高台寺(こうだいじ)は、京都市東山区にある臨済宗建仁寺派のお寺です。

ここは、かの有名な豊臣秀吉(とよとみひでよし)の冥福を祈るために、秀吉の正室(せいしつ)高台院(こうだいいん)が建立したお寺です。

高台院は一般的には「ねね」の愛称で呼ばれ、若き秀吉(木下藤吉郎)と当時としては珍しく恋愛結婚を成就した女性。

高台寺は、そんな高台院の秀吉への愛情が形となったお寺です。

境内は雅な桃山時代の禅様式に彩られ、その庭園は国の史跡名勝に指定されています。

「ねねの秀吉への一途な愛情を感じ取りたければ高台寺へ!」

今回はそんな高台寺を訪れてみました。


高台寺の歴史

では、まずはじめに高台寺の歴史と覚えておきたいポイントを一緒に見て行きましょう!


高台寺の石碑

この高台寺(こうだいじ)は、豊臣秀吉(とよとみひでよし)の菩提を弔うためにその正室であった高台院(こうだいいん)が建立したお寺

この高台院は、「ねね」や「北政所(きたのまんどころ)」という通称でも親しまれている人物です。

高台寺の名前の由来は、もちろんこの「高台院」から来ています。


秀吉が病死したのは、安土桃山時代後半の1598年。

高台院はその死をいたく悲しみ、秀吉没後の最高権力者であった徳川家康(とくがわいえやす)に秀吉の菩提を弔うお寺の建設を直訴します。

元々は秀吉の家臣であった家康はその申し出を受諾、堀直政(ほりなおまさ)を中心に寺院の建設を援助しました。

結果、秀吉の死後約7年後の1605年にこの高台寺が無事完成。

創建当初は曹洞宗(そうとうしゅう)だったそうですが、1624年に建仁寺(けんにんじ)三江紹益(さんこうしょうえき)和尚を迎え、臨済宗に改宗されました。


ねねの道の道標

閑話休題。

今回は、このお寺を建立した「ねね」についてちょっと調べてみました!

このねねさんは、先ほども書いた通り天下人であった豊臣秀吉の正室。

戒名は「高台院(こうだいいん)」、天下人の正室の通称であった「北政所(きたのまんどころ)」も、現在はこの「ねね」を指す言葉とされています。

このねねさんをより深く知るために、ここでは二つのキーワードを紐解いていきます!

一つ目のキーワードは「恋愛結婚(れんあいけっこん)」

ご存知の通りねねや秀吉が活躍した戦国時代は、政治的な駆け引きが絡んだ政略結婚が一般的でした。

だがしかし!

豊臣秀吉とねねの結婚はなんと恋愛結婚だったんです!

結婚当時、秀吉はまだ木下藤吉郎(きのしたとうきちろう)と言う織田信長に仕える下っ端でした。

信長の草履を温めて出世の糸口となったエピソードで有名な頃ですね!

そのときねねはわずか14歳!

両親の反対を押し切って、駆け落ち同然に結婚したらしいです。

戦国時代の最中にも関わらず、ロマンチックですね!

「愛ってスバラシイ!」


そして二つ目のキーワードが「正室(せいしつ)」

正室とは「正式な奥さん」って意味ですが、じゃぁ「正式じゃない奥さん」もいたのでしょうか?

はい、この戦国時代、偉い男には正式な奥さんの他にも沢山の愛人(あいじん)が居ました。

この愛人の事を歴史上では「側室(そくしつ)」、こうした人たちが住んだ場所を「奥(おく)」と呼び、全然珍しい事ではなかったんですね。

その理由は?

「跡継ぎをなるべくたくさん生んで育てるため!」

です。

今の時代と違い、この時代は健康な男子が無事に成人するのは大変だったんですよね。

だから、

「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる!」

的なシステムが成り立っていたんでしょう。ナンテウラヤマシイ。

まぁこのシステムが原因で男の子が生まれすぎてお家騒動で没落って話も良くありますけどね。(苦笑)

ではここでクイズです。

豊臣秀吉には何人の側室(愛人)がいたでしょうか?


正解は・・・、

「なんと13人!

まじか、エロジジイめ・・・。ウラヤマシイ。

今なら完全にワイドショーネタだぞ・・・。ウラヤマシイ。

まぁ、実は秀吉と正室であったねねの間には子宝が恵まれなかったんですね。

だからこその愛人13人!本当に下手な鉄砲も数打ちゃ当たるのことわざ通り!

そして、ようやく愛人の一人であった淀殿(よどどの)との間に生まれたのが後継者の豊臣秀頼(とよとみひでより)です。

愛人の子供が後継者、ねねさんも多分色々思うことはあったでしょう。

だがしかし!

そんな境遇でも不満を漏らさず、豊臣秀吉を一途に支えたのがねねさんの愛情深さ。

それが証拠に、ねねさんは淀殿の子であった秀頼(ひでより)の後見人の一人として徳川家康から守ることに尽力したと言います。

秀吉の死後は彼の魂と一緒に余生を過ごすためにこの高台寺を建立、自身は近くに屋敷を立てて住み晩年の19年間欠かさずお参りをしたんだとか。

ちなみにこの屋敷と言うのが、高台寺の塔頭である「圓徳院/円徳院(えんとくいん)」です。

まさにこの高台寺は、ねねさんの秀吉への愛情が形になったお寺なんですね。

「愛ってホントにスバラシイ!」

「愛人欲しいぜー!ぐへへへー!」

なんて邪な事を考えてるそこのアナタ、この高台寺に行って心を綺麗にしましょう。

教訓「愛欲にまみれそうになったら高台寺へ!」

おしまい。

高台寺について

お寺の詳細

住所:〒605-0825 京都市東山区高台寺下河原町526番地
連絡先:075-561-9966
創建:1606年
開基:高台院(こうだいいん)
宗派:臨済宗建仁寺派
ご本尊:釈迦如来(しゃかにょらい)

拝観時間

10:00~17:30(17:00受付終了)

(ライトアップ期間は~22:00まで。)

拝観料

大人 600円
中高生 250円

その他注意点

・写真/動画撮影可能な場所や、一脚/三脚の利用可否は必ず係員に確認しましょう。

・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてくださいね。


では次に、高台寺の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!


高台寺の見どころ

「*印」のついている見どころは有料エリアです。

ねねの道:Nene no Michi

ねねの道の道標

高台寺(こうだいじ)は、京都市東山区の町家が並ぶ風情ある石畳の道路、通称「ねねの道」にあります。

最寄り駅の祇園四条駅からは約1km、徒歩で20分ほどの距離にあります。


ねねの道

このねねの道は、昔ながらの京都の露地の雰囲気を味わえる通路して観光客にも大人気。

着付けを施した観光客の女性や、お茶屋さんや料理屋さんも多いからでしょうか本物の舞妓さんや芸子さんもたまにこの石畳を歩いています。

お茶屋さんやおみやげ物屋さんも点在しているので、ぜひ祇園四条駅から歩いて散策することをおすすめします。

表門 (重要文化財)

高台寺の表門

ねねの道の突き当り、高台寺南門通りと交差する場所の近くに表門(おもてもん)があります。

安土桃山時代に、加藤清正(かとうきよまさ)によって伏見城に建てられた門をここに移築したものです。

台所坂

高台寺の台所坂

ねねの道から高台寺の境内へと続く道は、台所坂(だいどころざか)と呼ばれています。

細い通路の脇には沢山の紅葉が植えられているため、初夏は新緑、秋は紅葉がとても綺麗です。

有名な写真撮影スポットとして、観光客にも大人気の場所です。

山門

高台寺の山門

台所坂を上り終えると、高台寺の山門(さんもん)が見えてきました。

これをくぐるといよいよ高台寺の境内です。

庫裏

高台寺の庫裏

山門を抜けて境内に入ると、まず左手に庫裏(くり)が見えてきます。

高台寺の文字入りの提灯が良い風情を出していますね!

この庫裏の左手に拝観の受付があり、中に入ることができます。


高台寺庭園の石碑

庫裏の苔に覆われた前庭には、この高台寺の庭園が国の史跡/名勝に指定されていることを示す石碑が建てられていました。

では早速拝観受付を行い、境内の中を進んでいきたいと思います!

湖月庵/鬼瓦席(茶室)*

高台寺の湖月庵

拝観受付を済ませて中に入ると、まず右手に茶室の湖月庵(こげつあん)が見えてきました。

またこの拝観経路からは見ることはできませんが、この湖月庵の裏側に四畳半茶室である鬼瓦席(おにがわらのせき)が設けられています。

こちらでは、現在でも定期的にお茶席が設けられるそうです。

遺芳庵(茶室)*

高台寺の遺芳庵

境内を進むと、今後は左手に遺芳庵(いほうあん)が見えてきました。

藁ぶきの屋根と、壁一面に配された円形の吉野窓(よしのまど)がとても特徴的な茶室ですね。


高台寺の遺芳庵

元々は京都の豪商・灰屋紹益(はいやしょうえき)が妻の吉野太夫(よしのたゆう)を偲んで建てたもので、明治時代の1908年にこの場所に移築されました。

書院*

高台寺の書院

遺芳庵を抜けてさらに境内を進むと、書院(しょいん)が見えてきました。

方丈*

高台寺の方丈

書院の裏側には、立派な方丈(ほうじょう)があります。

創建当初は伏見城の建物を移築したものでしたが焼失し、現在の建物は大正時代の1912年に再建されたものです。

この方丈は中に入ることができます。


高台寺の方丈の内部

方丈の内部では、ご本尊の釈迦如来(しゃかにょらい)を祀ります。

波心庭*

高台寺の波心庭

方丈の内側からは、方丈前庭である波心庭(はしんてい)を拝むことができます。

白砂が美しい枯山水庭園ですね!


高台寺の波心庭

波心庭」という名前の通り、白砂には大きな波紋が描かれています。

この方丈の庭園を見学し終えると、拝観経路としては靴を履きなおして庭園に向かう形になります。


因みに、この波心庭では夜間特別拝観時にプロジェクションマッピングが行われるので毎年沢山の観光客で賑わいますよ!

勅使門*

波心庭の正面に見える門が、方丈と同じ大正時代の1912年に再建された勅使門(ちょくしもん)です。

写真はお庭の外側から撮影したものです。

中門*

高台寺の中門

方丈の出口から靴を履いてさらに境内の奥に進むと、庭園への入り口である中門(ちゅうもん)が見えてきました。

唐破風(からはふ)の屋根が特徴的な唐門(からもん)ですね。

庭園(史跡/名勝)*

高台寺の庭園

中門を抜けて中に入ると、国の史跡/名勝に指定されている高台寺庭園(こうだいじていえん)が広がっていました!

庭園全体が、安土桃山時代から江戸時代にかけての名作庭家・小堀遠州(こぼりえんしゅう)によるものなんだそうです。

開山堂 (重要文化財)*

高台寺の開山堂

庭園の東西に配された池の中央に鎮座している建物が、江戸時代の1605年に建てられた重要文化財開山堂(かいざんどう)です。


高台寺の開山堂

この開山堂には、現在は高台寺を臨済宗へと改宗した中興開山・三江紹益(さんこうじょうえき)の像が祀られており、天井には狩野山楽(かのうさんらく)により描かれた龍の図が広がります。

元々はねねの持仏堂として利用されていた建物なんだとか。

観月台 (重要文化財)*

高台寺の観月台

庭園の池にかかる書院と開山堂を結ぶ回廊の中央にある小さな建造物が、重要文化財観月台(かんげつだい)です。

ねねがその晩年、この観月台から秀吉に想いを馳せて月を眺めたんだとか。

臥龍廊*

高台寺の臥龍廊

開山堂から向かって左側に延びている回廊が、臥龍廊(がりょうろう)です。

この開山堂と霊屋(おたまや)を結ぶ屋根付きの渡り廊下で、龍の背中に似ているところからこの名前が付いたんだとか。

霊屋 (重要文化財)*

高台寺の霊屋

庭園の東側の池を超えた先にある建物が、江戸時代の1605年に建てられた重要文化財霊屋(おたまや)です。

豊臣秀吉と「ねね」こと高台院の像が仲睦まじく祀られているお堂で、他の場所よりも一段高い場所に建てられています。

傘亭(茶室) (重要文化財)*

高台寺の傘亭

霊屋を抜けて庭園を南東の方向に進むと、藁ぶきの古民家風の建物が見えてきます。

こちらが重要文化財の茶室である傘亭(かさてい)で、千利休(せんのりきゅう)好みの茶室と言われ伏見城から移築されたものです。


高台寺の傘亭

この建物の天井は全て竹を使って組まれており、その骨組みがまるで傘のようなので傘亭と呼ばれるようになったんだとか。

時雨亭(茶室) (重要文化財)*

高台寺の時雨亭

傘亭の隣にある二階建ての建物が、重要文化財の茶室である時雨亭(しぐれてい)です。

茶室にしては珍しく二階建ての構造になっており、こちらの建物も傘亭と同じく伏見城から移築されたもので千利休好みと言われています。


高台寺の傘亭と時雨亭

傘亭と時雨亭は伏見城にあったときは全く別の建物だったそうですが、現在はこのように廊下で繋がっています。

雲居庵(茶室)*

高台寺の雲居庵

庭園をぐるりと一周した最後に待っている建物が、茶室の雲居庵(うんごあん)です。

その昔、この高台寺の地には雲居寺(うんごじ)というお寺があり、その名残がこの茶室の名前に残っているんだとか。


高台寺の雲居庵

こちらのお茶席では常時お抹茶の接待を頂くことができます。(500円)

高台寺の庭園はとても広いので、見回って疲れたときはこのお茶席でゆっくりと休憩するのも良いですね。

これで高台寺庭園内の有料拝観場所は全て見て終えました!

では、庭園を出てもう少し境内を散策してみたいと思います。(ここからは無料の拝観場所となります。)

鐘楼

高台寺の鐘楼

台所坂を上った境内入口の反対側には、鐘楼(しょうろう)がそびえています。

2010年ごろまではこちらに重要文化財の梵鐘が吊られていましたが、老朽化のため外され現在は二代目の鐘が吊られています。

天満宮

高台寺の天満宮

鐘楼の向かいには、江戸時代の1606年に建てられた天満宮(てんまんぐう)があります。

天満宮の名の通り菅原道真(すがわらのみちざね)を御祭神としています。


これで、高台寺の主な見どころを見て回りました!

訪問の感想としては、国の史跡/名勝に指定されている広大な庭園だけではなく、時期によってはプロジェクションマッピングまで楽しめるなど、観光客を飽きさせない努力を続けられているお寺さまだな!と思いました。

比較的有名なお寺なので混雑度は高いですが、それでもぜひ訪れてみて欲しいお寺さまです。

皆さんも是非行ってみてくださいね!

高台寺の動画


高台寺の写真

高台寺の御朱印

高台寺の御朱印

この高台寺では、仏様の御心を表す佛心(ぶっしん)の御朱印を頂きました。

御朱印は入口の受付で頂くことができます。(300円)


春の夜間ライトアップ「京都東山花灯路」について

この高台寺は、毎年春に開催される「京都東山花灯路」の会場です。

とても幻想的なライトアップイベントですので、春にこの高台寺に行く際は夜もおすすめです!

高台寺の塔頭「圓徳院/円徳院」について

この高台寺を創建したねねがその余生を過ごしたとされるお寺が「圓徳院/円徳院(えんとくいん)」です。

高台寺からは徒歩3分の場所にありますので、ぜひ一緒に訪れてみてくださいね!


高台寺への行き方/アクセス方法

最寄り駅は「祇園四条駅」若しくは「京都河原町駅」です。

「京都駅」、「阪急 河原町駅」、「京阪 祇園四条駅」からバスで行くことも出来ます。


大阪駅から祇園四条駅へのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①JR大阪環状線で「大阪駅」から「京橋駅」へ行き、京阪電車に乗り換え。

②京阪電車で「京橋駅」から「祇園四条駅」へ。


なんば駅から祇園四条駅へのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「淀屋橋駅」へ行き、京阪電車に乗り換え。

②京阪電車で「淀屋橋駅」から「祇園四条駅」へ。


京都駅から祇園四条駅へのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①JR奈良線で「京都駅」から「東福寺駅」へ行き、京阪電車に乗り換え。

②京阪電車で「東福寺駅」から「祇園四条駅」へ。


祇園四条駅からの徒歩ルート例

徒歩約20分(1km)です。


京都駅からバスに乗る場合

乗換え案内(バス)

「京都駅前 乗り場D2」から京都市バス「206系統」に乗車、「東山安井」バス停で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:206系統[祇園・北大路バスターミナル行き]
乗車バス停:京都駅前[乗り場D2]
降車バス停:東山安井
運賃:230円
所要時間:約19分


京都河原町駅からバスに乗る場合

乗換え案内(バス)

「四条河原町 乗り場E(東行き)」から京都市バス「207系統」に乗車、「東山安井」バス停で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:207系統[清水寺・東福寺行き]
乗車バス停:四条河原町[乗り場E東行き]
降車バス停:東山安井
運賃:230円
所要時間:約7分


祇園四条駅からバスに乗る場合

乗換え案内(バス)

「四条京阪前 乗り場A」から京都市バス「207系統」に乗車、「東山安井」で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:207系統[清水寺・東福寺行き]
乗車バス停:四条京阪前[乗り場A]
降車バス停:東山安井
運賃:230円
所要時間:約7分


タクシーで行く場合

京都駅から:約1,600円(約10分)

京阪 祇園四条駅から:約720円(約5分)

・タクシー運転手に行き先を告げたい場合

kodaiji-30

・タクシーを呼びたい場合

taxi-call

タクシー配車連絡先(京都駅周辺)

高台寺周辺のホテル検索/予約

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いかがでしたか?

それでは楽しい旅を!