城南宮(じょうなんぐう)は、京都市伏見区にある神社です。
「四神相応の地」である京都の中心にあるのは言わずと知れた平安神宮(へいあんじんぐう)であり、その四方を守護する神社と合わせて京都五社(きょうとごしゃ)と呼ばれます。
この城南宮はそんな京都五社の一角であり、京都の南方を守護する由緒正しき神社です。
そんな城南宮の見どころは、何といっても「神苑に咲き乱れる枝垂れ梅の花!」
「源氏物語花の庭」としても親しまれる神苑では、初春になると枝垂れ梅の花が咲き誇ります!
また、境内には趣の異なる五つの日本庭園があり訪れた人の目を楽しませてくれます。
「枝垂れ梅が咲き誇る光景を見たければ、春の城南宮へ!」
今回はそんな城南宮を訪れてみました。
城南宮の歴史
では、まずはじめに城南宮の歴史と覚えておきたいポイントを一緒に見て行きましょう!
この城南宮は794年の平安京遷都に合わせ、その南方を守護する城南大神(じょうなんおおかみ)を崇めるために造営された小さなお宮がその起こりとされています。
城南大神とは国常立尊(くにのとこたちのみこと)を中心に、八千矛神(やちほこのかみ)と息長帯日売尊(おきながたらしひめのみこと)を合祀した神様のことです。
まず覚えておきたいのは、ここが四神相応(しじんそうおう)の地である京都の「南方を守護する神社」だと言うこと。
しじんそうおうって何?
はい、早い話がこの京都は昔から「四神に守られた特別な場所」なんだ!ということです。
「東の青龍(せいりゅう)」!「南の朱雀(すざく)」!「西の白虎(びゃっこ)」!「北の玄武(げんぶ)」!
ゲームやファンタジーが好きな人なら、一度はこの四神/四獣を耳にしたことがあると思います。
この方角の神様たちに守られたど真ん中の地こそが、この京都。(諸説あり。)
「やっぱり神様に守られた京都にこそ、日本の都が必要どすな!」
そんな理由もあって、日本の首都は794年にこの京都の地である平安京(へいあんきょう)に移されました。
んでもって、その京都のど真ん中に出来たのが行政の中心地である平安宮(へいあんぐう)、今の平安神宮(えへいあんじんぐう)ですね。
「そんな平安神宮の四方を守護してくれている、四神を祀る神社も必要どすな!」
ということで、平安神宮を中心に東西南北を守護する神社もあわせて選抜。
それが「東の八坂神社」、「西の松尾大社」、「北の上賀茂神社」、そしてこの「南の城南宮」です。
そんな城南宮は、四神において「朱雀(すざく)」の位置づけに当たる神社なんですね。
閑話休題。
この城南宮が大きくなったのは平安時代後期の事で、白河天皇(しらかわてんのう)がこの神社の周辺に鳥羽離宮(とばりきゅう)を建てたことに由来します。
この離宮は、元々は小さなお宮だったこの城南宮を取り囲むように建設。
白川天皇「政治するのは疲れますな。どっかえぇ場所に別荘建ててゆっくりしとうおます。」
付き人「天皇様!京都の南にちょー良い場所がありますよ!でも城南宮があるんですよねー。」
白川天皇「お宮が家の中にあったら何かと縁起がええんとちゃいます?取り囲むように作りまひょ!」
その結果、元々あったお宮は離宮に併合される形となり一気にその勢力と信仰を増したと言われます。
その後は応仁の乱で荒廃するも、江戸時代にはいり復興。
明治時代の鳥羽・伏見の戦いでは主戦場となるもその被害は最小限に留まり、現在に至ります。
おしまい。
城南宮について
神社の詳細
住所:〒612-8459 京都市伏見区中島鳥羽離宮町7番地
連絡先:075-623-0846
創建:平安京遷都の頃
創始者:不明
主祀神:城南大神(じょうなんおおかみ)
拝観時間(神苑)
9:00~16:30
拝観料(神苑)
高校生以上 | 600円 |
小中学生 | 400円 |
その他注意点
・上記情報は2017年3月に訪れた際のものであり、変更されている可能性があります。
・写真/動画撮影可能な場所や、一脚/三脚の利用可否は必ず係員に確認しましょう。
・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてくださいね。
神社のWebサイト
では次に、城南宮の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!
城南宮のしだれ梅と椿まつり
城南宮の一番の見どころは、何といっても早春の梅と椿。梅や椿の開花に合わせて、この「しだれ梅と椿まつり」が開催されます!
2020年(令和2年)の開催情報は以下の通りです。
開催時期
2月18日~3月22日
開催時間
9:00~16:30
拝観料(神苑)
高校生以上 | 600円 |
小中学生 | 400円 |
しだれ梅と椿まつりのWebサイト
しだれ梅と椿まつりの写真
城南宮の見どころ
- 東鳥居
- 西鳥居
- 城南鳥居
- 菊水若水(手水舎)
- 拝殿
- 本殿/祈祷殿
- 末社(西側)
- 末社(東側)
- 神楽殿
- むすび殿
- 神輿舎
- 神苑*
- 御神木*
- 平安の庭*
- 室町の庭*
- 桃山の庭*
- 楽水軒*
- 水石亭*
- 城南離宮の庭*:
- 絵馬舎
- 三照宮
- 唐渡天満宮
- 真幡寸神社
*のついている見どころは有料エリアです。
東鳥居
最寄り駅から参道である城南宮道を歩いて向かうと、東鳥居(ひがしとりい)が見えてきました。
江戸時代後期の1851年に寄進されたものです。
東鳥居に掲げられている扁額の文字は、有栖川流書道の祖、有栖川宮幟仁親王(ありすがわのみやたかひとしんのう)の筆です。
西鳥居
城南宮バス停から歩いて向かう場合は、この西鳥居(にしとりい)が入り口になります。
掲げられている扁額の文字は、昭和天皇(しょうわてんのう)の曽祖父にあたる、九条尚忠(くじょうひさただ)の筆です。
城南鳥居
東鳥居や西鳥居から境内を進むと、城南鳥居(じょうなんとりい)が見えてきました。
この鳥居、よくよく見てみると瓦葺きなんです!とても珍しいですね。
鳥居の中央にある紋は、この城南宮のご神紋である太陽と月と星を組み合わせた「三光の紋」です。
菊水若水(手水舎)
まずは城南鳥居の脇にある手水舎(ちょうずしゃ)で心身を清めます。
この手水舎のお水は菊水若水(きくすいわかみず)と呼ばれています。
江戸時代に霊元天皇(れいげんてんのう)が飲んだところ病気の痛みが治まったことから、万病に効く霊泉として崇められているんだとか。
拝殿
城南鳥居を抜けて境内に入ると、まず拝殿(はいでん)が見えてきました。
今でも祭礼の際には、ここで神楽や舞が奉納されるそうです。
本殿/祈祷殿
拝殿を抜けて奥に進むと祈祷殿(きとうでん)があり、この奥に本殿が納められています。
訪れた際は丁度工事中でしたので鉄パイプが幾重にも張り巡っていました。
建物全体は平安時代の建築様式を再現したもので、1978年(昭和53年)に造営された比較的新しい建物です。
末社(西側)
本殿の周りには小さな末社(まっしゃ)が奉じられています。
こちらは本殿西側、手前から以下の並びで鎮座しています。
・薬の神様を祀る粟島社(あわしましゃ)
・海の神様を祀る厳島社(いつくしましゃ)
・商売の神様を祀る稲荷社(いなりしゃ)
末社(東側)
こちらは本殿東側の末社(まっしゃ)、手前から以下の並びで鎮座しています。
・慈悲の神様を祀る春日社(かすがしゃ)
・経営の神様を祀る大国主社(おおくにぬししゃ)
・道案内の神様を祀る庚申社(こうしんしゃ)
・学問の神様を祀る天満宮社(てんまんぐうしゃ)
神楽殿
本殿の東側には神楽殿(かぐらでん)があります。
天井が無い化粧屋根裏(けしょうやねうら)という伝統工法により、1996年(平成8年)に完成した建物です。
表の舞台では巫女神楽が奉納される日があり、その際は無料で拝見することができますよ!
むすび殿
こちらは、本殿の西側にあるむすび殿。
祈祷受付所や授与所としての役割を持ちます。
本殿を含め城南宮の建物は、とても新しいものが多いことが印象的ですね。
神輿舎
神楽殿の脇に建つ神輿舎(しんよしゃ)には、神事の際に使われる御神輿が保管されています。
では、ここからは有料拝観場所である「神苑(しんえん)」に向かいたいと思います!
神苑
神苑(しんえん)は、城南宮の本殿をぐるっと囲うように作庭された非常に大きな回遊式の庭園で、入場は有料になります。
では早速中に入ってみたいと思います!
私が伺ったのは3月初旬。
ちょうど神苑のしだれ桜や椿が綺麗に咲いているタイミングでした。
城南宮の神苑には他ではあまり見られない珍しいしだれ梅が約150本もあり、紅白に染まった苑内が春の訪れを告げていました!
神苑の通路をまっすぐに進むと、春の山と呼ばれるエリアがあります。
こちらでは大きな燈籠や小川を背景にしだれ梅が撮影できるとあって、沢山の方々が一目散にこの場所に向かっておられました。(笑)
本当に素晴らしい光景ですね。
梅の名所は数多くあれど、これだけの数のしだれ梅が咲く光景を見ることができるのはここだけかも知れません。
春の山を抜けてちょうど本殿の裏手に差し掛かる場所では、たくさんの椿の花が咲いていました。
梅が見ごろの時期は椿のシーズンでもあるので、一度で二度楽しめますね!
この城南宮の神苑には、源氏物語(げんじものがたり)に登場する百種類の植物を全て見ることができることから「源氏物語花の庭」とも呼ばれているんだとか。
御神木*
椿の園を通り本殿の裏をぐるりと東側まで抜けると、御神木(ごしんぼく)の姿がありました。
元々は杉の大木だったようで、現在はその根元が残るのみとなっていますが、腐食を食い止めるよう小さな祠でしっかりと守られていました。
平安の庭*
御神木を通り神苑を南に進むと、平安の庭(へいあんのにわ)が見えてきました。
平安時代の広い平安京を思わせる非常に大きなお庭が中央に配された、落ち着いた雰囲気の池泉式の庭園です。
こちらのお庭を含め、城南宮の庭園は全て昭和の小堀遠州とも称された名作庭家・中根金作(なかねきんさく)氏によるものです。
室町の庭*
平安の庭を抜けると次に見えてくるのが、この室町の庭(むろまちのにわ)です。
先ほどの平安の庭よりも少し小さいですが、その分池には雅な鯉が放たれつつも岩山が物悲しさを感じさせる構成になっているなーと感じました。
さすが豪華絢爛と質素倹約の両面を持つ室町時代の名前を冠した庭園といったところでしょうか。
桃山の庭*
室町の庭を抜けると次に見えてくるのが、この桃山の庭(ももやまのにわ)です。
先ほどの2つの庭園とは打って変わって芝生と石で構成された枯山水風の庭園ですね。
桃山時代と言えば、言わずと知れた豊臣秀吉(とよとみひでよし)が天下統一を果たした時代。
そんな日本で初めての天下泰平の時代を象徴するかのような、広大ですっきりとした光景が広がっていました。
楽水軒*
室町の庭と桃山の庭の間には茶室の楽水軒(らくすいけん)があり、お抹茶の接待を受けることができます。(300円)
足利家による激動の室町時代から、安土桃山時代の秀吉の天下統一。
そんな時代の流れを庭園の風景に見立てつつ、お抹茶で一服するのもまた一興です。
水石亭
桃山の庭を抜けた奥にある建物が、水石亭(すいせきてい)です。
この建物はギャラリーになっていて、季節ごとに異なるアート作品が展示されているんだそうです。
城南離宮の庭*
室町の庭、桃山の庭を抜けた先に見えてくるのが城南離宮の庭(じょうなんりきゅうのにわ)です。
白河天皇(しらかわてんのう)がこの神社の周辺に建立し、神社拡大のきっかけとなった鳥羽離宮(とばりきゅう)。
この庭園はそんな平安時代後期の情景を表現している枯山水庭園です。
これで城南宮にある、趣の異なる五つの庭園を見て回りました!
それでは境内に戻って散策を続けたいと思います。
絵馬舎
城南宮の参道、手水舎の手前にある建物が絵馬舎(えましゃ)です。
名前の通り、神社に奉納された大きな絵馬を飾るための建物ですね。
三照宮
手水舎の向かいにある一段上がった場所にある祠が、摂社の一つである三照宮(さんしょうぐう)です。
こちらには、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が祀られています。
唐渡天満宮
絵馬舎の右隣にある建物が、摂社の一つである唐渡天満宮(からわたりてんまんぐう)です。
この地にはかつて菅原氏(すがわらし)の荘園だったた「芹川荘」があったことから、芹川天満宮(せりかわてんまんぐう)とも呼ばれています。
こちらの神社には、学問の神様である菅原道真(すがわらのみちざね)が祀られています。
真幡寸神社
唐渡天満宮の右隣にある建物が、摂社の一つである真幡寸神社(まはたきじんじゃ)です。
ご神紋が徳川家と同じ「三葉葵」である、真幡寸大神(まはたきのおおかみ)が祀られています。
これで、城南宮の主な見どころを全て見ることが出来ました!
訪問の感想としては、有名なしだれ梅や椿の時期はもちろん、その趣が異なる五つの庭園が楽しめるなど初春以外の時期に行っても十分に楽しめる神社さまだな!というものでした。
皆さんも是非行ってみてくださいね!
城南宮の動画
城南宮の写真
城南宮の御朱印
城南宮では、梅祭りの限定御朱印を頂きました。
御朱印は「むすび殿」で頂けます。(300円)
城南宮への行き方/アクセス方法
城南宮の最寄り駅は、京都市営地下鉄/近鉄 竹田駅です。
竹田駅、京都駅からバスで行くことも出来ます。
大阪駅から竹田駅へのルート例(電車)
①JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、京都市営地下鉄烏丸線に乗り換え。
②京都市営地下鉄烏丸線で「京都駅」から「竹田駅」へ。
なんば駅から竹田駅へのルート例(電車)
①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「梅田駅」へ行き、JR京都線に乗り換え。
②JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、京都市営地下鉄烏丸線に乗り換え。
③京都市営地下鉄烏丸線で「京都駅」から「竹田駅」へ。
京都駅から竹田駅へのルート例(電車)
①京都市営地下鉄烏丸線で「京都駅」から「竹田駅」へ。
竹田駅からの徒歩ルート例
徒歩約35分(2km)です。
竹田駅からバスに乗る場合
「竹田駅西口バス乗り場」から京都市バス「南1/南2/南3系統」に乗車、「城南宮東口」で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:南1系統[桂駅東口行き]
乗車バス停:竹田駅西口
降車バス停:城南宮東口
運賃:230円
所要時間:約5分
バス会社:京都市バス
行先・系統:南2系統[JR長岡京東口行き]
乗車バス停:竹田駅西口
降車バス停:城南宮東口
運賃:230円
所要時間:約5分
バス会社:京都市バス
行先・系統:南3系統[中書島・横大路車庫行き]
乗車バス停:竹田駅西口
降車バス停:城南宮東口
運賃:230円
所要時間:約5分
京都駅(八条口)からバスに乗る場合
「京都駅八条口乗り場F2」から京都市バス「19系統」に乗車、「城南宮」で下車。
バス会社:京都市バス
行先・系統:19系統[中書島・横大路車庫行き]
乗車バス停:京都駅八条口[乗り場F2]
降車バス停:城南宮
運賃:230円
所要時間:約15分
「京都駅八条口乗り場E1」かららくなんエクスプレス「南行き」に乗車、「城南宮前」もしくは「油小路城南宮」で下車。
「油小路城南宮バス停」には停車しないバスもあるため、必ず乗車前に確認をしてください。
バス会社:らくなんエクスプレス
行先・系統:[南行き]
乗車バス停:京都駅八条口[乗り場E1]
降車バス停:城南宮前(休日)、油小路城南宮(平日)
運賃:300円
所要時間:約15分
タクシーで行く場合
京都駅から:約2,000円(約10分)
京阪 祇園四条駅から:約3,000円(約20分)
・タクシー運転手に行き先を告げたい場合
・タクシーを呼びたい場合
タクシー配車連絡先(京都駅周辺)
城南宮周辺のホテル検索/予約
日時を選択してクリックすれば、周辺ホテルの「最安値プラン」を自動的に検索します。
いかがでしたか?
それでは楽しい旅を!