友禅苑(ゆうぜんえん)は、京都市東山区にある浄土宗総本山・知恩院(ちおんいん)の境内にある日本庭園です。
日本の伝統技術の一つである友禅(ゆうぜん)の技法を開発した宮崎友禅(みやざきゆうぜん)。
彼はこの知恩院の近くに住居を構え、日々友禅の技法について研究を重ねていたと言います。
この庭園は、そんな彼の生誕300周年を記念して作庭された昭和時代を代表する庭園です。
「近世が誇る名庭園を見たければ友禅苑へ!」
今回はそんな友禅苑を訪れてみました。
友禅苑の歴史
では、まずはじめに友禅苑の歴史と覚えておきたいポイントを一緒に見て行きましょう!
先ほども書いた通り、この友禅苑(ゆうぜんえん)は宮崎友禅(みやざきゆうぜん)の生誕300年を記念し1954年(昭和29年)に造園されました。
主役であるこの宮崎友禅は能登国(のとのくに)出身、早くから京都に出て扇などを手掛けるデザイナーとして名を馳せた人物。
そのデザインが秀逸で、彼の作った扇は「友禅扇(ゆうぜんおうぎ)」と呼ばれ好評を博し、後に言う「友禅(ゆうぜん)」の染色技法につながります。
皆さんはこの「友禅(ゆうぜん)」をご存知ですか?
友禅とは布に模様を染める日本の伝統工芸の技法で、特にこの京都で発展したものは「京友禅(きょうゆうぜん)」と呼ばれます。
百聞は一見に如かず!
京友禅がどんなデザインなのかをちょっと見てみましょう。
じゃーん、これが京友禅の代表的なデザインです。
はい、京友禅のデザインはこのような超多彩な色合いの文様を重ねた豪華絢爛なものが多いんですね。
因みに上記の写真は、嵐電・嵐山駅前にある光景ですので興味のある方は実際に行ってみてくださいね!
綺麗ですねー!
そして、このようなデザインの反物を使って織られた着物が、京友禅の着物。
京都の街には、やっぱりこうした友禅染めの着物を着た女性が似合いますよね!
閑話休題。
ではなぜ、宮崎友禅はこの友禅というデザインを思いついたのでしょうか?
実は宮崎友禅が暮らしていた江戸時代は「贅沢は敵!」と強く言われていた時代で、人々は豪華なファッションを強く禁止されていました。
それはもう徹底的なもので、奢侈禁止令(しゃしきんしれい)と言う贅沢を禁止する法律なんかもあったほどです。
江戸幕府「贅沢は敵じゃー!んなヒマあったらじゃんじゃん年貢を納めろやコラー!」
人々「うぉぉ、幕府は鬼かよ・・・!ちょっとぐらいお洒落したい!」
でもいつの時代もやっぱりおしゃれはしたい!
てなわけでそんな人々の願いを叶えるために宮崎友禅が思いついた発想が、
「贅沢で豪華な材料や装飾品を使わんでも、デザインで勝負すればええやないか!」
というもの。
宮崎友禅「これからはデザインで勝負や!金銀ギラギラの豪華な服とかはもう時代遅れやで!」
人々「おぉー、ちょーカッコいい!」
人々「やったぜ。これで贅沢せずにおしゃれできるぜー!ばんざーい!」
江戸幕府「ぐぬぬ、禁止しようにも別に豪華な材料使ってるわけでもないしな・・・。ワシらも欲しい(ボソッ)。」
こうしたうして、豪華な材料を使うのではなくデザインで勝負をする「友禅」という技法がめでたく誕生しましたとさ。
その後、宮崎友禅は加賀藩主であった加賀前田家(かがまえだけ)の招待を受け金沢で「加賀友禅(かがゆうぜん)」の発展にも尽力しました。
前田家「ちょ、京都だけずるいぞ!こっちでも教えてー!」
宮崎友禅「よっしゃ、次は加賀百万石の金沢で勝負したるで!」
はい、宮崎友禅は日本のもう一つ代表的な友禅である「加賀友禅(かがゆうぜん)」にも深く関わっていたんですね。
因みに宮崎友禅はその土地に一番マッチしたデザインを作り上げたとされ、京友禅は抽象的、加賀友禅はより絵画的なデザインが特徴になったとも言われています。
そんな江戸時代のスーパーデザイナーであった宮崎友禅が、京都で住居を構えていたのが知恩院の目の前。
そんな縁もあり、1954年に造園されたこの庭園には彼の名前が付けられているんですね。
ほら、これを読んだあなた、友禅がだんだん欲しくなってきませんか?
でもね、
「友禅って、江戸時代と違って今の時代は高いっすよ!?ご利用は計画的に!」
おしまい。
友禅苑について
庭園の詳細
住所:〒605-8686 京都市東山区林下町400
連絡先:075-531-2111
営業時間
9:00~16:00
拝観料
友禅苑 | 知恩院方丈庭園 | 共通券 | |
高校生以上 | 300円 | 400円 | 500円 |
小中学生 | 150円 | 200円 | 250円 |
その他注意点
・上記情報は2017年1月に訪れた際のものであり、変更されている可能性があります。
・写真/動画撮影可能な場所や、一脚/三脚の利用可否は必ず係員に確認しましょう。
では次に、友禅苑の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!
友禅苑の見どころ
*印のついている見どころは有料エリアです。
この友禅苑(ゆうぜんえん)は、浄土宗の総本山である知恩院(ちおんいん)の境内にあります。
最寄り駅は祇園四条駅か東山駅で、いずれも徒歩約15分ほどです。
知恩院の境内はとーっても広く、友禅苑はそんな境内の東側に位置しています。
こちらが友禅苑の入り口です。
知恩院の方丈庭園も見て回る場合はお得な価格の「共通券」を購入することをお勧めします!
では、さっそく庭園の中にお邪魔したいと思います!
観音菩薩銅像*
苑内に入るとまず見えてくるのが、大きな池とその中央に浮かぶ観音菩薩銅像(かんのんぼさつどうぞう)。
この銅像は明治時代の1898年、高村光雲(たかむらこううん)によって製作されたんだそうです。
高村光雲と言えば、上野恩賜公園の犬を連れた西郷隆盛像の製作者として有名ですね!
では苑内を進んでいきたいと思います。
鹿野苑*
次に見えてきたのは庭園の西側にある、雄大な東山を借景とした素敵な枯山水庭園。
この枯山水庭園の名前は、鹿野苑(ろくやおん)。
この鹿野苑はヒンズー語では「サールナート」、お釈迦様が悟りを開いたのち初めて説法を説いた仏教の四大聖地の一つを表す言葉です。
一説によると、お釈迦様の前世は「鹿の王様」だったとも言われており、その鹿の王様が狩猟で乱獲されていた鹿を保護した場所がこの「鹿野苑」だったとか。
宮崎友禅斎像*
鹿野苑を抜けて苑内を進むと、その通路に宮崎友禅(みやざきゆうぜん)のブロンズ像が置かれていました。
友禅のデザインを考えている最中でしょうか、手に筆を持ち片足を上げつつ思案する姿が印象的です。
友禅斎謝恩碑*
鹿野苑の植え込みの中には、友禅斎謝恩碑(ゆうぜんさいしゃおんひ)がひっそりと佇んでいます。
京都に友禅の技術を広めた友禅斎の功績は、こうして現在まで受け継がれているんですね。
では次に苑内の東側に向かいたいと思います。
禹門*
苑内の西側にある鹿野苑と苑内の東側は小さな門と垣根で分かたれており、この門は禹門(うもん)と呼ばれています。
禹門とは、昔の中国にあった夏の国(かのくに)の禹王(うおう)という王様が作ったとされる門がその由来で、この門をくぐると、立身出世が叶うと言われています。
いわゆる有名な「登龍門(とうりゅうもん)」と同じような意味を持っているんですね。
華麓庵*
禹門を抜けて苑内の東側に入るとまず見えてくるのが、裏千家ゆかりの茶室である華麓庵(かろくあん)です。
裏千家十五代の千玄室(せんげんしつ)によって命名されたもので、裏千家(うらせんけ)の茶人・大沢徳太郎(おおさわとくたろう)の別邸にあった茶室をここに移築したものです。
白寿庵*
苑内の更に奥に進むと見えてくるのが、茶室の白寿庵(はくじゅあん)です。
こちらも裏千家(うらせんけ)ゆかりの茶室だそうで、茶室の名前は、裏千家十四代の千宗室(せんそうしつ)によって命名されました。
俳句灯籠*
友禅苑の苑内の一番奥にある苔山の上にひっそりと佇んでいるのが、俳句灯籠(はいくとうろう)です。
その名のごとく、灯籠の内部に松尾芭蕉(まつおばしょう)の名句が刻まれています。
「六月や 峰に雲置く 嵐山」
現代風に意訳すると、「夏の六月はあの嵐山にでっかい入道雲がかかるんだぜ!そんな雄大な夏の景色も良いもんだなぁ!」といったところでしょうか。
因みにこの句にある六月は陰暦だそうなので、今で言う八月の夏真っ盛りぐらいですね。
これで、友禅苑の主な見どころを見て回りました!
訪問の感想としては、正直こちらに訪れるまでは友禅という言葉は知っていても「宮崎友禅」さんは全く知りませんでした。
そんな方が日本を代表する伝統工芸を生み出し、この京都でこうして庭園の名を冠するほどに今も語り継がれることを知り、改めてこの京都にはまだまだ知らないことがいっぱいだ!と言うことを教えてくれました。
知恩院の庭園との共通拝観券(割引価格)もあるので、知恩院を訪れる際にはぜひ友禅苑にも足を運んでみてください!
友禅苑の写真
春の夜間ライトアップ「京都東山花灯路」について
この友禅苑は、毎年春に開催される「京都東山花灯路」の会場です。
とても幻想的なライトアップイベントですので、春にこの友禅苑に行く際は夜もおすすめです!
友禅苑がある知恩院について
この友禅苑は、浄土宗総本山である知恩院(ちおんいん)の境内にあります。
知恩院にも興味がある方はぜひ上記の記事もご覧ください!
友禅苑への行き方/アクセス方法
友禅苑の最寄り駅は「祇園四条駅」若しくは「東山駅」です。
京都駅からバスで行くことも出来ます。
大阪駅から祇園四条駅へのルート例(電車)
①JR大阪環状線で「大阪駅」から「京橋駅」へ行き、京阪電車に乗り換え。
②京阪電車で「京橋駅」から「祇園四条駅」へ。
なんば駅から祇園四条駅へのルート例(電車)
①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「淀屋橋駅」へ行き、京阪電車に乗り換え。
②京阪電車で「淀屋橋駅」から「祇園四条駅」へ。
京都駅から祇園四条駅へのルート例(電車)
①JR奈良線で「京都駅」から「東福寺駅」へ行き、京阪電車に乗り換え。
②京阪電車で「東福寺駅」から「祇園四条駅」へ。
祇園四条駅からの徒歩ルート例
徒歩約20分(1km)です。
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京都駅からバスに乗る場合
「京都駅前 乗り場D2」から京都市バス「206系統」に乗車、「知恩院前」バス停で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:206系統[祇園・北大路バスターミナル行き]
乗車バス停:京都駅前[乗り場D2]
降車バス停:知恩院前
運賃:230円
所要時間:約23分
タクシーで行く場合
京都駅から:約1,800円(約10分)
京阪 祇園四条駅から:約720円(約3分)
■タクシー運転手に行き先を告げたい場合
■タクシーを呼びたい場合
タクシー配車連絡先(京都駅周辺)
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いかがでしたか?
それでは楽しい旅を!