青蓮院/青蓮院門跡(しょうれんいん)は京都市東山区にある天台宗の門跡寺院です。
門跡(もんぜき)とは、代々皇族や貴族などが住持する格式高い寺院のことで、この青蓮院は三千院(さんぜんいん)や妙法院(みょうほういん)と共に、天台三門跡の一つに数えられています。
また、江戸時代には後桜町天皇(ごさくらまちてんのう)の住居が火災で焼失した際に仮御所として利用されたため、粟田御所(あわたごしょ)の通称があります。
そんな青蓮院の見どころは、「堂々とした宸殿(しんでん)と、ぐるりと回遊できる庭園」!
落ち着いた雰囲気の境内は、格式高い歴史からその全域が国の史跡(しせき)に指定されているほど。
「ゆったりと国の史跡を味わいたいなら青蓮院へ!」
今回は、そんな青蓮院/青蓮院門跡を訪ねてみました。
青蓮院の歴史
では、まずはじめに青蓮院/青蓮院門跡の歴史と覚えておきたいポイントを一緒に見て行きましょう!
青蓮院の歴史は古く、天台宗の宗祖である最澄(さいちょう)が奈良時代に比叡山延暦寺(ひえいざんえんりゃくじ)をこの地に設立した際の僧侶の宿坊の一つ「青蓮坊(しょうれんぼう)」がその起こりと言われます。
平安時代の1150年に、鳥羽法皇の息子の一人であった覚快法親王(かくかいほっしんのう)が入寺。
この際に宿坊であった「青蓮坊」の名称を引き継ぎ「青蓮院(しょうれんいん)」とすることで、格式高い門跡寺院としての歴史を歩み始めました。
また、この青蓮院は平安時代から鎌倉時代にかけて「日本仏教の守護者」としての役割をも果たします。
その中心となった人物こそが、この青蓮院の門主を務めた「慈円(じえん)」。
青蓮院は「天台宗」のお寺であり、ご存知の通り総本山は比叡山延暦寺(ひえいざんえんりゃくじ)。
ただこの延暦寺、当時は他の宗派の弾圧なんか朝飯前!的な過激な思想のお寺であり、その厳格な戒律の観点から、特に万人受けする教えを説いていた浄土宗系の仏教とは犬猿の仲だったと言われています。
延暦寺「念仏唱えるだけで極楽になんかいけるわけないじゃろがーい!」
延暦寺「ひゃっはー!そんなゆるい宗派は弾圧するぜー!」
ということで、当時まだ新興宗教だった浄土宗の法然(ほうねん)や浄土真宗の親鸞(しんらん)を色々ないちゃもんをつけて徹底的に弾圧しました。(これを「承元の法難(じょうげんのほうなん)」と呼んだりします。)
しかし!
当時そんな過激な天台宗の中で、青蓮院の慈円(じえん)だけはとても寛大でした。
慈円「また延暦寺はん無茶されとりますわ。こら浄土宗はんはかなわんですな。」
慈円「同じ仏教を信仰する仲間なんやから、仲良うせなあきませんやろ。」
ということで、彼はなんと迫害を受けていた法然を不憫に思い、青蓮院の境内の一部を分け与えるんです!
慈円さん、太っ腹!
慈円「法然はん、親鸞はん、島流しとかさすがに同情しますわ。」
法然/親鸞「うぅ、もうわしらは一生島で引きこもるしかない運命なんや。ニート坊主や…。」
慈円「…、どの時代ですねん。せや、お寺の一部を分けるさかいもう一度頑張りなはれや。」
法然/親鸞「ふおお、まじっすか。やる気出てきた!新しいお寺つくるで!」
そして分け与えられた土地に法然が建てたお寺こそ、何を隠そう現在の知恩院(ちおんいん)なんです。
だから、青蓮院と知恩院は現在でもお隣さん同士なんですね。
また浄土真宗の開祖である親鸞(しんらん)は、そもそも幼少の頃この慈円を頼ってお坊さんになっています。
だからこのお寺は天台宗でありながら、現在でも浄土真宗の聖地の一つでもあります。
だからこそ、この青蓮院の植髪堂(うえかみどう)には親鸞の像と彼の遺髪が祀られているんですね。
現在の日本で最も信仰されていると言われている「浄土宗」と「浄土真宗」。
この二つの宗派は、この青蓮院の門主であった慈円が庇護したからこそ生き残ったんですね!
「円く慈しむ」と書いて「慈円(じえん)」。
その名前が表している通り、彼には「無限の愛」があったんでしょうね!
イイハナシダナー!
教訓「名は体を表すって言葉は本当だった!」
おしまい。
青蓮院について
お寺の詳細
住所:〒605-0035 京都府京都市東山区粟田口三条坊町69-1
連絡先:075-561-2345
創建:1150年
開基:行玄(ぎょうげん)
宗派:天台宗
ご本尊:熾盛光如来(しじょうこうにょらい)
拝観時間
一般拝観 | 9:00~17:00 |
夜間特別拝観 | 18:00~22:00 |
*夜間特別拝観は春/秋の特定期間にのみ開催されます。
拝観料(一般拝観)
大人 | 500円 |
中高生 | 400円 |
小学生 | 200円 |
拝観料(夜間特別拝観)
大人 | 800円 |
高校生以下 | 400円 |
*夜間特別拝観は春/秋の特定期間にのみ開催されます。
お寺のWebサイト
その他注意点
・写真/動画撮影可能な場所や、一脚/三脚の利用可否は必ず係員に確認しましょう。
・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてくださいね。
では次に、青蓮院/青蓮院門跡の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!
青蓮院の見どころ
- 薬医門
- 楠 (天然記念物)
- 寺務所
- 枯山水庭園
- 華頂殿*
- 相阿弥の庭*
- 一文字手水鉢*
- 霧島の庭*
- 好文亭*
- 小御所*
- 本堂*
- 宸殿*
- 宸殿前庭*
- 大玄関*
- 日吉社*
- 鐘楼*
- 四脚門*
- 長屋門*
- 植髪堂
- 親鸞聖人遺髪塔
*のついている見どころは有料エリアです。
薬医門
では早速、青蓮院(しょうれんいん)の境内に入ってみたいと思います!
こちらがお寺の山門、入口にあたる薬医門(やくいもん)です。
楠 (天然記念物)
薬医門の手前にある長屋門のそばには、ものすごい根っこを生やした大きな楠(くすのき)が!
この青蓮院には樹齢800年を超える五本の大きな楠があり、それらは全て天然記念物(てんねんきねんぶつ)に指定されています!
寺務所
薬医門をくぐり、境内を進むと寺務所(じむしょ)が見えてきます。
こちらで拝観や御朱印の受付を行います。
枯山水庭園
寺務所の手前には、小さいながらも良く整備された枯山水庭園(かれさんすいていえん)がありました。
華頂殿*
寺務所から建物の中を進むと、まず見えてくるのがこの華頂殿(かちょうでん)です。
漆塗りをしていない白木造りの白書院の造りであり、お寺の客殿としての役割を果たしています。
華頂殿の内部には三十六歌仙(さんじゅうろっかせん)の額や、モダンな蓮の襖絵で飾られており、お客様をもてなす和の雰囲気で満載でした。
この襖絵のデザインは、キーヤン(KI-YAN)というブランドで有名な絵師・木村英輝(きむらひでき)氏によるものなんだとか。
広い客間は全面ガラス戸になっており、青蓮院自慢の相阿弥の庭(そうあみのにわ)を一望できる素敵な場所。
畳敷きの和室に座りながら、ゆっくりと庭園を楽しむことが出来ました。
ではちょっと靴を履きなおして、相阿弥の庭を散策してみたいと思います!
相阿弥の庭*
相阿弥の庭(そうあみのにわ)は、その名の通り室町時代の有名な絵師・相阿弥(そうあみ)によってデザインされた池泉回遊式の庭園です。
庭の真ん中にある池は「龍心池(りゅうしんち)」と呼ばれています。
池に浮かぶ大石を龍の背中に見立て、まるで龍が池の中で休んでいるかのような光景を醸し出しています。
池に浮かぶ橋は、龍をまたぐと書いて「跨龍橋(こりゅうのはし)」。
池全体に龍の体が横たわっているイメージなんですね。
一文字手水鉢*
相阿弥の庭の端、小御所(しょうごしょ)に近い場所には一文字手水鉢(いちもんじちょうずばち)が置かれています。
巨大な一文字の自然石で出来ており、豊臣秀吉(とよとみひでよし)が寄進したと言われています。
では続いて、華頂殿の裏側の庭園を散策してみたいと思います!
霧島の庭*
華頂殿の裏側にある庭園は、小堀遠州(こぼりえんしゅう)により作庭された霧島の庭(きりしまのにわ)と呼ばれる平庭です。
庭園の斜面一面にキリシマツツジが群生していることからこの名前がつけられました。
5月のゴールデンウィーク頃が一番の見ごろなんだとか!
好文亭*
霧島の庭と相阿弥の庭の境目に建つ建物が、茶室の好文亭(こうぶんてい)です。
残念ながら1993年に放火により消失、1995年に再建された新しい建物です。
江戸時代にこのお寺が仮御所だった時代、後桜町天皇(ごさくらまちてんのう)が当時の建物で学んだそうです。
そのため、この青蓮院は「粟田御所(あわたごしょ)」とも呼ばれていました。
小御所*
相阿弥の庭の奥に鎮座する建物が、小御所(こごしょ)です。
江戸時代に天皇の仮御所として使用された建物を、1893年の火災後に移築したものです。
本堂*
小御所から南側に連なるお堂が、この青蓮院の本堂(ほんどう)です。
熾盛光如来(しじょうこうにょらい)の曼荼羅が祀られているため、熾盛光堂(しじょうこうどう)とも呼ばれています。
宸殿*
小御所の隣にある大きな建物が宸殿(しんでん)です。
宸殿という名前の建物は、皇室の関係者が代々住持を勤めた門跡寺院だけに許された格式ある建物の総称です。
青蓮院の宸殿は、もともと徳川家康の孫であった徳川和子(とくがわかずこ)の御所を移転したものでした。
しかし1893年の火災で焼失し、現在の建物は明治時代に再建されたものです。
宸殿前庭*
宸殿の前庭は一面が苔に覆われた枯山水庭園で、宸殿のお庭らしく「左近の桜と右近の橘」が配されているのが特徴ですね!
春と秋の夜間特別拝観時には、「青蓮院」の名前の通りこの庭園全体が蓮に見立てた青色のLEDでライトアップされることでも有名ですね!
大玄関*
前庭をぐるっと回りこんで出口側に向かうと、宸殿の大玄関(おおげんかん)が見えてきます。
こちらが宸殿への正式な玄関ですが、現在は開かずの門となっています。
日吉社*
境内の東側の最奥には、日吉社(ひよししゃ)がひっそりと佇んでいました。
こちらには、天台宗の守護を司る日吉山王(ひよしさんのう)が祀られています。
鐘楼*
宸殿の前庭の傍らには鐘楼(しょうろう)が備えられていました。
吊られている鐘は、誰でも自由についてOKなんです。
青蓮院近くを散策すると良く鐘の音が聞こえてきますが、たいていこの鐘がつかれた音なんですよね。
四脚門*
宸殿の大玄関の向かいには四脚門(しきゃくもん)がそびえます。
その昔、青蓮院へはこの四脚門から宸殿の大玄関に向かう道が正しい経路だったんでしょうね。
この四脚門は江戸時代に明正天皇(めいしょうてんのう)の御殿の門を移築したもので、青蓮院の建造物としては珍しく1893年の大火を免れています。
これで青蓮院の境内内側の見どころは全て見終えました。
続いて、青蓮院の境内外側の見どころを見て行きましょう!
長屋門*
長屋門(ながやもん)は、青蓮院入口の薬医門の右隣にある建物。
その名の通り長屋(ながや)の形をした門で、四脚門同様に明正天皇(めいしょうてんのう)の御殿の門を移築したものです。
植髪堂
青蓮院境内の左隣にある建物が、明治時代の1880年にこの地に移築された植髪堂(うえがみどう)です
青蓮院の歴史の項目でも述べた通り、こちらの建物には浄土真宗の開祖である親鸞(しんらん)の像が祀られています。
親鸞聖人遺髪塔
植髪堂の傍らには、親鸞の遺髪が納められていると言われています遺髪塔(いはつとう)があります。
青蓮院は天台宗でありながら浄土真宗の親鸞とも関わり深い歴史があるため、その境内にこうした遺構が残っているんですね。
以上でこの青蓮院の見どころを見て回りました!
将軍塚青龍殿について
青蓮院は日本三不動の一尊である「青不動(あおふどう)」と呼ばれる国宝の仏画を有しています。
この仏画は、現在この青蓮院の飛び地境内にあたる「将軍塚青龍殿(しょうぐんづかせいりゅうでん)」に奉納されているので、ぜひこちらも時間があれば行ってみて下さい!
青蓮院の写真
青蓮院の動画
春の夜間ライトアップ「京都東山花灯路」
青蓮院は、毎年春3月上旬に開催される夜間ライトアップイベント「京都東山花灯路」の会場になります。
また、11月ごろには独自にライトアップイベントも開催されています。
とても幻想的なライトアップイベントですので、春や秋に京都を訪れる際は是非夜にこの青蓮院を訪れて見て下さい。
青蓮院の御朱印
青蓮院の御朱印の墨書きは、ご本尊の「熾盛光如来(しじょうこうにょらい)」です。
御朱印は寺務所で頂く事が出来ます。(300円)
青蓮院への行き方/アクセス方法
最寄り駅は、京都市営地下鉄東西線 東山駅です。
京都駅、京都河原町駅、祇園四条駅からバスで行くことも出来ますが、東山駅から歩いて行くことをおすすめします。
大阪駅から東山駅へのルート例(電車)
①JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、京都市営地下鉄烏丸線に乗り換え。
②京都市営地下鉄烏丸線で「京都駅」から「烏丸御池駅」へ行き、京都市営地下鉄東西線に乗り換え。
②京都市営地下鉄東西線で「烏丸御池駅」から「東山駅」へ。
なんば駅から東山駅へのルート例(電車)
①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「梅田駅」へ行き、JR京都線に乗り換え。
②JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、京都市営地下鉄烏丸線に乗り換え。
③京都市営地下鉄烏丸線で「京都駅」から「烏丸御池駅」へ行き、京都市営地下鉄東西線に乗り換え。
④京都市営地下鉄東西線で「烏丸御池駅」から「東山駅」へ。
京都駅から東山駅へのルート例(電車)
①京都市営地下鉄烏丸線で「京都駅」から「烏丸御池駅」へ行き、京都市営地下鉄東西線に乗り換え。
②京都市営地下鉄東西線で「烏丸御池駅」から「東山駅」へ。
東山駅からの徒歩ルート例
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徒歩約10分(500m)です。
京都駅からバスに乗る場合
「京都駅前[乗り場A1]」バス停から京都市バス「5系統」に乗車、「神宮道」バス停で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:5系統[岡崎公園・平安神宮・銀閣寺・岩倉行き]
乗車バス停:京都駅前[乗り場A1]
降車バス停:神宮道
運賃:230円
所要時間:約30分
京都河原町駅からバスに乗る場合
「四条河原町駅[乗り場H北行き]」バス停から京都市バス「5系統」に乗車、「神宮道」バス停で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:5系統[岡崎公園・平安神宮・銀閣寺・岩倉行き]
乗車バス停:四条河原町駅[乗り場H北行き]
降車バス停:神宮道
運賃:230円
所要時間:約12分
祇園四条駅からバスに乗る場合
「四条京阪前[乗り場B]」バス停から京都市バス「46系統」に乗車、「神宮道」バス停で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:46系統[上賀茂神社行き]
乗車バス停:四条京阪前[乗り場B]
降車バス停:神宮道
運賃:230円
所要時間:約17分
タクシーで行く場合
京都駅から:約2,000円(約10分)
祇園四条駅から:約770円(約5分)
・タクシー運転手に行き先を告げたい場合
・タクシーを呼びたい場合
タクシー配車連絡先(京都駅周辺)
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いかがでしたか?
それでは楽しい旅を!