龍泉庵/龍泉菴(りょうせんあん)は、京都市右京区にある臨済宗妙心寺派の寺院です。
室町時代中期の1481年、臨済宗の高僧・景川宗隆(けいせんそうりゅう)により細川政元(ほそかわまさもと)を開基として創建されました。
日本で最大規模の禅寺である妙心寺(みょうしんじ)には48もの塔頭があります。
この龍泉菴は、妙心寺四派と呼ばれる塔頭の派閥のうち最大の規模を持つ「龍泉派(りょうせんは)」の本庵に位置づけられています。
このお寺の見どころは、「方丈内部を彩る、百面に及ぶカラフルな障壁画」!
お寺の方丈には日本画家の由里本出(ゆりもといずる)により描かれた、百面にも及ぶ障壁画が飾られています。
また、寺内には白砂と苔の対比が美しい枯山水庭園もあり訪れた人たちの目を楽しませてくれます。
「カラフルな障壁画がおりなす、圧巻の風景が見たければ龍泉菴へ!」
今回は、そんな龍泉菴を訪れてみました。
龍泉庵/龍泉菴の歴史
では、まずはじめに龍泉菴の歴史を一緒に見て行きましょう!
龍泉菴は、日本でも最大規模を誇る禅寺の一つである妙心寺(みょうしんじ)の塔頭寺院です。
室町時代中期の1481年に臨済宗の高僧・景川宗隆(けいせんそうりゅう)により細川政元(ほそかわまさもと)を開基として創建されました。
景川宗隆(けいせんそうりゅう)は、妙心寺の中興の祖であった雪江宗深(せっこうそうしん)の一番弟子であり、「禅は景川」とまで言われた程の僧でした。
開基の細川政元は、室町幕府の管領を務めた要人でありながら10代将軍・足利義稙(あしかがよしたね)を追放(明応の政変(めいおうのせいへん))し、幕府の実権を握った人物でした。
禅宗のお寺の天井には、「雲龍図」という龍の絵が描かれていることがありますよね。
(写真は建仁寺の法堂天井に描かれた双竜図です。)
仏教における「龍」は、仏教を守護する八部衆(はちぶしゅう)の一尊であり「水神」とされています。
ということで、お寺の天井に雲龍図を描くと「仏の教えを雨のように降らす」とか「お堂を火災から守護する」というご利益があるとされてきたんですね。
この寺の名前の由来は不明ですが、上記の理由から「仏法を守護する龍が住まう泉」=「龍泉菴」と名づけられたのかも知れませんね。
妙心寺では数ある塔頭を取りまとめるべく、塔頭の運営を妙心寺の中興の祖・雪江宗深(せっこうそうしん)の愛弟子四人に託しました。
それが「四派四本庵(しはしほんあん)」という妙心寺塔頭における四つのグループ。
内訳は、「龍泉派(龍泉菴)」、「東海派(東海庵)」、「霊雲派(霊雲院)」、「聖澤派(聖澤院)」。
中でもこの龍泉菴を本庵とする「龍泉派」は、四派の中で最大の規模を誇る派閥!
ゆえに、このお寺は妙心寺の塔頭の中でも群を抜いて大きく立派な伽藍や庭園を有しているんですね。
創建当時は小さな庵だったと言いますが、江戸時代に入り書院や方丈などの建物が整備されていきました。
時は流れ「開祖・景川宗隆の500周忌」にあたる1999年、日本画家の由里本出(ゆりもといずる)により百面に及ぶ障壁画が奉納されました。
お寺の本堂の障壁画は、「水墨画」(黒墨の濃淡だけで表現されたモノクロームな芸術)というイメージですよね。
だがしかし!
このお寺の障壁画は「色」という概念をふんだんに取り入れた芸術品になっており、良い意味で既成概念を打ち破ってくれます!
世に珍しいカラフルな障壁画を楽しみたければ、ぜひ龍泉庵へ!
おしまい。
龍泉庵/龍泉菴について
龍泉庵は通常非公開であり、「特別拝観期間」にのみ一般公開される場合があります。
京都の特別拝観情報
以下は「2019年冬の特別拝観」の情報です。
お寺のWebサイト
お寺の詳細
住所:〒616-8035 京都府京都市右京区花園妙心寺町65
連絡先:075-463-3121
創建:1481年
開基:細川政元(ほそかわまさもと)
宗派:臨済宗(りんざいしゅう)
本尊:観音菩薩(かんのんぼさつ)
拝観時間
10:00~16:00
拝観料
大人 | 600円 |
子供 | 300円 |
その他注意点
・写真/動画撮影可能な場所や一脚/三脚の利用可否は、必ず係員に確認しましょう。
・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてくださいね。
では次に、龍泉庵の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!
龍泉庵/龍泉菴の見どころ
*のついている見どころは有料エリアです。
山門(San-mon Gate)
お寺の入口である山門(さんもん)。
江戸時代の建築と伝わります。
庫裏*
入口左手にある立派な庫裏(くり)は、江戸時代の1796年ごろに建立されました。
こちらで拝観の受付を行います。
鐘楼*
庫裏の手前にある鐘楼(しょうろう)は、江戸時代の寛永年間(1624-1644)に建立されました。
方丈*
写真奥の方丈(ほうじょう)は、江戸時代の1848年ごろに建立されました。
写真手前は方丈へ続く大玄関(おおげんかん)です。
方丈入口では、小さくも趣のある坪庭(つぼにわ)が出迎えてくれます。
方丈の各部屋には、日本画家の由里本出(ゆりもといずる)さんによる、仏教の教えを日本の自然風景に込めた障壁画が多数収められています。
大玄関の室間には、由里本出(ゆりもといずる)による昇龍図(しょうりゅうず)が収められていました。
こちらは写真撮影不可だったため、看板から引用しています。
建物の杉戸絵は、江戸時代の建築当初のものが多数遺されていました。
また、重要文化財である長谷川等伯(はせがわとうはく)筆の枯木猿猴図(複製品)の展示もありました
日本にはいないテナガザルのような、ユーモラスでとても可愛らしい猿の親子が描かれていました!
中国の偉大な水墨画家・牧谿(もっけい)の影響を深く受けているそうです。
(こちらも写真撮影は不可で、現物は京都国立博物館に展示されているそうです。)
方丈庭園*
方丈前庭(ほうじょうまえにわ)は、白砂と苔の対比がとても美しい準平庭式の枯山水庭園です。
書院*
書院(しょいん)は、1653年(江戸時代)の建立と言われています。
狩野探幽(かのうたんゆう)筆の「観音・龍虎図」などが展示されていましたが、写真撮影は禁止でした。
書院前庭*
書院前庭(しょいんまえにわ)は、要所に飛び石と灯籠を配した風情ある庭園です。
境内*
入口から続く白砂の境内、車寄せの前面には二つの立て砂。
立て砂とは、車の軛(くびき)や、輿(こし)の轅(ながえ)などをもたせ掛けるためのものです。
入口右手から大玄関を望む。
境内にひっそり佇む、妙心寺の開基である花園法皇(はなぞのほうおう)を祀る石碑。
この花園法皇が、自身の住んでいた離宮を禅寺に改修することで妙心寺が誕生したんですよね。
龍泉庵/龍泉菴の動画
龍泉庵/龍泉菴の写真
龍泉庵/龍泉菴の御朱印
龍泉菴の御朱印は、ご本尊を奉る言葉「南無観世音菩薩(なむかんぜおんぼさつ)」です。
受付で頂くことができます。(300円)
龍泉庵/龍泉菴への行き方/アクセス方法
龍泉菴は、妙心寺の境内にあります。
最寄り駅はJR花園駅または嵐電北野線 妙心寺駅です。
「京都駅」、「河原町駅」、「祇園四条駅」からバスで行くことも出来ます。
大阪駅からのルート例(電車)
①JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、JR嵯峨野丸線に乗り換え。
②JR嵯峨野線で「京都駅」から「花園駅」へ。
なんば駅からのルート例(電車)
①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「梅田駅」へ行き、JR京都線に乗り換え。
②JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、JR嵯峨野丸線に乗り換え。
③JR嵯峨野線で「京都駅」から「花園駅」へ。
京都駅からのルート例(電車)
①JR嵯峨野線で「京都駅」から「花園駅」へ。
花園駅からの徒歩ルート例
徒歩約6分(400 m)です。
妙心寺駅からの徒歩ルート例
徒歩約5分(300 m)です。
京都駅からバスで行く場合
「京都駅前 乗り場D3」から京都市バス「26系統」に乗車、「妙心寺北門前」で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:26系統[北野白梅町 御室仁和寺・山越行き]
乗車バス停:京都駅前[乗り場D3]
降車バス停:妙心寺北門前
運賃:230円
所要時間:約42分
河原町駅からバスで行く場合
「四条河原町 乗り場A(南行き)」から京都市バス「10系統」に乗車、「妙心寺北門前」で下車
バス会社:京都市バス
行先・系統:10系統[北野天満宮 御室仁和寺・山越行き]
乗車バス停:四条河原町[乗り場A 南行き]
降車バス停:妙心寺北門前
運賃:230円
所要時間:約43分
祇園四条駅からバスで行く場合
「四条京阪前 乗り場C」から京都市バス「10系統」に乗車、「妙心寺北門前」で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:10系統[北野天満宮 御室仁和寺・山越行き]
乗車バス停:四条京阪前[乗り場C]
降車バス停:妙心寺北門前
運賃:230円
所要時間:約40分
タクシーで行く場合
京都駅から:約3,000円(約20分)
京阪 祇園四条駅から:約2,800円(約15分)
・タクシー運転手に行き先を告げたい場合
・タクシーを呼びたい場合
[タクシー配車連絡先: 京都駅周辺]
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いかがでしたか?
それでは楽しい旅を!