貴船神社の記事タイトル画像(Kifune-jinja Shrine)

貴船神社(きふねじんじゃ)は、京都市左京区にある神社です。

地域の名前は「きね」ですが、神社の名前は濁点の無い「きね」

境内の御神水がいつまでも濁らないようにと願掛けされた発音通り、古来より「水や雨を司る水源の神」として信奉されています。

また平安時代の歌人・和泉式部(いずみしきぶ)の夫婦仲を取り持って以来、ここは「悪縁を断ち、良縁を結ぶパワースポット」としても知られるようになりました。

「貴船中宮(きふねなかみや)恋(こい)の宮、男女(おとこおんな)を結ぶ神」

「遠く都(みやこ)のはじめより、結(ゆい)の社(やしろ)と称えけり」

和泉式部が後世に残した歌には、この神社の縁結びに対する感謝がはっきりとつづられています。

「男女の関係に悩んだら、何はともあれ縁結びの貴船神社へ!」

今回はそんな貴船神社を訪れてみました。


貴船神社の歴史

では、まずはじめに貴船神社の歴史と覚えておきたいポイントを一緒に見て行きましょう!


貴船神社の境内図(Kifune-jinja Shrine)

社伝によると、何とその歴史は今から約1,600年もの昔にさかのぼります。

反正天皇(はんぜいてんのう)が治めた古墳時代に、初代天皇・神武天皇(しんむてんのう)の母であった玉依姫命(たまよりびめ)がこの地に現れ、綺麗な水が湧き出すこの地を「五穀豊穣の地」と定めたことが始まりなんだとか。

それが証拠に、天武天皇(てんむてんのう)が治めた飛鳥時代の666年には既に社殿を建て替えた形跡が伝えられているんだそうな。

これは世界遺産・上賀茂神社(かみがもじんじゃ)の創建よりも少し古い時代のため、この貴船神社は京都でも最古の神社の一つ!ということになりますね。

元々は現在の奥宮の地にありましたが、平安時代の1046年に御本殿が洪水により流出した事を契機に現在の本宮・結社(中宮)・奥宮に分けられ現在に至ります。

本宮と奥宮は水を司る龍神としての性質を持つ「高龗神(たかおかみのかみ)闇龗神(くらおかみのかみ)」、結社(中宮)は縁結びを司る「磐長姫命(いわながひめのみこと)」を御祭神とします。


縁結び(Enmusubi)

さて、今回はそんな歴史ある貴船神社の「縁結びのご利益」についてちょっと詳しく見て行きたいと思います。

なぜここは昔から縁結びのパワースポットとして親しまれてきているのでしょうか?

では、ここからは実際に御利益にあやかった3人の女性にご登場頂き、その効果を語ってもらいましょう!


和泉式部(Izumi Shikibu)

【和泉式部さん(平安時代/人間/女性)の事例】

平安時代の有名な女流歌人だった和泉式部(いずみしきぶ)さんは、夫・藤原保昌(ふじわらのやすまさ)の不貞に悩んでいました。

そんな彼女が、今日も帰ってこない旦那を嘆いて詠んだ歌がこの短歌。

「もの思へば 沢の蛍もわが身より あくがれいづる 魂(たま)かとぞみる」

和泉式部「あぁ!旦那が恋しすぎて魂が抜けちゃいそう!沢に飛ぶ蛍が自分の魂に見えてきたわ、幻覚?」

思い悩んだ彼女は、この貴船神社を参拝して縁結びパワースポットの御利益にすがることに!

和泉式部「どうか夫が私の元に帰ってきますように!助けて!神様!」

そしたらあら不思議、神様からこんなお返事がありました。

「おく山に たぎりて落つる 滝つ瀬の 玉(たま)ちるばかり ものな思ひそ」

磐長姫命「ちょ、そんな奥の山の滝に飛び散る水みたいに、魂が散るほど悩んだらあきまへんぇ!」

磐長姫命「夫婦の縁を結び直すさかい、近くの「思ひ川」って川で身体を綺麗にしてお祈りしておくれやす。」

その結果、和泉式部さんは夫とよりを戻すことが出来ましたとさ!

和泉式部「貴船神社の御利益、ぱないわ!有難う御座います!」

(まぁ実は和泉式部さん自体も恋多き女性として有名で、似た者夫婦が元さやに納まったというのはここだけの話…。)


鬼の娘

【鬼の娘さんの事例(室町時代/鬼/女性)】

これは、御伽草子(おとぎそうし)という物語集に描かれた、室町時代末期のお話。

とある鬼の国の娘さんが、あろうことか身分も種族も違う人間の武将と恋に落ちちゃいました。

当然周囲は2人の仲に猛反対!

さぁ、どうする?

鬼の娘「恋愛に国境も身分も・・・、種族だって関係ないわ!」

武将「良く言った!俺もそう思うわ。他のやつらの言う事なんか無視しようぜ!恋愛結婚最高!」

鬼の娘「鬼や人間が祝福してくれなくても、神様なら祝福してくれるはずよ!」

武将「確かに!じゃぁ縁結びの貴船神社に行って俺ら2人の仲を神様に認めてもらお!」

磐長姫命「なんて素敵なお話!誰が認めなくても私が2人の仲を認めますぇ!」

ということで2人は神様のお墨付きをもらい、めでたく夫婦となりましたとさ。


イワナガヒメ

【磐長姫命さんの事例(神代/神様/女性)】

最後に、数々の縁結びを助けてきた神様・磐長姫命(いわながひめのみこと)のちょっと切ない物語で締めくくりましょう。

磐長姫命には超絶美人の木花咲耶姫(このはなのさくやひめ)という妹がおり、この姉妹は揃って天孫降臨で有名な瓊々杵尊(ににぎのみこと)にお嫁に行くことになりました!

だがしかし!

瓊々杵尊は、あろうことか美人の木花咲耶姫だけを嫁にすると言いだしました。

瓊々杵尊「美人の妹だけ嫁にもらうわ。姉は…、うん、ゴメン。」

磐長姫命「何ですってー!辛いですわ!悲しいですわ!」

磐長姫命「うぅっ、こんな悲しい思いをするのは私だけで十分よ!」

磐長姫命「そうよ、今後は私が縁を結んで他の人にこんな思いはさせないようにするわ!」

磐長姫命「それが私に課せられた使命なの!なの!なのー!」

こうして、磐長姫命はこの貴船神社の地で縁結びの神としてその後の人生(神生?)を捧げることにしました。

因みに、この時に「磐/岩(いわながひめ)」ではなく「花(このはなのさくやひめ)」を選んだ瓊々杵尊には、その子孫が「磐のように長命」ではなく「花のように短命」になってしまうという呪いがかかりましたとさ。

てな感じで、この貴船神社は縁結びに精を出す優しい神様のおかげで、人間や鬼などの種族なんて関係が無いほどの強力な縁結びのパワースポットとして今日も誰かさんの良縁を結んでいるんです。

おしまい。

貴船神社について

貴船神社(Kifune-jinja Shrine)

詳細

住所 〒601-1112 京都市左京区鞍馬貴船町180
連絡先 075-741-2016
創建 不明(社伝では古墳時代とも)
祭神

本宮/奥宮:高龗神(たかおかみのかみ)闇龗神(くらおかみのかみ)

結社(中宮):磐長姫命(いわながひめのみこと)

参拝時間

5月~11月 6:00~20:00
12月~4月 6:00~18:00

*正月三が日は6:00~20:00。

*夜間ライトアップの期間中は閉門時間が延長される場合があります。

*授与所は9:00~17:00です。

参拝料

無料

駐車場

あり(2時間500円/本宮横に約10台分、奥宮手前に約15台分)

公式Webサイト

その他注意点

・上記情報は2017年1月に訪れた際のものであり、変更されている可能性があります。

・夏や秋、雪の日の夜間に特別ライトアップが行われる場合があります。詳しくはホームページを参照してください。

・写真/動画撮影可能な場所や、一脚/三脚の利用可否は必ず係員に確認しましょう。

・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてくださいね。


貴船神社のパンフレット(Kifune-jinja Shrine)

では次に、貴船神社の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!


貴船神社の見どころ

【本宮】


【結社/中宮】


【奥宮】


叡山電鉄 鞍馬線 貴船口駅 (Eizan Railway Kurama Line Kibuneguchi Station)

貴船神社の最寄り駅は、叡山電鉄 鞍馬線 貴船口(きぶねぐち)駅です。

駅からは約2.4km(徒歩約50分)ありますので、駅前にある「貴船口駅前バス停」からバスに乗車して行くことをおすすめします。

私が伺ったのは2017年1月15日、稀に見る大雪の日に敢えて雪景色を見るために行ってみましたがものすごい雪でした。(笑)

貴船神社周辺は京都の奥座敷のため雪が積もること自体は珍しくありませんが、この日のような大雪はめったにありません。


貴船神社(Kifune-jinja Shrine)

歩くこと約50分、貴船神社の本宮入り口に当たる鳥居が見えてきました!

この「貴船」という名前は、この神社の創建の折に玉依姫命(たまよりびめ)が「黄色い船=黄船=貴船」に乗って現れた古事に由来しているんだとか。

また、昔から「生命のエネルギーである氣が生まれる場所」という意味を持つ「氣生根」という呼び方もされるほどのパワースポットなんです。


貴船神社の境内案内図(Kifune-jinja Shrine)

この貴船神社は、現在「本宮(もとみや/ほんぐう)」、「中宮/結社(なかみや/ゆいのやしろ)」、「奥宮(おくみや)」の三か所に分かれており、この三か所全てに参拝することを「三社参り(さんしゃまいり)」と呼んでいます。

この三か所は「本宮」→「中宮/結社」→「奥宮」の順に並んでいるのですが、参拝の正式な順番は実はこの並び順ではなく、「本宮」→「奥宮」→「中宮/結社」が正しい参拝の順番とされています。

まぁ神様は参拝の順番を間違えただけでそっぽを向くほど器が小さくは無いとは思いますが、一応この順番で参拝されることをお勧めします。

ただ、この紹介記事では並び順である「本宮」→「中宮/結社」→「奥宮」の順でご紹介していきますのでご了承下さい。

では早速境内の見どころを見て行きましょう!

【本宮の見どころ】

貴船神社(Kifune-jinja Shrine)

本宮は3つの宮の中で最も駅に近い南側に位置し、貴船神社の中心となる聖域です。

社務所はこの本宮にありますので、御朱印やお守りを購入する場合はこの本宮に向かいましょう。

本宮のご祭神は、水を司る龍神様である高龗神(たかおかみのかみ)です。

一の鳥居

貴船神社の一の鳥居(Ichi-no-torii gate of the Kifune-jinja Shrine)

貴船神社の一の鳥居(いちのとりい)は、実は本宮ではなくずーっと南側に下った貴船口バス停の近くにあります。

ここから続く山道が全て貴船神社の参道なんですが、徒歩で向かうと50分~1時間ほどかかります。

二の鳥居

貴船神社の二の鳥居(Ni-no-torii gate of the Kifune-jinja Shrine)

ということで、本宮の入り口に立つこの鳥居は二の鳥居(にのとりい)になります。

この貴船神社は全国に約450ある貴船神社の総本社であるため、石碑には「総本社 貴船神社」の文字がしっかりと刻まれています。

南参道

貴船神社の南参道(South approach of the Kifune-jinja Shrine)

二の鳥居を抜けて境内に入ると、まず見えてくるのがこの南参道(みなみさんどう)の石階段です。

とは言っても雪が多すぎて石階段自体がほぼ埋まってしまっていますが…。(笑)

石階段の両脇は風情ある朱塗りの春日燈籠が続いており、まさに「古の京都の景色」を体現している場所ですね。

そのため、貴船神社のフォトジェニックな写真を撮りたければここ!と言うほど有名な撮影スポットです。

南門

貴船神社の南門(Minami-mon gate of the Kifune-jinja Shrine)

石階段を上っていった先には、南門(みなみもん)がそびえていました。

では、一礼をしつつ境内にお邪魔したいと思います!

手水舎

貴船神社の手水舎(Chozusha of the Kifune-jinja Shrine)

南門をくぐり境内に入るとまず見えてくるのが、この手水舎(ちょうずしゃ)です。

こちらで身を清めつつ、境内を進んでいきたいと思います。

拝殿

貴船神社の拝殿(Hai-den hall of the Kifune-jinja Shrine)

手水舎の先には、本宮のメインとなる建物の拝殿、本殿、権殿が一直線に並んでおり、その一番手前に位置する建物が、この拝殿(はいでん)です。

2005年の平成の大造営を終えたばかりのため、いまだ真新しさを残す建物です。

本殿

貴船神社の本殿(Hon-den hall of the Kifune-jinja Shrine)

拝殿の奥に建つ建物が本殿(ほんでん)、水を司る龍神・高龗神(たかおかみのかみ)を祭神とされています。

権殿

貴船神社の権殿(Gon-den hall of the Kifune-jinja Shrine)

本殿のさらに奥にある建物が権殿(ごんでん)です。

敷地内には入れないので屋根の部分だけ、ぱしゃり。

権殿とは主に本殿を建て替える際に、仮の社(お引越しの際の仮住まい)になる建物のことです。

龍船閣

貴船神社の龍船閣(Ryusenkaku hall of the Kifune-jinja Shrine)

本殿や拝殿の向かいには、龍船閣(りゅうせんかく)の扁額がかかった建物があります。

本宮における休憩所の役割があり、眼下に流れる貴船川を一望できます。

斎館

貴船神社の斎館(Saikan hall of the Kifune-jinja Shrine)

斎館(さいかん)は、私たちのような一般参拝者にはあまり縁がありませんが、神職が神事に赴く前に心身を清めるために過ごす重要な建物です。

授与所

貴船神社の授与所(Conferment hall of the Kifune-jinja Shrine)

拝殿の真向かいには、授与所(じゅよしょ)があります。

御朱印やお札などはこちらで頂きましょう。

絵馬発祥の社

貴船神社の絵馬発祥の社(Monument of votive-horse-tablet's birth)

拝殿から一段下がった手水舎の近くには、絵馬発祥の地を記念する二対の駆ける馬の像が祀られています。

なぜ、この貴船神社が絵馬発祥の地なんでしょうか?

貴船神社の神様は、雨をコントロールする「水神様」。

そのため昔からこの貴船神社では雨を祈る際に「黒馬」、晴れを祈る際に「白馬」を神様の元へ献上したんだとか。

その後、本物の馬を献上するのは大変だと言うことで、馬の形をした「絵馬」を奉納するようになったんだとさ。

ご神木(桂の木)

貴船神社の御神木(Sacred tree of the Kifune-jinja Shrine)

貴船神社の本宮・中宮・奥宮にはそれぞれ御神木の桂の木が自生しており、いずれも樹齢数百年を数えてなおその若々しさを失わない立ち姿です。

氣が満ちた「氣生根(きぶね)」という言葉の意味を思い知るほどの圧倒感です!

石庭

貴船神社の石庭(Sekitei garden of the Kifune-jinja Shrine)

本宮の境内には、昭和時代の名作庭家である重森三玲(しげもりみれい)氏によってデザインされた小さな石庭(せきてい)があります。

神聖な祭場と言われる天津磐境(あまつのいわさか)をイメージされ、使われている石は全てこの貴船近辺で切り出されたものを利用しているんだとか。

しかし私が訪れたのは大雪の日、庭は雪で見事に埋もれていました。(苦笑)

御神水

貴船神社の御神水(Sacred water of the Kifune-jinja Shrine)

授与所の隣の石垣からは、御神水(ごじんすい)と呼ばれる清水がこんこんと湧き出ています。

この貴船神社が「水の神様」であることを示すかのように、今までに一度も枯れたことのない神様の力が宿るお水なんだそうです。

このお水は汲んで持って帰ることが出来ますので、ぜひペットボトルを用意して伺いましょう!

さて、これで本宮の境内の大部分を見て回ることができました。

ではここからは本宮の境内を抜けて中宮/結社に向かってみたいと思います。

北門

貴船神社の北門(Kita-mon gate of the Kifune-jinja Shrine)

本宮から中宮/結社へ行くには、本宮の北側にある北門(きたもん)を抜けて向かいます。

北参道

貴船神社の北参道(North approach of the Kifune-jinja Shrine)

北門を抜けて階段を下ったあたりで、北参道(きたさんどう)を振り返ってみました。

本宮の入り口で見た南参道と比べると、石段がちょっと少なく燈籠の数も少ないですね。

ただ、その分こちら側は観光客も少ないのでゆっくりと写真を撮ることができたりします。

三の鳥居

貴船神社の三の鳥居(Third torii gate of the Kifune-jinja Shrine)

北参道を抜けた先には、三の鳥居(さんのとり)があります。

中宮/結社はこの鳥居から500mほど北に進んだ場所にあります。


【中宮/結社の見どころ】

貴船神社の結社の石碑(Yui-no-yashiro of the Kifune-jinja Shrine)

中宮/結社(なかみや/ゆいのやしろ)は3つの宮の中間に位置し、本宮からは約500m(徒歩10分)ほどで到着します。

ご縁に関する様々なご利益を持つとされる磐長姫命(いわながひめのみこと)が祀られています。

ただし、先にも書いた通りこの貴船神社の正式な参拝順番は「本宮」→「奥宮」→「中宮」となりますので、基本的には後に紹介する「奥宮」を参拝してからこの「中宮」に向かいましょう。

結社

貴船神社の結社(Yui-no-yashiro of the Kifune-jinja Shrine)

中宮の境内の奥に鎮座する建物が、磐長姫命(いわながひめのみこと)を祀る結社(ゆいのやしろ)です。

現在の社殿は2012年に新しく作られたもので、右手にある結び処に願いをしたためた「結び文」を納めることで縁に関する様々な願いが叶うんだとか。

結び文は本宮の授与所で授与してもらえるので、忘れずに頂いておきましょう。

和泉式部の歌碑

貴船神社の和泉式部の歌碑(Monument inscribed with a poem of Izumi Shikibu)

「もの思へば 沢の蛍もわが身より あくがれいづる 魂(たま)かとぞみる」

中宮の境内には、和泉式部が帰ってこない夫を待ち焦がれて詠んだ詩が刻まれています。

天乃磐船

貴船神社の天乃磐船(Ama-no-iwafune stone of the Kifune-jinja Shrine)

この貴船の地は天然石の一大産地としても有名で、様々な巨石が切り出されてきました。

中でもこの石は神様を乗せる御料船(ごりょうぶね)の形に似ていることから、この中宮の神前に祀られることになったんだとか!

これで中宮の境内を見て回ることができましたので、次はさらに北側の奥宮に向かってみましょう!

【奥宮の見どころ】

貴船神社の奥宮(Okumiya of the Kifune-jinja Shrine)

奥宮(おくみや)は3つの宮の一番北側に位置し、本宮からは約800m(徒歩15分)ほどで到着します。

本宮と同じく水を司る龍神である高龗神(たかおかみのかみ)を祀りますが、こちらの奥宮では闇龗神(くらおかみのかみ)とも呼ばれます。

同一視される神様ですが、前者は「山上の龍神」、後者は「谷底暗闇の龍神」として特に崇められています。

相生の杉

貴船神社の相生の杉(Aioi-no-sugi (Aioi cedar) of the Kifune-jinja Shrine)

中宮から奥宮へ向かう参道の途中には、、樹齢1,000年を超えるとされる相生の杉(あいおいのすぎ)が今なお元気にそびえています。

この杉の木は、その樹齢もさることながら二つの杉が根元で一つになっているため「夫婦揃って長寿になる」という縁起があるんだそうです。

「相生(あいおい)」という言葉には、語呂合わせ的に「相老(相手と一緒に老いていく)」という意味もあるんですね。

奥宮鳥居

貴船神社の奥宮鳥居(Oku-no-miya torii gate of the Kifune-jinja Shrine)

相生の杉を左手に見つつ参道を進んでいくと、奥宮への入り口となる奥宮鳥居(おくみやとりい)が見えてきました。

思ひ川

貴船神社の思ひ川(Omoi-gawa river of the Kifune-jinja Shrine)

奥宮鳥居を超えた先には、思ひ川(おもいがわ)と呼ばれる清流が流れています。

和泉式部は、夫の愛を取り戻すためにこの川で禊(みそぎ)を行ったんだとか。

つつみヶ石

貴船神社のつつみヶ石(Tsutsumi-ga-ishi stone of the Kifune-jinja Shrine)

思ひ川を越えた先の参道脇には、巨大な自然石が鎮座しています。

つつみヶ岩と名付けられたこの巨石の高さは約4.5メートル、重さは何と約43トン!

表面がごつごつしているのは、この岩が海底火山の溶岩が固まってできたものだからなんだとか。

太古の昔、この貴船の地は何と海の底だったんですね。

奥宮参道

貴船神社の奥宮参道(Kifune-jinja Shrine)

奥宮と続く参道は、一直線に伸びる杉の木と等間隔に置かれている燈籠が良い風情を醸し出しています。

貴船神社は観光客にも大人気ですが、殆どの人は本宮や中宮までしか訪れません。

そのため、この奥宮参道から先はいつも静寂の世界が広がっています。

神門

貴船神社の奥宮(Okumiya of the Kifune-jinja Shrine)

奥宮参道を突き当りまで歩いて行くと、奥宮への境内の入り口である神門(しんもん)が見えてきました。

では早速、奥宮の境内に入りたいと思います。

拝殿

貴船神社の奥宮の拝殿(Hai-den hall of the Kifune-jinja Shrine)

奥宮の境内に入るとまず見えてくるのが、この拝殿(はいでん)です。

ここまで来ると、雪の量が尋常ではなく腰の高さまで埋まってしまいました。(苦笑)

本殿

貴船神社の奥宮の本殿(Hon-den hall of the Kifune-jinja Shrine)

拝殿の先には、高龗神(たかおかみのかみ)闇龗神(くらおかみのかみ)を祀る奥宮の本殿(ほんでん)があります。

実は元々この貴船神社の本宮は、この奥宮がある場所にありました。

しかし、平安時代の1046年に起きた洪水被害で建物が壊れてしまったため、1055年に現在の本宮がある下流域に移されたんだとか。

権地

貴船神社の奥宮の権地(Gonchi of the Kifune-jinja Shrine)

奥宮の本殿横には、権地(ごんち)と呼ばれるスペースが設けられています。

これは神社の建て替えをする際に一時的に神様を移す場所のことで、建物がある場合は権殿(ごんでん)、無い場合はこのように権地(ごんち)と呼ばれます。

御船形石

貴船神社の奥宮の御舟形石(Ofunagata-ishi stone of the Kifune-jinja Shrine)

本殿の左横には、船の形をした石組みが置かれています。

この神社が作られる際に玉依姫命(たまよりびめ)が乗って来たとされ、貴船という地名の語源ともなった「黄色い船=きふね」がこの石組みの中で眠っているんだそうです。

吸葛社

貴船神社の奥宮の吸葛社(Suikazura-sha shrine of the Kifune-jinja Shrine)

ではここからは、奥宮社の境内にある摂末社を見て行きましょう。

奥宮境内の左手にひっそりと佇む摂社は、農業と雷の神様・味耜高彦根命(あぢすきたかひこね)を祀る吸葛社(すいかずらしゃ)です。

鈴市社

貴船神社の奥宮の錫市社(Suzuichi-sha Shrine of the Kifune-jinja Shrine)

拝殿の傍に立つ摂社は、初代天皇であった神武天皇の后・媛蹈鞴五十鈴媛命(ひめたたらいすずひめ)を祀る鈴市社(すずいちしゃ)です。

「たたら」という名が示す通り、一部の地域では「製鉄や鉄鋼業の神様」としての側面も持たれているんだとか。

日吉社

貴船神社の奥宮の日吉社(Hiyoshi-sha Shrine of the Kifune-jinja Shrine)

奥宮境内の入り口近辺に佇む小さな摂社は、日吉社(ひよししゃ)です。

山の神様である大物主神(おおものぬしのかみ)の御霊を祀ります。

連理の杉

貴船神社の奥宮の連理の杉(Renri-no-sugi)

日吉社の近くには二股に分かれた、連理の杉(れんりのすぎ)と呼ばれる杉の木があります。

実はこの木、左側は杉の木なんですが右側は楓の木であり、二つの異なる種類の木が一つになっている珍しい木なんです。

このように「連理」とは別々の種類の木が重なって一つの木になっている事を指し、それが転じて夫婦円満のご利益があります。


さて、以上で貴船神社の主な見どころを全て見て回ることが出来ました!

見てきた通りこの貴船神社には3つの宮があるんですが、大部分の方は「本宮」や「中宮」で満足して帰られることが多いです。

が、この貴船神社の御利益を最大限引き出すためには「本宮」→「奥宮」→「中宮」の順に全てを巡るとされているため、ぜひ時間に余裕を持って全ての宮を参拝されることをお勧めします。

皆さんも是非行ってみてくださいね!


貴船神社の動画

貴船神社の写真

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貴船神社の御朱印

貴船神社の御朱印(Goshuin of the Kifune-jinja Shrine)


貴船神社 奥宮の御朱印(Goshuin of the Kifune-jinja Shrine Okumiya)

御朱印は、本宮の授与所にて頂くことが出来ます。(各300円)

貴船神社への行き方/アクセス方法

最寄り駅は叡山電鉄鞍馬線 貴船口(きぶねぐち)駅です。

京都市営地下鉄烏丸線 国際会館(こくさいかいかん)駅からバスで行くことも出来ますが、電車を利用することをお勧めします。

また、最寄り駅から現地までは約2.4km(徒歩約50分)あるため、駅前にある「貴船口駅前バス停」から京都バスに乗り換えて向かうことをお勧めします。


大阪駅から貴船口駅へのルート例(電車)

乗換え案内サイト(電車)

①JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、JR奈良線に乗り換え。

②JR奈良線で「京都駅」から「東福寺駅」へ行き、京阪電車に乗り換え。

③京阪電車で「東福寺駅」から「出町柳駅」へ行き、叡山電鉄鞍馬線に乗り換え。

④叡山電鉄鞍馬線で「出町柳駅」から「貴船口駅」へ。


なんば駅から貴船口駅へのルート例(電車)

乗換え案内サイト(電車)

①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「淀屋橋駅」へ行き、京阪電車に乗り換え。

②京阪電車で「淀屋橋駅」から「出町柳駅」へ行き、叡山電鉄鞍馬線に乗り換え。

③叡山電鉄鞍馬線で「出町柳駅」から「貴船口駅」へ。


京都駅から貴船口駅へのルート例(電車)

乗換え案内サイト(電車)

①JR奈良線で「京都駅」から「東福寺駅」へ行き、京阪電車に乗り換え。

②京阪電車で「東福寺駅」から「出町柳駅」へ行き、叡山電鉄鞍馬線に乗り換え。

③叡山電鉄鞍馬線で「出町柳駅」から「貴船口駅」へ。


貴船口駅からの徒歩ルート例

徒歩約50分(約2.4km)です。


貴船口駅からバスで行く場合

乗換え案内(バス)

「貴船口駅前」から京都バス「33系統/貴船行き」に乗車、「貴船」で下車。

バス会社:京都バス
行先・系統:33系統[貴船行き]
乗車バス停:貴船口駅前
降車バス停:貴船
運賃:170円
所要時間:約5分


国際会館駅からバスで行く場合

乗換え案内(バス)

「国際会館駅前バス停 乗り場3」から京都バス「52系統/鞍馬温泉行き」に乗車、「貴船口」で下車。

バス会社:京都バス
行先・系統:52系統[鞍馬温泉行き]
乗車バス停:国際会館駅前[乗り場3]
降車バス停:貴船口
運賃:280円
所要時間:約20分


タクシーで行く場合

京都駅から:約7,000円(約40分)

祇園四条駅から:約6,000円 (約30分)

貴船口駅から:約1,000円(約5分)

・タクシー運転手に行き先を告げたい場合

kifunejinja-64

・タクシーを呼びたい場合

taxi-call

・タクシー配車連絡先(京都駅周辺)

タクシー配車連絡先(貴船口駅周辺)

貴船神社周辺のホテル検索/予約

日時を選択してクリックすれば、周辺ホテルの「最安値プラン」を自動的に検索します。


いかがでしたか?

それでは楽しい旅を!