霊雲院(れいうんいん)は、京都市東山区にある臨済宗東福寺派のお寺です。
ここは京都有数の禅寺であり、京都五山の第四位に列する東福寺(とうふくじ)の塔頭の一つ。
そんな霊雲院の見どころは、「九山八海(くせんはっかい)の庭と臥雲(がうん)の庭」。
東福寺(とうふくじ)や龍吟庵(りょうぎんあん)、光明院(こうみょういん)の庭園も手掛けた昭和の名作庭家/重森三玲(しげもりみれい)氏により修復された日本庭園は、いずれもモダンアートとして認識されるほどの意匠を凝らした庭園です。
「重森三玲氏が遺した、昭和期を代表する日本庭園を見たければ霊雲院へ!」
今回はそんな霊雲院を訪れてみました。
霊雲院の歴史
では、まずはじめに霊雲院の歴史と覚えておきたいポイントを一緒に見て行きましょう!
この霊雲院(れいうんいん)は、室町時代の1390年に東福寺第八十世/岐陽方秀(きようほうしゅう)によって創建されました。
彼は「不二道人(ふにどうにん)」という僧名を持っていたため、創建当初は不仁庵(ふにんあん)と呼ばれていました。
その後、室町時代の1473年に「尊くただよう不思議な雲」という意味を持つ霊雲院(れいうんいん)に改められました。
また明治維新(めいじいしん)の際には、かの西郷隆盛(さいごうたかもり)がここで秘密の会議を行い、日露戦争(にちろせんそう)の際にはロシア人捕虜収容所としても使われたお寺でもあります。
小さいながらも、このお寺は日本の歴史上とても重要な役割を果たしたお寺なんですね。
そんな霊雲院を訪れる際に知っておきたいキーワードは「遺愛石(いあいせき)」!
この石は、境内にある「九山八海の庭(くせんはっかいのにわ)」に置かれている寺宝です。
はい、この霊雲院が大事にしている寺宝は「石」なんですね。
ではなぜ、「石」がこのお寺の宝なのでしょうか?
そこには、この霊雲院の歴史にまつわるちょっと深イィ話があるんです。
霊雲院の第七世/湘雪守元(しょうせつしゅげん)は肥後国(ひごのくに)、今の熊本県の出身でした。
彼は肥後の名家/肥後細川家(ひごほそかわけ)と親交があり、彼がこのお寺の住職として出世する際に細川家は彼にご褒美をあげようとしました。
細川家「うちの地元から京都の偉い坊さんに出世する人がいるとよ!」
細川家「こりゃめでたいばい!お祝いの品を送っちゃろう!」
しかし、そのとき仏に仕える湘雪守元はこんなイケメンな発言をしたと言われています。
守元「私は仏に仕える身やけん、お金とか領地とかは必要なかよ!(キリッ!)」
守元「そげなもんは修行の邪魔になるだけったい!(キリリッ!)」
そして、続けてこう言ったのでした。
守元「ばってん、あんたらの気持ちはちかっぱ嬉しいとよ!(キリリリッ!)」
守元「やけん、もし貰えるんなら庭に置ける簡素な石だけでよかばい。それをお寺の宝にするけんね!(キリリリリッ)」
素晴らしい発言!現在の腐った心を持つ人達(私も含め)聞かせたい!
その結果贈られたのが、冒頭に出てきた「遺愛石(いあいせき)」。
この石は彼の言葉通りこのお寺の宝として大切に受け継がれ、現在は庭園の中央に置かれています。
教訓「お金では買えない価値を持つものが、世の中にはあるんです」!
お金や名誉、地位などに固執した自分の心が嫌になったら、一度このお寺の庭園を見て心を清めましょう。
おしまい。
東福寺の歴史も一緒に知っておこう!
塔頭であるこの霊雲院だけではなく、大本山である「東福寺(とうふくじ)」にも興味がある人はぜひ上記の記事も見てくださいね!
霊雲院について
霊雲院は不定休ですので、訪れる際は開いているか連絡してから行きましょう。
下記は、私が2017年3月に訪れた際の情報です。
お寺の詳細
住所:〒605-0981 京都府京都市東山区本町15-801
連絡先:075-561-4080
創建:1390年
開基:岐陽方秀(きようほうしゅう)
宗派:臨済宗東福寺派
ご本尊:文殊菩薩(もんじゅぼさつ)
拝観時間
10:00~14:00(日によって変わる場合があります。)
拝観料
15歳以上 | 500円 |
13歳~15歳 | 300円 |
12歳以下 | 入場不可 |
その他注意点
・写真/動画撮影可能な場所や、一脚/三脚の利用可否は必ず係員に確認しましょう。
・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてくださいね。
では次に、霊雲院の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!
霊雲院の見どころ
*のついている見どころは有料エリアです。
表門
東福寺の境内から北西、細い路地を抜けたところに霊雲院(れいうんいん)はあります。
では、さっそく表門(おもてもん)を抜けて境内にお邪魔したいと思います。
表門を抜けて境内を進むと、六地蔵(ろくじぞう)さんがお出迎えしてくれました。
書院*
境内を進むと書院(しょいん)が見えてきました。
拝観の受付や御朱印の依頼は、この書院で行います。
受付を済まして、書院の中へお邪魔します。
この書院の一室では、明治維新(めいじいしん)の際に西郷隆盛(さいごうたかもり)が秘密の会議を行い日本の行く末を思案したんだとか。
また日露戦争(にちろせんそう)の際にはロシア人捕虜の収容所としても使われたそうで、その際の遺物などが書院に展示されていました。
書院を奥に進むと、畳張りの大きな広間が広がっています。
九山八海の庭*
この大きな広間は全面ガラス張りになっており、霊雲院が誇る庭園が一望できます。
南側に位置する庭園は、仏教の世界観を表現した九山八海(くせんはっかい)の庭。
江戸時代の作庭でしたが一度荒廃、その後昭和時代の1970年に重森三玲(しげもりみれい)により復元されました。
広間から縁側を出て、お庭を一望してみました。
「九山八海(くせんはっかい)」とは仏教の世界観の一つ、帝釈天(たいしゃくてん)が住む須弥山(しゅみせん)を取り囲む九つの山と八つの海を指しています。
遺愛石*
九山八海の庭(くせんはっかいのにわ)の中央に鎮座しているのが、お寺の寺宝である遺愛石(いあいせき)です。
「須弥山(しゅみせん)」をかたどった遺愛石を、一面を覆う白砂と苔の築山で見立てた「九山八海」が取り囲んでいる構図ですね!
臥雲の庭*
書院の西側に広がる庭園は、たなびく雲を表現した臥雲(がうん)の庭。
「臥雲(がうん)」には「空を悠々と漂う雲」という意味があり、僧侶が隠居してこの世から隠れ住むことを指したりもするんだとか。
白砂と赤砂で、悠々と漂う雲を見事に表現されていますね!
こちらの庭園も、重森三玲(しげもりみれい)氏により昭和時代の1971年に作庭された庭園です。
観月亭 (茶室)*
書院の北側には茶室の観月亭(かんげつてい)が佇んでいました。
こちらの建物は、1587年に豊臣秀吉によって開かれた北野大茶会(きたのだいさのえ)で使われた茶室を移築して復元されたものなんだとか。
観月亭前庭*
観月亭には、苔と白砂を配した小さいながらも素敵な枯山水庭園が設えてありました。
これで、霊雲院の主な見どころは全て見て回りました!
昭和の大作庭家である重森三玲氏が手掛けた庭園は、とてもデザインセンスに富んだモダンで素敵な庭園で一見の価値があると思います!
是非行ってみてくださいね。
霊雲院で撮影した写真
霊雲院の動画
霊雲院の御朱印
霊雲院の御朱印の墨書きは、ご本尊である「文殊菩薩(もんじゅぼさつ)」です。
御朱印は書院入口の受付で頂く事が出来ます。(300円)
霊雲院への行き方/アクセス方法
最寄り駅はJR/京阪東福寺駅です。
東福寺駅からは徒歩約15分(700m)です。
京都駅、京都河原町駅、 祇園四条駅からバスで行くことも出来ますが、電車で行くことをおすすめします。
大阪駅から東福寺駅へのルート例(電車)
①JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、JR奈良線に乗り換え。
②JR奈良線で「京都駅」から「東福寺駅」へ。
なんば駅から東福寺駅へのルート例(電車)
①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「梅田駅」へ行き、JR京都線に乗り換え。
2JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、JR奈良線に乗り換え。
3JR奈良線で「京都駅」から「東福寺駅」へ。
京都駅から東福寺駅へのルート例(電車)
①近鉄奈良線で「京都駅」から「東福寺駅」へ。
東福寺駅からの徒歩ルート例
徒歩約15分(700 m)です。
京都駅からバスに乗る場合
「京都駅前[乗り場D2]」バス停から京都市バス「208系統」に乗車、「東福寺」バス停で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:208系統[泉涌寺・東福寺行き]
乗車バス停:京都駅前[乗り場D2]
降車バス停:東福寺
運賃:230円
所要時間:約16分
「京都駅前[乗り場C4]」バス停から京都市バス「南5系統」に乗車、「東福寺道」バス停で下車。
*このバスは本数が少ないです。
バス会社:京都市バス
行先・系統:南5系統[稲荷大社・竹田駅東口行き]
乗車バス停:京都駅前[乗り場C4]
降車バス停:東福寺道
運賃:230円
所要時間:約11分
京都河原町駅からバスに乗る場合
「四条河原町[乗り場E東行き]」バス停から京都市バス「207系統」に乗車、「東福寺」バス停で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:207系統[清水寺・東福寺行き]
乗車バス停:四条河原町[乗り場E東行き]
降車バス停:東福寺
運賃:230円
所要時間:約20分
祇園四条駅からバスに乗る場合
「四条京阪前[乗り場2東行き]」バス停から京都市バス「207系統」に乗車、「東福寺」バス停で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:207系統[清水寺・東福寺行き]
乗車バス停:四条京阪前[乗り場2東行き]
降車バス停:東福寺
運賃:230円
所要時間:約18分
タクシーで行く場合
京都駅から:約1,500円(10分)
祇園四条駅から:約1,700円(約10分)
・タクシー運転手に行き先を告げたい場合
・タクシーを呼びたい場合
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いかがでしたか?
それでは楽しい旅を!