正寿院(しょうじゅいん)は、京都府綴喜郡宇治田原町にある高野山真言宗の寺院です。
京都には沢山のお寺があり、中には辺鄙(へんぴ)な場所にも関わらず大人気のお寺も存在します。
この正寿院は、そんなお寺の一つ。
宇治茶の産地で有名な京都の奥座敷にありますが、その境内はいつも沢山の観光客でにぎわっています。
そんな皆さんのお目当ては、お寺の見どころである「ハート形の猪目窓(いのめまど)」!
客殿にあるこの素敵なデザインの窓は、最高にインスタ映えするとあって大人気!
初夏には「風鈴祭り」も開催され、境内を風鈴が埋め尽くします!
今回はそんな大人気の正寿院さんを訪れてみました。
正寿院の歴史
では、まずはじめに正寿院の歴史と、訪問する際に知っておきたいポイントを一緒に見て行きましょう!
正寿院の歴史は古く、その建立は今から約800年前の鎌倉時代。
かつてこの地で栄えた医王教寺(いおうきょうじ)というお寺の塔頭として建てられました。
その後、お寺の建物は幾度かの火災で焼失。
安土桃山時代の1596年(慶長元年)に祐胤大徳(ゆういんだいとく)というお坊さんにより再興され、今に至ります。
ハートの窓を見る前に!
正寿院の一番の見どころである「ハートの形をした猪目窓(いのめまど)」。
この窓を見る前に、ぜひ知っておきたい小ネタがあるんです!
それがこの「猪目窓」の由緒について。
そもそもこの窓、なぜ「猪目(いのめ)」と呼ばれ「ハート」の形をしているんでしょうか?
「猪目」の語源は名前の通り「イノシシの目」のことで、イノシシの目が「ハートの形」に似ているからこのようなデザインになったんだとか。
一説によると、「魔除けのために、荒ぶるイノシシの目力をモチーフにしたデザイン!」とも。
インターネットで調べると、だいたい上記のような説明がなされています。
ただ、ひねくれものの私はぶっちゃけこう思いました。
「イノシシの目がハートの形だと?」
「ぜんぜんそうは見えないんだが!」
「私の目がオカシイのか・・・?」
てことでもうちょっと調べてみました。(笑)
そして行きついた私なりの結論。
皆さんは、神社仏閣の建築物の屋根で良く目にする「懸魚(げぎょ)」という飾り板を知っていますか?
この懸魚は、建物を火災から守る魔除けの一種として屋根につけられたもの。
本来は水に縁のある「魚」の形だったそうで、良く見ると魚にも見えるしハートにも見えますよね。
この懸魚はその後色々なモノに見立てられ、そんな見立ての一つにイノシシの顔もありました。
これを「猪目懸魚(いのめげぎょ)」と言い、「猪目」デザインの由来とも言われているんだとか。
言われてみると、上記の画像の懸魚も怒って耳を立てて威嚇しているイノシシの顔に見えませんか?
「なるほど、猪目のハートとはイノシシの目だけじゃなく、顔全体を指しているのね!」
ひねくれものの私にも、これでようやく「猪目」と「ハート」がつながりました!
そして、正寿院の窓がハートの形をしている大きな理由が実はもう一つあるんです!
それは一体何なのか・・・?
この正寿院がある「宇治田原町」の地図を眺めればわかります。
なんと正寿院がある宇治田原町は「ハートの形」をしているんです!
(うまく地図が表示されない場合は、GoogleMapで「宇治田原町」と検索してみてください!)
だからこそ、正寿院さんは客殿の窓を「猪目のハート形」にされたんだそうです。
「宇治田原町の素晴らしい自然を、心(ハート)の窓を通して見て欲しい。」
あの窓には、こんな素敵な想いが込められているんですね!
おしまい。
参拝の注意点
Webサイト
お寺の詳細
住所:〒610-0211 京都府綴喜郡宇治田原町奥山田川上149
連絡先:0774-88-3601
創建:鎌倉時代
開基:不明
宗派:高野山真言宗(こうやさんしんごんしゅう)
本尊:十一面観音(じゅういちめんかんのん)
■拝観時間
4月~10月 | 9:00~16:30 |
11月~3月 | 9:00~16:00 |
■拝観料
時期により異なります。
■駐車場
あり(無料:約60台)
■その他注意点
・写真/動画撮影可能な場所や一脚/三脚の利用可否は、必ず係員に確認しましょう。
・神社やお寺の正式な参拝方法は、以下の記事を参考にしてください。
では次に、正寿院の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!
正寿院の見どころ
「*」のついている見どころは有料エリアです。
正寿院は、宇治茶でなじみ深い宇治の山の奥座敷にあるため、非常にアクセスが悪いです。
車を持っている人は、迷うことなく車で行きましょう!
車を持っていない人は以下のパターンで行きましょう!
まずは「JR/京阪宇治駅」から京都京阪バスで「維中前バス停」まで行きます。
維中前バス停からは、
・タクシーを利用する。(片道約2,600円程度です。)
・コミュニティバスを利用する。(地元民優先!混雑する時間帯は乗れない場合もあります。)
・お寺の送迎バスを利用する。(事前予約が必要です。)
このいずれかのパターンで向かう形になります。
行き方の詳細は「7.正寿院への行き方/アクセス方法」を参照してください。
境内の手前には、無料の駐車場(約60台)が完備されていたので車で行っても安心です!
正寿院さんには、決められた参拝方法があります。
①本堂の受付で「拝観受付」
②本堂へのお参り
③客殿(側天の間)へのお参り
ということで、まずは本堂の受付へ向かいます!
入口の門をくぐり、境内にお邪魔します。
訪問時は「風鈴祭り」が開催されていたので、沢山の風鈴が出迎えてくれました!
入り口の百日紅(さるすべり)の木は、なんと樹齢300年を超える古木なんだとか!
本堂*
境内を進むと本堂(ほんどう)が見えてきます。
まずは向かって右手の入り口にある受付で、拝観料を支払います。
拝観料は季節や時間により異なりますが、私が訪問した際は500円でした。
御朱印も受付で頂くことができます。
拝観料には、お茶とお菓子の接待が含まれています。
番号が書かれたお抹茶の引換券と、ハートの猪目窓がある客殿への入場チケットが頂けます。
入場チケットは「散華(さんげ)」と言う花びらの形をした紙。
花びらの形は、仏様の供養のため花びらをまいたことに由来するんだそうです。
受付が終わったら、左手にある入り口から本堂の中にお邪魔します。
本堂の内部はこんな感じ。
縁側が座れるように解放されており、本堂前のお庭を見ながらゆっくりと過ごすことができます。
そうこうしているうちに、お茶とお菓子を持ってきて下さいました。
お茶はもちろん、この地の特産である冷たい宇治茶。
お菓子は正寿院さんオリジナルの可愛いおせんべいで、数種類のデザインがあるそうですよ!
右上のカラフルなひもは、願いを叶える「叶紐(かのうひも)」といって毎月「8」がつく日のみ頂けるもの。
持ち帰っても良いですし、願いをこめて境内の地蔵堂にくくりつけても良いそうですよ。
本堂の縁側に座りながら、ゆっくりお茶とお菓子を頂きました。
こうしてお庭の景色や風鈴の音色を楽しんでいると、時間が経つのを忘れてしまいます。
正寿院は、快慶(かいけい)作の不動明王(ふどうみょうおう)の像でも有名ですよね。
現在この像は奈良国立博物館にあるそうで、その代わりに御姿の写真が飾られていました。
また、この本堂にはご本尊の十一面観音(じゅういちめんかんのん)もおられますが、秘仏のため御開帳はなんと五十年に一度!
前回は1990年だったので、次回は2040年と言うことになりますね!
では、次に境内の風鈴祭りを見に行きましょう!
風鈴祭り
風鈴祭りは毎年7月~9月中旬にかけて開催されています。
この時期になると境内には沢山の風鈴が飾られ、その綺麗な音色で私たちに涼しさを届けてくれます!
やはり風鈴の音色はいつ聞いてもいいですねー!
本当にいつまでも聞いていたいような、そんな気持ちにさせてくれます。
様々な種類の風鈴がつられており、そのデザインを楽しむのも素敵です!
こちらは金魚やお花をモチーフにした風鈴。
とても夏らしい、さわやかで可愛い風鈴ですね。
花火の柄や、昔懐かしいビードロチックな風鈴も吊られていました。
本堂には、日本全国の都道府県別にデザインされた風鈴も飾られていました。
個人的には、秋田県の手毬風鈴がとても愛らしく気に入りました。
では、次に正寿院の境内を散策してみたいと思います!
正寿院の境内
こちらは本堂の前庭、小さいスペースに日本庭園の美をぎゅっと凝縮したような作りですね。
足元を見てみると、こんなにも沢山の小さなお地蔵様が!
とってもユーモラスなお顔で、境内を優しく見守られていました。
境内の脇にしつらえてあった木の舞台には、ハートの形が隠されていました!
こちらは、埋木(うめき)という手法で修復された跡だそうです。
正寿院さんでは風鈴やハートの猪目窓ばかりに目が行きがちですよね。
でも、こうしてちょっと境内や足元を見るとそれ以外の素敵な風景が広がっていたりするんです。
地蔵堂:Jozo-do hall
こちらは境内にある地蔵堂(じぞうどう)。
賽の河原で石を積む子供たちを救いに、お地蔵様は今日もこの世とあの世を行き来されているんでしょう。
毎月「8」が付く日にお参りに行くと頂ける「叶紐(かのうひも)」。
その紐を、祈りを込めてこの地蔵堂に奉納することで願いを叶えてくださるそうです。
境内の散策を終えたところで、いよいよ客殿に向かいます!
客殿*
2017年に完成した客殿(きゃくでん)は、本堂のある境内から道路を挟んだ向かい側にあります。
客殿へ入る際には、受付でもらった花びらの形をした入場チケットが必要になります。
忘れず落とさず無くさず持っておきましょうね!(笑)
ではでは客殿に入りたいと思います!
猪目窓*
客殿にある「則天の間」に通されると・・・、
じゃーん。
SNSなどで大人気、あの有名なハートの形の猪目窓(いのめまど)が出迎えてくれました!
うーん、何て素敵なんでしょう。
「この宇治田原町の地形はハートの形。」
「そんな縁もあり、ハートの窓を通してこの地の自然を見て欲しい。」
そんなお寺さんの想い通り、この光景は自分の心(ハート)に響いてくるようでした!
天井画*
猪目窓を見た後は、ぜひその目線をそっと天井に向けてみてください。
客殿の天井には、約90名の日本画家による160枚の天井画(てんじょうが)が!
主なテーマは「花」と「日本の原風景」なんだそう。
一つ一つの天井画はそれぞれ異なる趣を持っており、ずーっと眺めていても全く飽きませんでした。
しかもここ、天井画を見るときは「仰向けになってもOK!」なんです。
ずーっと見上げると首が痛くなるので、ゆっくり仰向けになりつつ天井画を堪能しましょう!
160枚の天井画の中には、
・春夏秋冬の季節ごとの「舞妓さん」
・東西南北を守護する青龍、白虎、朱雀、玄武の「四神(ししん)」
が隠されています。
どこにあるのか探してみるのも楽しみの一つですね!
客殿庭園*
天井画を堪能したあとは、客間の縁側から客殿の庭園を拝見しましょう!
苔と白砂が配された綺麗な枯山水庭園です。
どこのお寺さんも苔の管理には相当苦労されているようですが、ここの苔は盛り上がりがすごく元気一杯!
風鈴祭りの時期はこの庭園にも風鈴が飾られ、心地よい音色を響かせてくれていました。
庭園の蹲(つくばい)には、この時期ならではの紫陽花のお花が浮かべられていました。
いかがでしたか?
私が訪問した際に思った感想は以下の通りでした。
「参詣者の目を楽しませるために、本当にご努力されていて素晴らしいなぁ。」
有名な風鈴祭りや、ハート形の猪目窓はもちろんのこと。
気づきにくい足元や周囲にも沢山の見どころがありましたので、ぜひきょろきょろ見渡しつつ御参詣されることをおススメします!
正寿院で撮影した動画
正寿院で撮影した写真
正寿院の御朱印
正寿院の御朱印は、季節によってさまざまな種類があります。
私は、ご本尊「十一面観音」を表す「観世音」の御朱印を頂戴しました。
正寿院への行き方/アクセス方法
正寿院はかなりアクセスが悪い場所にあるため、車で行くことをおススメします!
車以外で行く場合は、まず最寄り駅の京阪/JR宇治駅を目指しましょう!
大阪駅からのルート例(電車)
①JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、JR奈良線に乗り換え。
②JR奈良線で「京都駅」から「宇治駅」へ。
なんば駅からのルート例(電車)
①大阪メトロ(地下鉄)で「なんば駅」から「淀屋橋駅」へ行き、京阪電車に乗り換え。
②京阪電車の特急で「淀屋橋駅」から「中書島駅」へ行き、普通に乗り換え。
③京阪電車の普通で「中書島駅」から「宇治駅」へ。
京都駅からのルート例(電車)
①JR奈良線で「京都駅」から「宇治駅」へ。
最寄り駅の京阪/JR宇治駅からの行き方は、以下4パターンがあります。
①タクシーのみを利用
②京阪京都バスと送迎バスを併用
③京阪京都バスとタクシーを併用
④京阪京都バスとコミュニティバスを併用
おすすめは「②京都京阪バスと送迎バスを併用」です。
では、各パターンの行き方を詳しく見て行きましょう!
・すべて「京阪/JR宇治駅」を起点にしています。
・乗り換えの待ち時間は考慮していません。
・片道の料金表示です。
①タクシーのみを利用
・京阪/JR宇治駅前のタクシー乗り場からタクシーに乗車。
一番早く行けますがその分お金がかかります。
一緒に行く人数が多い場合は利用価値があると思います。
料金 | 約5,500円 |
時間 | 約35分 |
・タクシー運転手に行き先を告げたい場合
・タクシーを呼びたい場合
■タクシー会社連絡先(宇治駅周辺)
②京都京阪バスと送迎バスを併用
・京阪/JR宇治駅前から「京都京阪バス(180/184系統)」に乗車、「維中前バス停」で下車。
・「維中前バス停」から「送迎バス」に乗車。
一番おすすめの行き方ですが、お寺の送迎バスについては以下の点に注意が必要です。
・運行日が決まっており事前の予約が必要です。
料金 |
440円 (440円(京都京阪バス)+無料(送迎バス)) |
時間 |
約35分+乗換バス待ち時間 (20分(京都京阪バス)+15分(送迎バス)) |
■京都京阪バス時刻表(JR宇治駅①バス乗り場)
180系統(維中前行き)
184系統(宇治田原工業団地前行き)
■京都京阪バス時刻表(京阪宇治駅②バス乗り場)
180系統(維中前行き)
184系統(宇治田原工業団地前行き)
③京都京阪バスとタクシーを併用
・京阪/JR宇治駅前から「京都京阪バス(180/184系統)」に乗車、「維中前バス停」で下車。
・「維中前バス停」から「タクシー」に乗車。
送迎バスの予約が取れない/運行していない場合の行き方です。
料金 |
約2,940円 (440円(京都京阪バス)+約2,500円(タクシー)) |
時間 |
約35分+タクシー待ち時間 (20分(京都京阪バス)+15分(タクシー)) |
■タクシー会社連絡先(維中前バス停周辺)
④京都京阪バスとコミュニティバスを併用
・京阪/JR宇治駅前から「京都京阪バス(180/184系統)」に乗車、「維中前バス停」で下車。
・「維中前バス停」から「コミュニティバス」に乗換えて「奥山田バス停」で下車。
・「奥山田バス停」から徒歩で「正寿院」へ(約1km/20分)。
送迎バスの予約が取れない/運行していない場合で、最も安価な行き方ですが、以下の点に注意が必要です。
・コミュニティバスは地元の方が優先です。
・コミュニティバスが満席の場合は乗車できない場合があります。
料金 |
440円 (440円(京都京阪バス)+無料(コミュニティバス)) |
時間 |
60分+乗換バス待ち時間 (20分(京都京阪バス)+20分(コミュニティバス)+20分(徒歩)) |
■コミュニティバス時刻表
■奥山田バス停からの徒歩ルート例
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いかがでしたか?
それでは楽しい旅を!( *´艸`)