観智院(かんちいん)は、京都市南区にある東寺真言宗のお寺です。

ここは、古都京都の文化財として世界遺産に指定されている「東寺(とうじ)」の塔頭寺院の一つ。

真言宗の教えである真言密教(しんごんみっきょう)の経典が多数所蔵されているため、真言宗の観学院(かんがくいん)とも言われています。

今風に言うと「真言宗の学僧が泊まり込みで学んだ学生寮」と言った位置づけであり、この寺院から数多くの有能な僧侶が輩出されたと言います。

という名前は伊達じゃありませんね!

また、剣豪・宮本武蔵(みやもとむさし)一乗寺下り松の決闘の後に身を隠したお寺でもあります。

そんな観智院の見どころは、「国宝に指定されている客殿(きゃくでん)」!

近世の書院造りの基礎ともいわれる客殿には、京都で唯一宮本武蔵が遺した襖絵を拝むことができます。

「稀代の剣豪が遺した水墨画を見たければ、観智院へ!」

今回はそんな観智院を訪れてみました。


観智院の歴史

では、まずはじめに観智院の歴史と覚えておきたいポイントを一緒に見て行きましょう!


この観智院(かんちいん)は、室町時代の1359年に、真言宗の学僧であった杲宝(ごうほう)によって創建されました。

彼はこの観智院で、真言宗や東寺に関わる数多くの文書を書いたことで有名です。

なかでも東寺の歴史を記した「東宝記(とうぼうき)」という記録書は、現在国宝に指定されているほど。

このように、観智院はその創建当初から「真言宗の勧学院」として発展しました。


しかし安土桃山時代の1596年に慶長伏見地震(けいちょうふしみじしん)がこの地を襲い、観智院は全壊してしまいます。

その後、真言宗の重要な寺院であるこの観智院を壊れたままにしておくには忍びないということで、江戸時代の1605年に客殿が再建、お寺は徐々に復興することになりました。

そのため、この寺院の建物は全て江戸時代以降の再建物なんですね。


(観智院のパンフレットより引用)

またこの観智院は、宮本武蔵(みやもとむさし)が江戸時代初期に演じた一乗寺下り松の決闘の後に身を寄せた場所でもあります。

宮本武蔵は稀代の剣豪として有名ですが、実は素晴らしい文化人でもあったことをご存知ですか?

彼は、兵庫県にある本松寺(ほんしょうじ)や円珠院(えんじゅいん)といったお寺の庭園を手掛け、また、彼の書いた「鷲の図」「竹林の図」と呼ばれる見事な襖絵は今もこの観智院の客殿で見ることができます。


(観智院のパンフレットより引用)

閑話休題。

このお寺のご本尊は「五大虚空蔵菩薩(ごだいこくうぞうぼさつ)」であり、「十三参り(じゅうさんまいり)」という風習とセットで覚えておきたい菩薩様です。

それは何故か?

では、まずあまり耳慣れない十三参りについてちょっと見て行きましょう。

これは「子供の13歳を祝って幸せを願う風習」のこと。

子供の年で幸せを願う風習としては「七五三(しちごさん)」が全国的に有名ですが、この十三参りは七五三の「13歳バージョン」のようなもの。

「13歳で虚空蔵菩薩さまにお参りすることで、子供が賢く育つんや!」

こんなご利益を求め、特に京都や関西地方の一部では七五三よりも重要視されるほどの行事なんです。


(観智院のパンフレットより引用)

ではなぜ、13歳で虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)にお参りに行くのか?

それはこの虚空蔵菩薩が、菩薩の中で13番目に誕生した知恵と福徳を司る菩薩だから!

はい、この「13番目」と「知恵」というのがポイントですね。

十三参りという風習は、この「13番目に生まれた知恵の菩薩様にあやかって、13歳の子供が知恵を授かりに行く」という語呂合わせ的な意味合いを持つんです。

ということで、観智院はこの十三参りのお寺の一つとしても信仰を集めているんです。

ちなみにこの十三参りでは、参拝からお寺を出るまで「絶対に後ろを振り返ってはダメ!」なんです。

それは、後ろを振り返ってしまうと折角もらった虚空蔵菩薩の知恵を返さないといけないから。

教訓「十三参りでは、振り返っちゃダメ!ゼッタイ!」

おしまい。

観智院について

観智院の詳細

住所:〒601-8473 京都府京都市南区九条町403
連絡先:075-691-1131
創建:1359年
開基:杲宝(ごうほう)
宗派:東寺真言宗
ご本尊:五大虚空蔵菩薩(ごだいこくうぞうぼさつ)

拝観時間

9:00~17:00(16:30受付終了)

拝観料

大人 500円
中学生以下 300円

観智院のWebサイト

その他注意点

・写真/動画撮影可能な場所や、一脚/三脚の利用可否は必ず係員に確認しましょう。

・神社やお寺の正式な参拝方法は以下の記事を参考にしてくださいね。


では次に、観智院の見どころを訪問時の写真を参考に振り返ってみたいと思います!


観智院の見どころ

*のついている見どころは有料エリアです。

西門

観智院は古都京都の文化財の一つで国宝に指定されている「東寺(とうじ)」の境内北側に位置します。

東寺の宝物館から北に向かうと、観智院の入り口であるこの西門(にしもん)が見えてきます。

南門

お寺の南側には勅使門(ちょくしもん)である南門(みなみもん)がありますが、こちらは現在開かずの門となっていました。

静観堂

入口の西門をくぐり庫裏の脇に備えられている小さな祠、静観堂(せいかんどう)にお参りを済ませます。

ここは真言宗の宗祖である弘法大師・空海(くうかい)の尊像が祀られています。

庫裏

静観堂をお参りしたのち、庫裏(くり)に向かい拝観の受付を行います!

客殿 (国宝)*

(観智院のパンフレットより引用)

庫裏から寺内を進むと、江戸時代の1605年に再建された国宝客殿(きゃくでん)が見えてきます。

拝観エリアからは全体が撮影出来ないため、写真はパンフレットより抜粋させて頂きました。


客殿には、木板の縁側の設えがありゆっくりと庭園を楽しむことが出来ました。


(観智院のパンフレットより抜粋)

この客殿の床の間に、かの有名な宮本武蔵(みやもとむさし)筆の襖絵が飾られています。

長者の庭*

客殿の前庭は、長者の庭(ちょうじゃのにわ)と呼ばれる美しい枯山水庭園になっています。


この観智院には代々、東寺長者(とうじちょうじゃ)と呼ばれた最高位の僧が住持していたため「長者の庭」と呼ばれているんだとか。

白砂の大海原と杉苔の島々にて、真言密教の無限の世界観と悟りの境地を表現しているそうです。


以前は異なるデザインの枯山水庭園だったそうですが、真言宗1200年を記念して2017年に新しく生まれ変わりました。

六地蔵尊*

庭園の脇には、六地蔵尊(ろくじぞうそん)が奉納されていました。

「地獄」「餓鬼」「畜生」「修羅」「人間」「天上」の六道を行脚する地蔵菩薩それぞれの姿を表現されています。

金剛蔵*

庭園の奥には、宝物庫としての役割がある金剛蔵(こんごうぞう)があります。

「金剛」とは仏の智慧を表すそうなので、蔵の中には智慧がつまった書物などが所蔵されていたんでしょうか。

本堂*

客殿の隣には、本堂(ほんどう)があります。

まるで宝冠のような屋根飾りがとても特徴的ですね。


(観智院のパンフレットより引用)

こちらの建物には、重要文化財であるご本尊の五大虚空蔵菩薩(ごだいこくうぞうぼさつ)が祀られています。

四方正面の庭*

客殿にある中庭は、四方正面の庭(しほうしょうめんのにわ)と呼ばれています。

その名の通り、小さいながらもどの方向から見ても趣きを感じさせてくれるお庭です。

書院*

本堂縁側を進み裏手に向かうと、書院(しょいん)があります。


(観智院のパンフレットより引用)

こちらには日本画家の浜田泰介(はまだたいすけ)さんよって描かれた「四季の図」が飾られています。

楓泉観(茶室)*

書院のさらに奥に連なる建物の一室には、茶室の楓泉観(ふうせんかん)があります。

主に室町時代の公家が楽しんだ空間を再現している、書院風の茶室になっています。

露地*

茶室の楓泉観(ふうせんかん)の外には、小さな露地(ろじ)の設えがあります。

露地とは茶室に付随する小さな庭園の通称で、屋根などの覆いが無い地面を指します。

野菜などの「露地栽培(ろじさいばい)」という言葉は、この「露地」から来ているんですね。

観智院の写真


観智院の動画

観智院の御朱印

観智院の御朱印の墨書きは、お寺のご本尊である虚空蔵菩薩です。

御朱印は、観智院ではなく東寺の食堂(じきどう)で頂くことができますのでご注意ください。(300円)


観智院への行き方/アクセス方法

観智院は東寺の境内北側にあり、最寄り駅は、京都駅または東寺駅です。

京都駅、京都河原町駅、京阪祇園四条駅からバスで行くことも出来ます。

京都駅や近鉄東寺駅から近いため、歩いて行くことをおすすめします。


大阪駅から京都駅/近鉄東寺駅へのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、近鉄京都線に乗り換え。

②近鉄京都線で「京都駅」から「東寺駅」へ。

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なんば駅から京都駅/近鉄東寺駅へのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①大阪メトロ御堂筋線で「なんば駅」から「梅田駅」へ行き、JR京都線に乗り換え。

②JR京都線で「大阪駅」から「京都駅」へ行き、近鉄京都線に乗り換え。

③近鉄京都線で「京都駅」から「東寺駅」へ。

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京都駅から近鉄東寺駅へのルート例(電車)

乗換え案内サイト

①近鉄京都線で「京都駅」から「東寺駅」へ。


京都駅からのルート例(徒歩)

徒歩約20分(約1.1km)の道のりです。

①JR京都駅「八条口」を右側に進みます。

②新都ホテルを左手に見ながら進みます。

③道の突き当りにある「油小路八条」交差点を左折します。

④「油小路東寺道」交差点を右折します。

⑤道をまっすぐ進んで突き当りが目的地です。


東寺駅からのルート例(徒歩)

徒歩約8分(約400km)の道のりです。

①東寺駅の出口を出て右側に進みます。

②まっすぐに進みます。

③「九条大宮」交差点を直進します。

④右手に目的地が見えてきます。


JR京都駅(中央口)からバスに乗る場合

*歩いても約20分で到着します。

バス乗換え案内

「京都駅前[乗り場C4]」バス停から京都市バス「16系統」に乗車、「東寺西門前」バス停で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:16系統[東寺西門・南区総合庁舎行き]
乗車バス停:京都駅前[乗り場C4]
降車バス停:東寺西門前
運賃:230円
所要時間:約14分


JR京都駅(八条口)からバスに乗る場合

*歩いても約20分で到着します。

バス乗換え案内

「京都駅八条口[乗り場G1]」バス停から京都市バス「16系統」に乗車、「東寺西門前」バス停で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:16系統[東寺西門・南区総合庁舎行き]
乗車バス停:京都駅八条口[乗り場G1]
降車バス停:東寺西門前
運賃:230円
所要時間:約7分


京都河原町駅からバスに乗る場合

バス乗換え案内

「四条河原町[乗り場D西行き]」バス停から京都市バス「207系統」に乗車、「東寺東門前」バス停で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:207系統[四条大宮・東寺行き]
乗車バス停:四条河原町[乗り場D西行き]
降車バス停:東寺東門前
運賃:230円
所要時間:約22分


祇園四条駅からバスに乗る場合

バス乗換え案内

「四条京阪前[乗り場B]」バス停から京都市バス「207系統」に乗車、「東寺東門前」バス停で下車。

バス会社:京都市バス
行先・系統:207系統[四条大宮・東寺行き]
乗車バス停:四条京阪前[乗り場B]
降車バス停:東寺東門前
運賃:230円
所要時間:約25分


タクシーで行く場合

京都駅から:約850円 (5分)

祇園四条駅から:約1,800円(15分)

・タクシー運転手に行き先を告げたい場合

toji-51

・タクシーを呼びたい場合

taxi-call

タクシー配車連絡先(京都駅周辺)

観智院周辺のホテル検索/予約

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いかがでしたか?

それでは楽しい旅を!