鸞(しんらん)など、日本仏教を代表する有力者たちがこの地で修行をしたと言います。
そんな真正極楽寺/真如堂の見どころは、「東山連峰が一望できる涅槃(ねはん)の庭」!
総本山延暦寺の「比叡山」や、送り火で有名な「大文字山」を含む東山三十六峰の稜線を見渡せる庭園は、京都広しと言えどここでしか味わえません!
また真正極楽寺/真如堂の境内は、京都の「春の桜」や「秋の紅葉」の名所としても知られています。
今回はそんな真正極楽寺/真如堂を訪れてみました。
真如堂の歴史
では、まずはじめに真正極楽寺/真如堂の「歴史」と「訪問する際に知っておきたいポイント」を一緒に見て行きましょう!
真如堂は平安時代の984年(永観2年)に比叡山延暦寺の僧・戒算上人(かいざんしょうにん)により創建されました。
お寺の正式名称は「真正極楽寺」なんですが、これには・・・、
「日本には数多くの極楽寺というお寺があるけど、正真正銘の極楽の霊地はここなんだよ!」
という宣言が込められているんだとか。
その昔、お寺を創建した戒算上人は夢の中でこんなお告げを受けました。
仏様?「神楽岡(今の真如堂近辺)に、ヒノキが一晩のうちに沢山生えたすごい場所があるよ!」
仏様?「それって、超パワースポットじゃない?修行や救済にぴったりの場所じゃないかな?」
戒算「まじっすか!じゃぁさっそく阿弥陀如来像を持って行って修行の場を作らんと!」
ということで、延暦寺常行堂(じょうぎょうどう)の本尊だった「阿弥陀如来像」をわっせわっせとこの地に持ってきて、この地に祀ったことが起こりなんですね。
このご本尊の阿弥陀如来像にも、なかなか面白い物語があります。
像の作成者は天台宗の開祖・最澄(さいちょう)に師事した慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)さん。
これは、像が完成する直前のお話。
円仁「よっしゃ、もう少しで完成や!我ながら良くできとるわ!」
円仁「阿弥陀如来はん、どうかこの比叡山の僧たちのご本尊として末永く見守ってくださいな!」
しかし、阿弥陀如来はなぜか首を振って拒否したんだそうです。
阿弥陀如来「(首を振りながら)い・や・ど・す・え。」
円仁「えぇー!マジデスカ・・・。うーん、どうすりゃええんやろか。」
困った円仁さん、次にこんなお願いをしてみました。
円仁「じゃぁ私たちじゃなく、京の都におりてすべての人を救うのはどうでっしゃろ?特に女性を中心に!」
すると、阿弥陀如来はその言葉に応じてうなずいたんだそうです。
阿弥陀如来「(うなづきながら)おっ・けー・ど・す・え。」
円仁「おぉ!ありがとございます!」
てことでこの阿弥陀如来は、一般の人たち、特に女性を救済する「頷き(うなずき)の阿弥陀」として信仰されてきたんですね。
ここからは私見ですが、比叡山は昔からつい最近の明治時代まで「女人禁制」の霊山だったんです。
そのため、「一般人、特に女性が比叡山の仏様を拝んだり修行することができなかった」んだそうです。
そんな不条理を阿弥陀様はちゃんとお見通しだったので、「比叡山の僧」ではなく山を下り「一般人(特に女性)」を救うことを選ばれたんでしょうね。
素敵なお話ですよねー。
その後、真如堂は応仁の乱で境内の建物が焼失。(京都市内の寺社仏閣は、たいてい応仁の乱で一度荒廃しちゃいます・・・。)
ご本尊の阿弥陀様は比叡山や滋賀県内、京都市内を転々とし、江戸時代の1693年(元禄六年)にようやくこの地で復興を果たし現在に至ります。
おしまい。
真如堂について
■お寺のWebサイト
■お寺の詳細
住所:〒606-8414 京都府京都市左京区浄土寺真如町82
連絡先:075-771-0915
創建:984年(平安時代/永観2年)
開基:戒算上人(かいざんしょうにん)
宗派:天台宗(てんだいしゅう)
本尊:阿弥陀如来(あみだにょらい)
■拝観時間
9:00~16:00(15:45受付終了)
(行事などにより拝観中止の場合あり)
■拝観料
大人 | 高校生 | 中学生 | |
通常期間 | 500円 | 300円 | 200円 |
特別拝観期間 | 1000円 | 800円 | 700円 |
特別拝観期間は毎年変わります。
2019年の特別拝観期間は「3月1日〜3月31日」および「11月1日〜12月8日」です。
■その他注意点
・建物内部の写真撮影は禁止です。
・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてください。
では次に、真正極楽寺/真如堂の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!
真如堂の見どころ
*のついている見どころは有料エリアです。
総門
朱塗りの門で、別名「赤門(あかもん)」とも呼ばれる総門(そうもん)。
江戸時代の1695年(元禄八年)の建築、京都府指定文化財です。
本堂【重要文化財】
「頷き(うなずき)の阿弥陀」と呼ばれる本尊の阿弥陀如来を祀る本堂(ほんどう)。
また、脇侍として稀代の陰陽師・安倍晴明(あべのせいめい)の念持仏とされる不動明王を祀ります。
江戸時代の1717年(享保二年)の建築で、重要文化財に指定されています。
書院*
本堂より伸びる渡り廊下の先にある書院(しょいん)。
内部の拝観は有料であり、後述の「涅槃の庭」「隋縁の庭」という二つの趣の異なる庭園を有します。
涅槃の庭*
涅槃の庭(ねはんのにわ)は、昭和時代の1988年に曽根三郎(そねさぶろう)氏により作庭された枯山水庭園です。
個人的には、この庭園が真正極楽寺/真如堂の最大の見どころだと思います。
その名前の通り、お釈迦様の入滅を表す涅槃図(ねはんず)の風景がデザインされています。
手前の白砂がお釈迦様が入滅した「ガンジス川」の流れ、中央の大石が「横たわるお釈迦様」、周りの小石が「嘆く弟子たち」を表現しているんだとか。
東山三十六峰を見渡せるこれほど雄大な借景を持つ庭園は、京都広しと言えどもなかなかありません!
ここの他には圓通寺/円通寺(えんつうじ)くらいでしょうか。
隨縁の庭*
隨縁の庭(ずいえんのにわ)は、日本を代表する作庭家・重森三玲(しげもりみれい)氏の孫、重森千青(しげもりちさを)氏により2010年に作庭された枯山水庭園です。
「隋縁(ずいえん)」という言葉は、「仏の心理自体は絶対不変だが、縁によっては様々な姿で顕現する!」という仏教の言葉「随縁真如(ずいえんしんにょ)」から来ているんだとか。
こちらの庭園は、先ほどの涅槃の庭とは打って変わって現代的/モダンな枯山水庭園ですね!
このお寺は、かの有名な財閥・三井家(みついけ)の菩提寺でもあるため、三井家の家紋「四つ目結(よつめゆい)」が随所にデザインされているんですよ。
三重塔
三重塔(さんじゅうのとう)は江戸時代の1817年(文化十四年)の建築、京都府指定文化財です。
鎌倉地蔵堂
鎌倉地蔵堂(かまくらじぞうどう)には、鎌倉の地より運ばれてきた地蔵尊が祀られています。
この地蔵尊は、能(のう)の演目の一つにもなっている有名な「九尾の狐/玉藻前(たまものまえ)」の魂、「殺生石(せっしょうせき)」を封じた際のかけらから彫られたとされています。
家内安全や福寿、延命などのほか「冤罪晴らし」や「心の病を治す」といった何とも現代的な悩みにもご利益があるんだとか。
万霊堂
本堂の裏手に建つ万霊堂(ばんれいどう)には、地蔵菩薩を中心とした有縁無縁の無数の精霊が祀られています。
石薬師堂
1966年に再建された、書院の奥に建つ石薬師堂(いしやくしどう)です。
平安時代初期、桓武天皇(かんむてんのう)が石で彫ったとされる薬師如来が祀られています。
元三大師堂
元三大師堂(がんざんだいしどう)は江戸時代の1696年(元禄九年)の建築、京都府指定文化財です。
「京洛十八大師めぐり」の第三番札所として、第十八代の天台座主「元三大師(がんざんだいし)」を祀ります。
鐘楼堂
鐘楼堂(しょうろうどう)は江戸時代の元禄年間の建築、京都府指定文化財です。
吊られている鐘楼は、江戸時代の1759年(宝暦九年)に作られたものです。
県井観音堂
県井観音堂(あがたいかんのんどう)には、京都御所の井戸に現れたとされる如意輪観音(にょいりんかんのん)が祀られています。
「県井(あがたい)」とは「京都御所にある井戸」のことで、この県井から湧き出た水は「御所三名水の一つ」として知られていました。
「病気平癒」や「女性の難産」を救うご利益があるとされています。
千體地蔵堂
千體地蔵堂(せんたいじぞうどう)は江戸時代の1780年(安永九年)の建築で、多数の地蔵菩薩(じぞうぼさつ)が祀られています。
赤崎弁天堂
境内の方丈池のほとりにたつ赤崎弁天堂(あかさきべんてんどう)です。
その昔、真如堂において供養費用を捻出する際、周防国(いまの山口県)の赤崎弁才天が祈りに応じてくれたとの由来から、この地に勧請されたとのことです。
阿弥陀如来露仏
境内南側に鎮座する阿弥陀如来露物(あみだにょらいろぶつ)は、江戸時代に木食養阿(もくじきようあ)上人により建立されました。
功徳のお参りを「三年三か月間」続けると「無病息災」「家運隆盛」「祈願成就」のご利益が得られる「洛陽六阿弥陀巡り」を発案した僧です。
新長谷寺
新長谷寺(しんはせでら)は、洛陽三十三所観音霊場の第五番札所です。
奈良県にある長谷寺(はせでら)の御本尊「十一面観音(じゅういちめんかんのん)」を模した観音像を祀ります。
法伝寺(吒枳尼天)
総門手前にある、真如堂の塔頭寺院の一つ法伝寺(ほうでんじ)です。
その昔、弘法大師・空海が刻んだという吒枳尼天像を祀ります。
吒枳尼天は日本の神道でいう「お稲荷さん」と同一神とされているため、もともとこのお寺は真如堂の稲荷堂(いなりどう)という立場だったんだそうです。
真如堂の桜
特に総門の周辺がおすすめです。
その年の気候により変わりますが、だいたい「4月上旬」が見ごろとなります。
真如堂の動画
真如堂の写真
Shinsho Gokuraku-ji Temple (Sakyo Ward, Kyoto):真正極楽寺(京都市左京区)
真如堂の御朱印
真正極楽寺/真如堂の御朱印は、無量(無限)の寿命という意味を持ち阿弥陀如来の別名でもある「無量寿(むりょうじゅ)」の墨文字です。
真如堂への行き方/アクセス方法
真正極楽寺/真如堂の最寄り駅は「京阪 神宮丸太町駅」です。
「京都駅」や「阪急 河原町駅」からバスで行くことも出来ます。
最寄り駅からは「約1.7km/徒歩35分」と遠いので、バスかタクシーで行くことをおすすめします。
梅田駅(大阪駅)からのルート例
①大阪メトロ御堂筋線で「梅田駅」から「淀屋橋駅」へ行き、京阪電車に乗り換え。
②京阪電車で「淀屋橋駅」から「神宮丸太町駅」へ。(特急が便利です。)
■なんば駅からのルート例
①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「淀屋橋駅」へ行き、京阪電車に乗り換え。
②京阪電車で「淀屋橋駅」から「神宮丸太町駅」へ。(特急が便利です。)
■京都駅からのルート例
①JR奈良線で「京都駅」から「東福寺駅」へ行き、京阪電車に乗り換え。
②京阪電車で「東福寺駅」から「神宮丸太町駅」へ。
■最寄り駅「神宮丸太町駅から」のルート例(徒歩)
約1.7km、徒歩35分です。
■京都駅からバスで行く場合
「京都駅前バス停A1乗り場」から「京都市バス5系統」に乗車、「真如堂前」で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:5系統[銀閣寺・岩倉行き]
乗車バス停:京都駅前[乗り場A1]
降車バス停:真如堂前
運賃:230円
所要時間:約32分
■[時刻表]5系統[銀閣寺・岩倉行き]
■「阪急 河原町駅」からバスで行く場合
「四条河原町H乗り場」から「京都市バス5系統」に乗車、「真如堂前」で下車。
「四条河原町E乗り場」から「京都市バス203系統」に乗車、「真如堂前」で下車。
5系統/203系統ともにそれなりの本数が出ていますので、どちらに乗車してもOKです。
バス会社:京都市バス
行先・系統:5系統[銀閣寺・岩倉行き]
乗車バス停:四条河原町[乗り場H北行き]
降車バス停:真如堂前
運賃:230円
所要時間:約15分
■[時刻表]5系統[銀閣寺・岩倉行き]
バス会社:京都市バス
行先・系統:203系統[熊野・銀閣寺行き]
乗車バス停:四条河原町[乗り場E東行き]
降車バス停:真如堂前
運賃:230円
所要時間:約16分
■[時刻表]203系統[熊野・銀閣寺行き]
■最寄りバス停「真如堂前」からのルート例(徒歩)
約500m、徒歩10分です。
■タクシーで行く場合
京都駅から:約2300円 (約20分)
河原町駅/祇園四条駅から:約1200円(約10分)
・タクシー運転手に行き先を告げたい場合
・タクシーを呼びたい場合
[タクシー配車連絡先: 京都駅周辺]
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いかがでしたか?
それでは楽しい旅を!( *´艸`)